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正義の定義 ~英雄/十二使徒~ 第1話 1/2




魑魅魍魎が跋扈するこの日本…未知の驚異に晒されながらも、人々は何とか今日も生きている…。
英雄などは存在しない。そこにあるのは壮絶な現実である。英雄などは幻想の中の存在である。

 しかし、その幻想を現実にしようとしている者達がいた…

 これは…正義を知らない英雄達の物語である…


――――…


 「あーもー、この車もっとスピードでないの~?もっとこーさー!」
 宵の刻。夜の闇が大地を支配する。そんな暗闇の中を一台の車が走る。
 「夜ですからね…燃費相性の悪い魔素だけで走っているのですから、当然ですわ」
 後部座席の右側。金髪でポニーテール。大きなリボンが良く目立つ少女はそう語る。そこはかとなく気品が感じられる…お嬢様と言ったところか。
 「だから、あまり無駄遣いはしないように!」
 「わーってる」
 前部座席に座る二人。運転している方はチリチリ頭の天然パーマの男。右の座席はサイドテールで右にその艶やかな黒髪をまとめたおっとりとした少女が座っていた。
 「ホントにわかっていますの?」
 「……二人とも、静かにして欲しいのですが」
 後部左座席の少年が呟く。とまぁ、若い男女が4人…他愛もない会話が車内で交わされる。年相応の若者達といった仲睦まじい光景ではないか。
 しかしながらここは日本。絶対的な平和など保証されていない…無法地帯。今宵も良い月が出ているのだ、
こんな日には特別豪華な夕飯を頂きたいものである。夕飯には少し遅すぎる気がしないでもないが…

 異形達が肉を求め、疼きだす。

 「…青島先輩、あれ…」
 一人の少年が車両前方に見える何かに気がつく。こんな夜中に人影…なんて事はある訳が無かった。

 「ほぇー、敵さんですかい?」
 「えぇ!?なんだよ早く帰りたいってのに…」
 サイドテールの少女と運転席の男がそれぞれダルそうな反応を見せる。車は徐々に速度を落とし、人影の正体が肉眼でわかるかわからないか…
といった距離のところで停止した。

 「獣型って所だろ?」
 チリチリパーマの男は金髪ポニーテールの少女に尋ねる。
 「上位種かもしれませんし、気を抜かないに越したことはありませんわ」

 オ…オオー…

 「ん…一匹じゃなかったのか?」
 パーマの男が呟く。まるで車が止まるのを確認したかのように暗闇からぞろぞろと現れる異形達。数分も経たずに男女4人を取り囲んだ。
闇に紛れるは魔の物の得意分野。やっぱり怪物っていうのは、夜の闇が好きなものなのだろうか?陳腐な一般論であるが。

 「あちゃー、囲まれちゃったね。青島先輩のせいだべさーこれは」
 サイドテールの少女が文句を言う。青島と呼ばれるチリチリパーマの男は「何で俺のせい…?」と理不尽な言われように腹を立てる。
 「何無駄口叩いていますの?いきますわよ!」
 「……さて、と」

 男女4人ははそれぞれ黒くて四角い物体を取り出す。

 「システム『大裳』…展開!」

 一人の少年がそう叫び、四角い物体を手のひらに合わせる。と思ったら、頭上それを高く放り投げた。

 そうして最高点に到達した瞬間、発光。黒かった四角い物体が青白く輝き出し…

 辺り一面はその青白い光りに包まれた…

 「第十英雄、…裳杖 洋介(もうじょう ようすけ)」

 光が収束する。するとそこには夥しい数の武装に身を包み、機械的で大きな鎌を担ぐ先程の少年の姿があった。少年の名は裳杖 洋介。第十英雄と名乗っていたが、どういう意味かは分からない。

