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温泉界へご招待 ~忍者軍団~

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温泉界へご招待 ~忍者軍団~


忍者5人組を撃退した告死天使8人だったが、彼らが応援を呼んで再度攻めてくる可能性は十分に孕んでいた。そうなった場合いくら告死天使と
いえども手負いの6人を守りながら忍者の大軍団と戦うのは難しい。故にシオンはできるだけ早く6人の傷が癒えるように特別な処置を施した。
忍者の大軍団と戦うためにはまず武器が必要だということで、8人はいったん閉鎖都市へと戻り、各々が愛用する武器を持ってきていたのだが、
シオンはそれと同時に自分の仕事道具、つまり救急セットも一緒に持ってきていたのだ。薬剤を調合し、それを患部に添付して包帯を巻き安静にすれば
3日で完治するシオンお手製の傷薬だった。ただ、天野翔太にそれを施しているときにあることに気付いたシオンは彼に話しかける。

「天野君、と言ったね。先ほどから私のことを何やらいやらしい目つきで見ているが…君は白衣に対して性的興奮を覚える性癖の持ち主なのか?」
「え、い、いやそういう訳じゃ…」
「ショータくん?あれほど使いどころに注意が必要って言ったのに…」

アリスが酷く暗い表情と声で翔太に話しかけ、翔太は酷く狼狽している。その眼前の光景を理解できないシオンは二人に説明を求めた。
アリスによると、翔太は『透視能力』なるものを保持していて、それを使用してシオンの白衣越しの素肌を眺めていたのである。
しかもシオンは着やせするタイプであり本来は告死天使の女性陣のなかで最もプロポーションがいいのである。
ちなみにその順番はと言うと、シオン>アスナ>フィオ>アリーヤである。スリーサイズのうちバストだけをみてみると95、89、85、70。
実に25センチもの開きがあるのだ。そんなプロポーションのシオンに透視能力を用いたのだから彼がいやらしい目つきになるのも仕方がないのかもしれないが
相手は告死天使であり、故に死を覚悟しなければならなかったが、当のシオンはと言うと笑って翔太に切り返すのだった。

「そんなに私の身体は魅力的か?そうか…ならば透視能力など使わずとも見られるようにしてあげよう」

と言ってシオンは自らが身に纏う白衣に手をかける。そう、ストリップである。告死天使の残りの7人は彼女の取った突飛な行動に唖然としていたが
シオンが自分のブラジャーを外そうとしたところで一気に7人がかりで止めに入るのだった。

「シオン、あんたいつから痴女になったのよ!?」
「私はそんなものになった覚えはないが…ただ天野君が見たいというものだからその希望に沿おうとしただけだ」

アスナとシオンのやり取り。シオンの主張では患者の希望には最大限応えるというのが医者としての務めと言うが、
物事には限度と言うものがあるという残りの7人の説得により、なんとか全裸になるのは抑えられた。
が、先ほどの押し問答で床に散らばっていたシオンの白衣がしわだらけになってしまっていた。医者として不衛生ということで、洗濯に出すことにしたのだが
そうすると着替えがないかと思いきや、しっかりと持ってきていた。ただしそれは果たして医者の白衣ではなく、黒装束。告死天使のみが身に纏うことを許された
あの漆黒の衣装である。それにまずは右腕を通し、次に左腕を通す。次にファスナーを首のところまで上げてピタリと閉める。
最後にこれまた漆黒のズボンを穿いて着替えは完了である。シオンの普段着である白衣とこの漆黒の衣装は正反対であり、医者としての顔しか知らない
人間が見たらきっとそれがあのシオン・エスタルクだとは分からないであろう。着る服によってここまで印象に違いが出るということだ。

「アグゼス、あのシオンって女のことどう思う?告死天使とかいう集団も普通じゃないがあの女はその中でも特に…」
「危険な匂いがする、ということか。柚子、天使と言えば聞こえはいいが告死天使とは要するに死神のことだ」
「死神?タロットなんかで大鎌をもった骸骨のことか?」
「そうだ。あの大鎌はデスサイズと言ってな。それによって生命を刈り取るのが死神の役割と言う訳だ」
「なるほど…だがそんな彼らが味方についてくれれば心強い限りだ。期待しよう」

柚子とアグゼスが声をひそめて会話を交わす。二人はあの黒装束から放たれる異様な雰囲気を差し引いてもシオン・エスタルクという女性が
どこか危険な部分があると敏感に察知していた。ただ彼女が先刻医者として完璧な処置を自分たちに施してくれたのもまた事実。
ここはチームの和を乱さないようにその点においてはしばらく静観しようというのが柚子とアグゼスの共通の見解であった。
と、ここでショウヤとユズキがシオンのもとに駆け寄る。そして、ショウヤがすがるように言った。

