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温泉界へご招待 ~天使と忍者~

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温泉界へご招待 ~天使と忍者~


CWジェネシス(クローズド・ワールド・オブ・ジェネシス)が今回の事件の黒幕にいることは分かったが、その調査はやはり難航していた。
凄腕のハッカー、シュヴァルツの能力を持ってしてもCWジェネシスのサイバープロテクトを破ることができずにいた。
フィオ率いる自警団第一課も捜査はかなり難航しているとのことだ。さらにこのスラムに勢力を拡大せんとしているマフィアの正体も不明であり、
告死天使のメンバーたちはそれに対して常に神経を尖らせていた。ただ、自警団によると今のところは目立った動きはない。
調べによるとそのマフィアの幹部の一人がどうやら拉致されたらしく、しかもその拉致された日というのがクラウスとセフィリアの父・カルロスが
殺された日と一致するのだ。父はマフィアの抗争の巻き添えをくってその命を落とした。ということは件のマフィアに抗する組織もまた存在するということだ。
どちらの組織が父を殺したのかはわからない。ただ、確実に復讐してやろうという思いは今も毛の先ほども変わることはなかった。
さて、告死天使のメンバー8人とセフィリアは今、シオンの病院の休憩室に集まっていた。神谷たちはいない。
神谷とステファンは生計を立てるために他の仕事も並行してこなさなければならず、今はその仕事を進行中のため不在である。
ヒカリはというと、これまで精神や体力をすり減らしてきた反動が一気に襲いかかり、倒れてしまい現在はシオンの病院にて療養中である。
ゲオルグとアレックスに関しては、そもそも今回の事件に彼らは関係なくまた一般人を巻き込めないという理由で初めから協力を要請しなかった。
アシュリーとハーヴィーはCWジェネシス本社ビルに潜入捜査を行っている。警備員としてビルに忍び込んで決定的な証拠を握ろうという算段である。

「シュヴァルツ、ハッキングのほうはうまくいってるかい?」
「いいえ、全然だめですね。コンピューターウイルスの投入も検討しなくてはならなくなってきましたがそうするといよいよ…」
「ボクが黙ってないからね!」

と、一同はそれぞれの捜査の進行状況を報告し合った。しかし捜査は難航というよりも完全に停滞していた。こうなるとアシュリーとハーヴィーが
証拠をつかむか、シュヴァルツがコンピューターウイルスを投入してシステムダウンを起こさせてその隙にメインコンピューターにハッキングという
2通りの方法しかないのだが、彼はフィオに『コンピューターウイルス』を使わないという条件付きでハッキングに目をつむってもらっているのだ。
そんなことを言っている状況ではないのだがフィオが一度掲げた信念をなにがあろうと曲げないことは残りの7人が一番よく知っていた。

「とりあえずヒカリさんのところへ行こう。そろそろ回診の時間だしな」

シオンが発言する。ヒカリは今は目覚めて一週間ほど病院のベッドで横になる生活を余儀なくされているのだった。彼女が倒れた時、一同はかなり憔悴した。
ヒカリはこのチームならびにCIケールズの最後の希望であり、彼女がいなくなったとなれば何もかもCWジェネシスの思い通りに進んでしまうのだ。
過労によるホルモン分泌のアンバランスが原因だとわかった時には全身から力が抜けるのを感じたものだった。
そしてシオンは今から行う回診にて回復が認められれば退院を許可するつもりでいた。シオンが先陣を切り、一行は席を立ちヒカリの病室へと向かうのであった。

一方その頃、湯乃香たち温泉界は大変なことになっていたのだ。突如として謎の忍者軍団が襲撃。その数と忍者特有の身体能力や
なにより忍術を駆使して温泉界のメンバーを着々と追い詰めていたのである。しかし、湯乃香はこの温泉界の主であり故にこの世界のことを知りつくしている。
忍者たちの執拗な追撃を退けつつ天野翔太、アリス・ティリアスら客人たちを匿っているのだが正直いつまで持つかわからない。
今湯乃香が匿っている客人は全部で6人。天野翔太、アリス・ティリアス、ショウヤ、ユズキ、三島柚子、アグゼス。
ユズキのおなかの中の赤ちゃんを頭数に入れれば7人である。しかも湯乃香を含めみな忍者たちとの戦いで負傷し、もはや戦える状態ではなかった。
クラウスとセフィリアは元の世界でやるべきことがあると言って帰ってしまった。湯乃香はクラウスとの話の中で
彼が告死天使という暗殺集団のメンバーだということを知っていた。

「せめてクラウス君がいてくれれば………そうだ!」

ここで湯乃香は思いついたように最後の賭けに出る。6人を匿う部屋の奥には大きな鏡があるのだが、この鏡は普段彼女が他世界から人々を召喚するときに
使う鏡とは少し違う。他世界に干渉するという点では共通しているのだが、この扉は扉に仕掛けることでその扉をくぐった人間を
何人でも温泉界に召喚できるのだ。ただしその効力は10秒間しか持たない。この部屋にはその鏡以外には湯乃香の手鏡しかなく、それでは
召喚できない。外はおそらく忍者軍団がうようよしていて外に出ることもままならない。まさに最後の賭けだった。
手鏡をもとにクラウスとセフィリアが暮らす閉鎖都市のスラムを覗き込む。しかし、スラムは広くなかなか見つからない。
こうしている間にも忍者軍団に見つかる可能性は高まるというのに。だが開始から30分、
ついにクラウスの姿を見つけることができた。
手鏡であるために彼の顔しかわからずに周囲の様子など一切不明だが、その手鏡をもとに位置情報を割り出し、例の大鏡を彼に一番近い扉に仕掛ける。