 「あなた達もさっさと作動させてくださいよ」
 「相変わらずクールだねぇ洋介くんは~」
 「うるさいですよ…」
 「じゃ、ぼちぼちいくとしますかァ」

 「システム…『白虎』…解凍開始…」ベーンベンベンベンヘ-゙ンヘ-゙ン
 「刮目なさい、私の『貴人』を!」
 「システムダウンロード…『青龍』…!!」

 他の三人も高虎と同様に四角い物体を放り投げる。

 「第十一英雄、白石 幸(しらいし ゆき)けん………………ざぁぁぁーん!」
 「第六英雄、北条院佐貴子(ほうじょういんさきこ)正義の名の下、悪を成敗します!」
 「第五英雄、青島竜太(あおしまりゅうた)…オレって、かっこいいぃ~!」

 三人ともそれぞれ違った装備に身を包む。それは今の日本には不自然すぎる程の先進科学的な装備。かつて人々が夢見た近未来の科学を思わせるそのフォルムは人工物でありながら偶然的に芸術性を醸し出している。


 「さあ、英雄様の活躍…とくとその目に焼き付けるんだなァ!!」 


 異形に突っ込んで行く青島。それに他三人も続いていった…


――――


近代、日本政府は異型の出現を発端に縮小、無力化していった。今や見る影もないのは周知の事。そんな事態を科学省の人間の内何人かは読んでいたのか、早い段階で省内の有志を集い、早々と政府から独立した…そんな機関があった。国の再興を目的とする「再生機関」である。
 世の中は魔素研究に多くの学者達が流れ、魔素を取り入れない機械工学などは瞬く間に姿を消すこととなった…表向きでは。
 しかしそこはかつて技術大国であった意地である。再生機関は極力魔素を使わない機械工学を存命させるべく細々と研究と開発を進めていた。全ては目的のため。日本が再び技術大国になれる未来を信じて。


~再生機関地下本拠地~


 「おいィ…裳杖達はまだ帰ってこないのか…」
 目つきの悪い男が一人、ソファーを独り占め。そこには物という物がなく、ある物といえばソファーだけという、質素な部屋だった。
 「もしかしたら…何か良くないことにでも巻き込まれているんじゃないかしら…」
 「どーせ異形どもの相手だろーが…あー、誰かポックリ逝ってるかもな?」
 「炎堂君!いって良い事と悪い事があるでしょう!!」
 一人の女性が声を荒らげる。炎堂と呼ばれた男は苦笑いをし「悪かったって、冗談だよ、冗談」と本意ではない旨を伝えるが、彼女…冴島六槻(さえじまむつき)の機嫌は治らない。
 重い空気が流れる中、ガチャリと部屋の扉を開く音がする。

 「…ただいま帰還しました」
 「疲れたー。飯にしよーぜぇ~」

 部屋に入ってきたのは、丁度話題に上がっていた裳杖達。仏頂面だった冴島の顔が緩む。
 「おかえりなさい。大丈夫?怪我はなかった?」
 冴島は入ってきた彼らを迎えるようにしてあたたかい言葉を掛けた。
 「私達は子供じゃありませんわ」
 4人の内の一人、金髪ポニテールの少女、北条院 佐貴子(ほうじょういん さきこ)はそう応える。この年頃の男女は扱いが難しい。
 「本来ならお前ら学生だろーがガキ共…」
 ソファーに腰掛ける男はフーっと莨を吹かしながらぼやく。いかにも無愛想なおっさんである。4人内の一人、青島は
 「…やーれやれ、相変わらず炎堂さんってば、感じワリーや」
 なんて、つい口からこぼしてしまう。炎堂虻芳(えんどうあぶよし)。偉そうに足を組んで高圧的な態度を見せる彼は、少なくとも人が良さそうには見えない。
 「なんか言ったか青島ァ…」
 「ヒィ!?何でも無いです」
 …ヤクザも真っ青の睨みを利かせる炎堂。睨まれた青島の心境は専ら蛇に睨まれた蛙。
 「ん?虻芳だけに…蛇睨み?」
 「全然うまくねぇんだよぉぉぉぉッ!」
 「さ、サーセン!!」