「なああんた医者なんだろ?ユズキは妊娠してるんだ。あんたは腕のいい医者みたいだし、ユズキの赤ちゃんを取り上げてやって欲しいんだ」
「…医者として最大限患者の希望にこたえるのが私の至上命題だが…私も私たちの世界でやるべきことがあるんだ。いつまでもこの世界にとどまるわけにはいかないな」
「そんな、命よりもそのやるべきことのほうが大切だっていうのかよ!それでも医者か!?この偽善者!」

そんな怒りに任せたショウヤの心ない言葉を浴びてもシオンは眉ひとつ動かすことはなかったが、奇妙な表情を浮かべる男が一人いた。
クラウスである。彼は常に笑っているのだがいつものような微笑みではなくどこか邪悪さを漂わせた笑みなのだ。そしてその邪悪な雰囲気は
ショウヤがシオンに暴言を浴びせるたびどんどん強くなってゆく。その雰囲気をただちに察知したのは告死天使の残りのメンバーたちであった。
アリーヤがクラウスの横に立ち、ほかに聞こえないように耳打ちをする。

「気持ちは非常にわかるが今は抑えろ。ここで貴様があの時のようになれば忍者を排するどころではなくなるのだ。だから今は抑えろ」
「わかってるよ。僕だってセフィリアにあんな姿は見せられない。だから彼を止めてくれないかな?本当に耐えられなくなってきたよ…」
「…わかった。フィオ!」

アリーヤがフィオを呼ぶと、彼女はなにも言わずにただアリーヤに頷きショウヤのもとに歩み寄り、ニコっと笑って彼に語りかけるのだった。

「ねえショウヤ君。命ってさっきいったね?確かに命は全てのことに優先されなきゃいけないけど、シオンちゃんもボクたちもまた守らなきゃいけない命があるんだ。
 だからこうしないかな?ユズキちゃんがもう産まれるってところになったら湯乃香ちゃんにまたこっちにシオンちゃんを呼んでもらえばいい。
 それまではユズキちゃんをシオンちゃんが書いた『妊婦さんの出産までの過ごし方(仮)』をもとに君やアリスちゃんたちに看護してもらうってことでどうかな?」

はたから見れば暴力、武力行使が必要に見える状況でも完璧な解決策を見出しそれを提案し、事態を収拾するという能力にかけてフィオは神の領域に
達しているといってもよく、それが自警団第一課課長に就任する上での大きな原動力になったのは言うまでもない。

「…わかった。その代わりユズキが産まれそうになったら必ず来てくれよ!」
「ああ、約束しよう。では私は『妊婦さんの出産までの過ごし方』を執筆するとしよう。おそらくは3日ほどで書きあがるだろう」

3日と言うとちょうど湯乃香たち7人の傷が癒える期間とイコールである。つまり、湯乃香たちは傷をいやし、シオンは執筆に勤しみ残りは忍者たちに警戒すれば
いいということだ。とここでいままでずっと沈黙を守ってきた湯乃香がついに口を開いた。

「告死天使のみんなは武器を取ってきたんだよね?どんな武器か見せてもらってもいいかな?」

彼女の唐突な言葉に顔を見合わせる8人。気がつけばクラウスが発していた邪悪な雰囲気も立ち消え、もとのほほ笑みへと戻っていた。
まずはリーダーであるアリーヤからということになり、彼女は背中にかけていた鞘に包まれた細身の刀を取り出した。
鞘から刀を引き抜くと、その剣の美しさに湯乃香たち7人はただ息をのむばかりだった。その刀は刀身が薄ら青に輝き、その長さは1mに及ぶ。

「この刀の銘は鬼焔(おにほむら)と言ってな。2年前ケビン様から譲り受けた刀だ。ケビン様によればこの刀は持つ者の心を試すということだったが…」

次はアリーヤの指名によりベルクトの番ということになった。彼はその手に非常に長い棒状の武器を手にしていて、
それは先端に鋭利な刃物が装着されていた。そう、ベルクトの武器は槍なのである。その長さは実に4mにも及んだ。

「ヴォルケンクラッツァー。異国の言葉で『摩天楼』を意味する。槍は本来長いものだがこいつは群を抜いているだろう?それがさながら摩天楼のようだと
 ケビン爺様が名付けたのさ。それに俺自身、結構気に入っているからな。さてと次は…シオン。お前の番だ」

シオンは無言で黒装束の懐から2対のナイフを取り出す。その刃渡りは20cm。グリップの部分は漆黒に染められていて、刃の部分は
銀色に妖しく光っていた。そのナイフはサバイバルナイフのように実用性ではなくただ純粋に切れ味、つまりは殺傷能力のみを追求した作りになっていた。

「右手に握っているのがグランシェ。左手に握っているのがルシェイメア。神話に登場する狼と蛇の怪物の名からその名がつけられたそうだ。さて、次はアスナさん」

しかしアスナはシオンに指名されたのにもかかわらず先の3人のように武器を取り出すでもなくただファイティングポーズを取るだけであった。
しかし、その意図はすぐにわかった。彼女の両手にはメリケンサックが備え付けられたグローブがはめられていたからだ。

