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倉刀のバレンタイン大作戦

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匿名ユーザー

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倉刀のバレンタイン大作戦

 いつの時代のどこにあるとも知れぬ、これは箱庭屋敷のお話。

 今日はバレンタインデーだそうです。何でも、女の子が男の子にチョコレートを送る日だそうな。

「えへへへー」

 ……倉刀がうかれるのも無理はありません。なにせ、同じ屋根の下で同居している女の子が四人もいる幸せ者ですからねえ。

「そんなぁ。浮かれてなんていませんよ、僕?」

 キモッ。倉刀キモッ。
 でも、男性は貴方の他に後二人いるんですよ、この屋敷?

「ええ? そんなの大丈夫ですよう、えへへー」

 ……まあ。
 いっちゃ悪いですけど、残りの二人はあんなのですからねえ。
 貴方も無事にチョコレートが貰える事を祈ります。



  • 記憶喪失した少女の場合

倉刀「あ、記憶喪失した少女さん。おはようございます」

少女「……」

倉刀「あ、あは。長いですよね、名前。
   いつかちゃんとしたのを師匠に考えてもらわないとなぁ」

少女「……」

倉刀「(まだ慣れてくれないみたいだなぁ)
   ……コホン。そういえば今日は何日だっけ?」

少女「……」

倉刀「……そうだよね。記憶喪失してるんだもんね……ごめんね」


  チョコゲット失敗!

  • はさみさんの場合

倉刀「あ、はさみさん。おはようございます」

はさみ「やあ、おはよう。今日も良い天気だ」

倉刀「そうですねぇ。あ、そういえば、この間打った頭は大丈夫ですか?」

はさみ「お蔭様でね。心配をかけてしまったようだが。
    ……ところで、あの時頭を打った理由をどうしても思い出せないんだが」

倉刀「気にしちゃ駄目です!! 事故ッ! そうあれは不幸な事故だったんですからッ!
   ……そういえば、今日は何日でしたっけ?」

はさみ「如月の壱拾四日であるか。もう今月も半ばか、早いものだ……」

倉刀「……えと、他には?」

はさみ「む? 旧暦では睦月の弐拾日であるな。ふ、暦の上ではもう春なのだな……」

倉刀「……そういえば、はさみさんって明治の……知ってる訳ありませんよね……」


  チョコゲット失敗!!


  • フェアリー・テールさんの場合

倉刀「……ちなみに、英国ではバレンタインはどのような?」

フェアリー「恋人に贈り物をする日です」

倉刀「一応訊いておきますが、恋人以外には?」

フェアリー「普通の聖名祝日ですね」

倉刀「わかりました。失礼します……」

フェアリー「ちょ、ちょっと! 私だけ扱いがぞんざい過ぎやしませんか?」

倉刀「いえ、僕は期待する事はやめたのです」

フェアリー「もうちょっと引っ張ってくれてもいいのに……」


  チョコゲット失敗!!

「…………はぁ」

 ちょっとちょっと、何をいきなり黄昏てるんですか?

「わかったんです。僕は甘い夢を見てただけだって」

 チョコレートだけに?
 いやいやいや。まだハルトシュラーさんの目も残ってるでしょうに。

「師匠がくれるわけないです」

 ……あー、なんかわかる気がします。
 んんん……そうだ、今年は逆チョコを狙ってみるとか!

「…………」

 なんというか、その、すいませんっした。

「……師匠の手伝いがあるんで帰りますね」

 倉刀……なんと悲しい後姿である事でしょう。
 背中を丸めてとぼとぼと屋敷へ歩いてゆきます。

「アーッ」

 な、何事ですか!? その不吉な叫びは!?

「僕の下駄箱に……これが」

 チョコレート! ……よかったねえ倉刀。
 いや、普通の屋敷の下駄箱にチョコを突っ込むセンスはわかりませんが。

「師匠……差出人の名前は書いてありませんけど、これ、きっと師匠が」

 倉刀の顔は涙でぐしゃぐしゃです。もはや言葉にならない様子。

「……ぅ、ぅあっ、し、ししょうー……」

 ……さぁ、泣いてばかりいないで行きなさい。
 師匠が、貴方の大事な人が待っているのでしょう?

「……ぅはいっ!」

 …………。
 倉刀は、そのまま走っていきました。若いっていいねぇ。

「全くだ」

 おや管理人さん、おはようございます。
 あれ? 目が赤いですね。徹夜でもしたんですか?

「ははっ、まあな」

 なんか甘い匂いがしませんか?

「ハハッ、だってほら」


「今日はバレンタインデーだろ?」


 …………。
 私からは。
 これ以上は語りますまい。

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