――――

 再生機関…地下に本拠地を構えるこの組織。裳杖達が属す世直し的機関である。目的は国を復興する事。活動内容は主に異形の討伐と他自治体との連携構築。有志の勧誘である。
一見、途方もない計画に思える…しかし再生機関には苦労して培った科学力がある。それが唯一の強みであり、頼みの綱だ。
当時の日本の科学力を受け継ぎ、今も尚発展させているのはこの機関ぐらいのものだろうと思われる。現にこの国は既に旧時代の文明から離れ始めている。これも時代の流れか…。

 「さー飯だ飯だぁべよ~」
 夕食…時間的には朝食か。食堂に一番乗りしたのは白石。機関と言っても人はそう沢山居る訳ではない。元々人手不足であり、今も常に人手が足りていない。時刻は午前4時。食堂に全く人がいないのも仕方ないことかな…
 「あら、白石さん。あなたもお食事?」
 同じくして北条院が食堂に訪れる。チャームポイントの大きなリボンは外し、髪を下ろしてるようだ。
 「裳杖くんは?」
 「寝たようですわよ…まあ、お疲れになっていたようですから…」
 「貧弱だなぁ…」
 「白石さんは元気ですわねぇ…」
 「そんなことないべさ~?今にも死にそうだよ~」
 その割には随分と元気である。その手にはいつの間にか大量のおかずを乗せたお皿が…


 「ところで、十二番目の話…白石さんは聞きました?」
 「ああー、何かそんな話してたねぇ…うまうま」
 おかずを口に運ぶ白石。食べながら喋るのは行儀がよろしくない。そんな彼女の横を「隣、よろしいかしら?」と、北条院が座る。小食なのか、白石のご飯と比べるとささやかな量が余計に目立つ。
 「十二番目の英雄…どんな方なのでしょう…?」
 北条院はまだ見ぬ十二番目に思いを馳せる。



 英雄…現在、再生機関には11人の英雄が在籍している。
もっとも、英雄とはそのままの意味ではなく『対異形戦闘英雄武装システム』の装着者の事を指す訳で。機関の技術のすべてを注ぎ込んだ兵器…科学者達は魔法にも負けないと自負しているようだ。
 炎堂を始めとした11人の英雄。その中には裳杖や白石達も含まれている。彼らは皆、当時の科学省の関係者やその子供という人間で構成されている。

 「でも、仲間が増えるんだから…楽しみな事には変りないべさ~」
 「乱暴な方じゃない事を祈るばかりですわ…」
 白石も北条院も、この時はまだあんなのが十二番目になるとは、思ってもみなかった。


 「ふぅ~…いい湯だった…こんな時代でも暖かいお湯につかれるってのは、ありがたい事だよなぁ~…」
 風呂上りの青島。どうやら彼は帰還して真っ先に風呂に入ったようだ。施設はオール電化。最近は魔素を電気に変換する事も可能になったようで、そうそう電気切れになることはない。
 「あ…青島くん…帰ってたんだ…」
 反対方向から歩いてくるおとなしめの雰囲気を放っている少年。
 「おおー辰興君、そっちも仕事終わったの?」
 名は陣 辰興(じん たつおき)。彼もまた英雄であり、第四英雄冠する。
 「仕事じゃなくて…、再生活動だよ。僕らは英雄なんだから…」
 「おーそうだった!俺達英雄だもんなぁ~!」
 わざと照れくさそうに言い、自慢げに語る。そんな青島を陣は無表情で見つめていた。まるでマネキンのように、ピクリともせず。それは若干の不可解な悍ましさにも似た何かを感じさせた。青島が視線を陣に移した時にそれはすっかり消えていたが。
 「…ん?なんか俺の顔についてる?」
 「別に、何も…」

 「今回の件はどうだった?」
 「異形の討伐と…そのサンプルの採集だって…陰伊さんと…あと、武藤玄太も一緒だった…」
 「武藤って…あいつかよ…災難だったな…」
 「別に…」
 「はーん…」
 会話が弾まない。ほどなくして二人は何も話さなくなった。陣はあまり積極的に会話するタイプではない。それを青島は知っていた…だから無理に話を振ろうとはしないのだ。なんとも微妙な関係であった。