「あたしとクラウス君の武器はみんなと違って名前なんかないんだけど、あたしのスタイルはとにかく肉弾戦で相手をボコボコにすること。
 だからあの忍者たちが刀持って襲いかかってきても、こう『真剣白羽取り!』なんかやっちゃってさ。そのあと顔面に強烈な右を打ち込むわけ。じゃあ次、フィオ」

指名されると同時に彼女は懐から2丁拳銃を取り出す。忍者相手に拳銃は卑怯じゃないのかという翔太の指摘が出たが、忍者も手裏剣やクナイと言った
飛び道具は当然保持しているはずで、それならこちらも一人くらいは飛び道具の使い手がいないと不利という回答に至るのであった。

「右手がグレイス。左手がグローリー。神話に出てくる双子の天使からつけたってお爺ちゃんは言ってたよ。弾数はそれぞれ18発で、9mmパラべラム弾を使うんだ。
じゃあそうだね…次は、シュヴァルツ君…は武器を使わないんだったね。じゃあ、セオドール君、いってみよう!」

彼の手にはもうすでに武器が握られていた。セオドールの武器は…2本のネイルハンマーだった。大工が工事で用いる釘抜き付きの鉄槌である。
ただ、通常のネイルハンマーとは大きく違う点が一つあった。グリップの部分が拳銃のようにしっかりとしているのだ。通常、ハンマーなどの大工道具の
グリップ部分は大量生産を可能とするため木製で作るものだが、彼は武器としてそのネイルハンマーを所持しているのだ。故にものすごく握りやすい構造になっており
2年前ケビンからこれを譲り受けて以来彼は完璧にこの2対のハンマーをつかいこなしているのである。
セオドールの武器はかなり異質ではあったが、『裁きの鉄槌』という言葉があるようにハンマーこそ最も告死天使らしい武器という見方もできる。

「右手がボルドー。左手がブルゴーニュ。名前の由来は確かワインの産地からなんだよ。ハンマーの何の関係があるってんだろうな?じゃあ最後!クラウスいってみよう」

すると彼はぼろぼろのジーンズの裾をたくし上げ、靴を見せる。それは一見スニーカーのようであったがよくみるとジーンズにはおよそ似付かない
鈍い銀色の金属で足の甲の部分や踵の部分が覆われているのである。

「普通人間は腕の筋力よりも脚の筋力のほうが遥かに強いだろ?僕はここに注目したんだ。そこで僕が師匠から教わったのは…カポエイラだよ」

カポエイラとはキックを主体とした格闘技のことである。8人の師、ケビンは若かりし頃にこの格闘技を極めそれをクラウスに伝授したのだ。
クラウスの戦闘力は極めて高く純粋な格闘戦ならば告死天使の中で彼の右に出るものはない。だが、キックの威力を最大限に高めるために脚の筋力を
徹底的に鍛え上げたため、華奢な下半身とは反対に下半身はさながらトップアスリートのようになっておりアンバランスな肉体構造になってしまっているのだが。

「さてシュヴァルツ。君は武器を使わないとは言えそのスタイルくらいは披露してもいいんじゃないかな?」
「ええ、そのようですね。私のスタイルは幻術や催眠術。要するに相手の脳に直接干渉して意のままに操る能力だと思ってください」

さて、これで全員の武器ならびに戦闘スタイルの紹介が終わり、あとは湯乃香たちの傷が癒えるのを待つだけだが…
その頃、敗走した忍者たちはというとこの温泉界に湯乃香の許可なく勝手に構えたアジトにいた。5人のリーダー格である赤装束の忍者が跪き
正面の玉座のごとき豪華絢爛な椅子に腰かける年老いた男に必死に許しを乞うていた。

「申しわけございません長老様。後もう一息でこの世界を制圧できたのですがすんでのところで告死天使なる集団に邪魔だてされ…」
「…もうよい暁(あかつき)。下がれ…刀を持ったそちたちを素手で追い払うような手練れが相手とあらば仕方あるまい…今回のそちの敗走については不問としよう…」
「ありがとうございます!次こそは必ずご期待に沿うて見せます!」

そして赤装束の忍者、もとい暁はその場を後にした。その背中を見送り、彼の姿が見えなくなったところで長老は一人の忍者を呼びだす。

「朝霧(あさぎり)、おるか…?」
「はっ、ご用はなんでしょうか?長老様」

玉座の裏、朝霧と呼ばれた忍者が長老に即座に返答する。

「そちに斥候を頼みたい。わしの右腕であるそちならば赤子の手をひねるようなものだが…暁らを追い払うような奴らが相手だ…油断せぬようにな…」
「はっ、かしこまりました。必ずや有益な情報を持って帰ってまいります」

と言って彼女は煙のごとくに一瞬で消えていった。朝霧はくの一であり、その実力は忍者軍団で頂点を極め長老から絶大な信頼を得ているのだった。
そんな人物がこちらに向かってくるとも知らず、ただ3日間傷を癒すのをのんきに待っている温泉界メンバーたち。果たして、彼らの運命はいかに…?



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