――――

 「…」
 自室に戻った裳杖は何をする訳でもなく、ベッドで横になっていた。まっさらな天井。ただただ閉鎖的で、冷たい空間。暖かい日の光は、ここには届かない。
 「寝るか…」
 瞳を閉じようとしたその時、ドンドンと部屋の扉を叩く音がやかましく裳杖の耳へと侵入する。次に聞こえてきたのは、うるさい中年の声。
 「おーい、裳杖ォ!おきてるかァ!!」
 「…全く」
 のそのそと立ち上がり、部屋の扉へと移動する裳杖。扉を開けると、そこにはむさいおっさんの顔…炎堂の顔が…
 「よお、悪いな寝るとこだったんだろ?」
 「…わかっているならもっと静かにしてくださいよ」
 「馬鹿か。起こそうとしてんのに静かにしてどうすんだ?あ?」
 「はぁ…」
 瞼を擦り、もう寝たいという雰囲気を醸し出すも炎堂は無視である。必死のアッピルも無駄か。
 「それで、何の用ですか…」
 「あー明日よ、いや今日か。十二番目のお披露目があるからよ。10時には起きろよ」
 「十二番目…ですか。炎堂さんは知っているんですか?十二番目の事」
 「さーな。大和局長聞いても教えてくんねーから…ま、楽しみにしておくんだな…」
 「…で、用はそれだけですか?」
 「そうだけどよ?」
 「もう寝ていいですか…?」



 「えー、皆集まったかな…?」

 日が登り、時刻は丁度10時。予定通り十二番目の英雄を歓迎するべく、講堂へ集まった一同。そこで待っていたのは機関の最高責任者、大和局長であった。
 「集まったのはこれだけか…王鎖君と天草君は外用で居ないのはわかるが…武藤の奴はどうした?」
 「あー、大和局長。あいつなら…来やせんよ」
 そういって事を詳しく話す炎堂の報告を聞いて「またアイツは…」と呆れる大和局長。何でも「どうでもいい事で…俺を呼び出すな…」とのことらしい。
どうやらこの武藤という男は極めて協調性の低い人物のようだ。コホン、と気を取り直し話を続ける大和局長。武藤と言う男が無断欠勤するのは珍しいことではないようで。
 「皆聞いていると思うが、とうとうずっと欠番だった十二番目の英雄が皆の仲間に加わることとなった!」
 英雄武装システムは全部合わせて十二セットしか作られていない。量産向きでない事はわかっていたが、そもそも量産できそうな施設・設備などあるはずもなく…現状ではこれだけ作るので精一杯だったようだ。
と言うわけで今のところ定員は12…と言うことなのである。
 「十二番目かぁ…どんな人なんだろ…な、仲良くしてくれるかなっ…」
 この、おさげが似合う小柄な少女の名は陰伊 三(かげい みつ)。少し引っ込み思案なシャイガール。第八英雄を冠す。
 「友達になれるといいねぇ~…」
 「う、うんっ」
 陰伊も白石も北条院も新たな仲間に胸膨らませる。そんな二人を微笑ましく見守る冴島。一方男性陣はと言うと…
 「なぁ裳杖。どんな奴が来ると思う?」
 「まともな人間であれば誰でも構いませんよ、俺は」
 「…どんな人間…なのかなぁ…?」
 三者三様のリアクション。炎堂はというと、至極どうでもいいといった様子だ。
 一通り個々の反応を楽しんだところでいよいよ十二番目の登場だと大和局長は張り切る。
 「ふふふ…では、官兵研究員、"あの子"を呼んで来てくれたまえ」
 「はは!」
 官兵研究員は講堂裏へと消えていく。つまり、十二番目は講堂のすぐ向こう側にいるということだ。張り詰める空気、緊張。そわそわしだす女性陣達。
 「用意できましたひひひ」
 「よし、では登場していただこうか!」
 満を持して、十二番目がその姿を現す。その全貌は…



 「ふぇ!はじめまして、HR-500、0さいです。だいじゅうにばんえいゆうです。きかいです。ようじょです。そのたいろいろとくてんもついてきます。ふぇ!ふぇぇ!」



 場の空気が凍った。

 「え…?ちょ…どっから突っ込めばいいかわからないんだけど!?」
 軽い沈黙を青島が破る。続いて食いついたのは北条院だった。
 「機械って何!?幼女って…色々特典って何ですの!?」
 「北条院さん落ち着いて!」
 「えっと、しょかいとくてんはもうしゅうりょうしました!ふえぇぇぇ!」
 「…お前、ふえぇって言えば何でも幼女になると思ってないか…?」
 混乱渦巻く中、冷静な裳杖のツッコミ。尤も、突っ込みどころがずれていた。
 「この子はHR-500。機械…つまり、ロボットだ」
 「ロボット…?見た目殆ど人間じゃねぇか…」
 「我々の科学はついにここまで来たということだよ。この子は体こそ機械だが、人間と何ら変りない…我々はもはや神域に足を踏み入れたのだ!」
 その立派に伸びた長いヒゲを揺らし、得意げに語る大和局長。人間は神の子。神が無から人間を創り出したのであれば、人と何ら変わりないモノを0から創り出した人間は神に等しい存在となるのだろうか?
その考えは少し傲慢すぎるか?ってそれどころじゃないよねっていう。
 「お、おどろいたなっ…機械だって、幸ちゃんっ!」
 「オーバテクノロジーだべさ…」
 「まぁとにかくだ、これからこの子が諸君らの一員となる!仲良くしてやってくれ!」
 「なにいってんだこのヒゲ~」
 「HR-500!局長になんてことを!」
 「ふぇ!ファッキンメガネ!ふぇ!ふぇ!」
 官兵研究員も手を焼いてるこのHR-500。果たしてこの先どうなるか…波乱の予感しかしない。

―――

 「…で、帰ってきたのも束の間早々に機関活動ですか」
 「ごめんね裳杖君…でもね、十二番目の子の演習も兼ねているのよ」
 どんよりとした曇り空。ロール状の層積雲が空を覆い尽くす下で、鋪装のされていない凸凹路をワゴン車が進む。
車内には前二席、運転席に冴島。その隣に裳杖が座り、その後ろの三つの座席に例の十二番目『HR-500』を真ん中に挟むように陰伊と白石が座る。最後部席には陣が座っていた。他のメンバーはどうやらお留守番。
 「大丈夫よ、あの子にいきなり戦わせる訳じゃないみたいだし、他地域の自治体とコンタクトを取るだけだし…」
 「はぁ、だったらこんな大勢で来る必要無かったんじゃ…」
 「ホントは裳杖君と陣君だけで良かったんだけど…あの子たちが…」
 視線を後部座席の三人へと向ける。そこには…
 「ねぇー、君の名前は何にしましょうかぁー?」
 「ふぇ?わたしのなまえはHR-500ですよぅ」
 「そ、それじゃあなんか呼びにくいし…もっとちゃんとした名前じゃないとあなたかわいそうだよっ…!」
 「ふえぇ」
 ツインテールの機械幼女と自分の妹ができたかのように夢中で話しかける白石と陰伊の姿があった。なるほど、そういう訳かと納得した裳杖。心なしか冴島も参加したそうにしている。こういうコミュニティー形成は女性の方が積極的である。
 「好きですねぇ・・皆」
 「私あれくらいの娘が欲しかったのよねぇ~…裳杖君は仲良くしないの?」
 「まぁ、これから仲良くしようとは思いますけど…機械なんですよね、あの子」
 「信じられないわよねぇ…ウチの研究員達もたいしたもんだわ。流石東鳩のマ○チに憧れていた世代…」
 「?…なんですかそれ」
 「oh…ジェネレーションギャップ…」

 数時間後、冴島が運転するワゴン車は、無事目的地へと到着した。


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