「ごめんねクラウス君。やるべきことをやっている最中なんだろうけど私もこのままあの人たちに温泉界を渡すわけにはいかないから…だからお願い、力を貸して…!」

しかし、ここでついに忍者たちに見つかってしまう。その数は5人。この部屋の扉は経った今忍者たちが入ってきた扉以外にはなく、
故に逃げ場はない。しかも仲間を呼んだらしい。直にさらに集まってくるであろう。ついに進退きわまった。
だがその中でもショウヤはユズキを守ろうと彼女の前に仁王立ちになる。そして、黒い忍装束に身を包む忍者たちに向かって叫んだ。

「お前ら、ユズキに指一本触れてみろ。叩きのめしてやるからな!」
「ふん、そんな手負いの状態で我々に勝てるとでも思っているのか。もはや滑稽を通り越して哀れだな」

忍者はそんなショウヤの姿を笑い飛ばした。だが、忍者の言う通りであった。今のショウヤにこの忍者を倒す力は残されていなかった。
状況は絶望的。窮鼠猫をかむということわざがあるがもはやここまでくるとその噛みつくための歯すら抜き取られてしまったようなものである。
そして、忍者5人のリーダー格なのであろう。一人だけ赤い忍装束を纏っているその忍者が7人に最後通牒を行う。

「我々に降伏してこの世界を明け渡すというのなら命だけは助けてやってもいいぞ?」

しかし、一方的に宣告してきた忍者に対してもこの世界の主、湯乃香は少しも臆することなく、こう切り返した。

「断るよ。ここが、私たちの世界。最後に残った、私たちの誇り。それを汚させはしないよ!」
「そうか…ならばその誇りとやらを踏みにじってやろう!」

その忍者の号令とともに、5人の忍者は7人に襲いかかった。もはやこれまでか…諦めて目を閉じる。しかし、10秒たっても彼らの刀に切りつけられた
感覚も激痛もない。不思議に思い湯乃香が目を開くと、なんと例の忍者が突然現れた8人組の手によって制圧されていた。
しかも、その中のうちの一人には湯乃香も見知った顔であった。クラウス・ブライトである。そして彼女の肩に触れるものがあった。
驚いて振り返ると、あのセフィリア・ブライトが湯乃香を見つめてほほ笑んでいた。そして、湯乃香に優しく語りかける。

「こんなに早く再会できるとは思いませんでした。私たちが帰った後に大変なことになっていたみたいですがもう大丈夫です。兄さんたちがきてくれましたから」

赤い忍者を取り押さえているアリーヤがその忍者に向けて極めて高圧的に言う。

「いいか。貴様らの首領に伝えろ。手負いの女子供たちに手をかけようとする卑怯者は我ら告死天使が必ずや排してやるとな」

アリーヤは残りの7人に目を配る。無言で頷き、開け放たれたままの扉の外に忍者5人を蹴飛ばして追放する。
刀は没収されており、彼らに再び襲いかかる余力はなく、またあったとしても圧倒的な実力差を見せつけられもはやその気力も残ってはいまい。
覚えていろ!とお決まりのセリフを残し尻尾を巻いて逃げて行った。
そして、8人は湯乃香たちに向き直る。その一人、クラウスは湯乃香にニコっとほほ笑みかけた。

「あれ、クラウス君この人たちと知り合いなのかな?」
「うん、以前お世話になったことがあってね」

そんなクラウスの様子を不思議に思ったフィオとクラウスのやり取り。クラウス以外の7人はこの世界のこともまた湯乃香たちのことも
なにもわからない。初めてクラウスがここに来た時と同様、彼らは自分がなぜここにいるのか飲み込めずにいた。
だがこの世界にやってきた直後、謎の忍者たちに7人が今まさに襲われているところだった。状況はまるで理解できていなかったが
そこで自分たちがなすべきことは十分に理解していた8人は湯乃香たちを助けたのである。
危機も去り、ようやく落ち着いて話ができる状態になりアリーヤが湯乃香に説明を求め、湯乃香はお決まりのセリフを吐いた。

「ここは温泉界!そして私は番台兼管理人の湯乃香!よろしくね!さっきは助けてくれてありがとう。クラウス君とは久しぶり!」
「うん、久しぶりだね。元気そう…ではないみたいだけど」

クラウスの言葉通り、湯乃香たちは傷を少しでも癒すために傷に包帯や絆創膏を貼っており、見た目に非常に痛々しかった。
するとシオンが7人に歩み寄って傷の程度を確認する。初対面の人間に身体を任せるほど彼らはお人よしではなかったが
シオンは白衣を着ているうえ胸のネームプレートには医師としっかり明記されていたため、彼らは身体を任せることにした。

「湯乃香さん、と言ったね。この包帯を巻いたのは誰になる?少し冷たい言い方をするがこんな処置では治る傷も治らない。
 包帯と消毒薬を貸してくれ。私が処置をやり直そう」

この包帯を巻いたのはアリスなのだが、湯乃香はなにも言わずに部屋の救急箱をシオンに手渡した。
そこからまずは消毒薬を取り出して、7人に巻かれている包帯を剥がしていく。先ほどの湯乃香の説明ではこの世界では裸でいるのが
ノーマルなスタイルのようだがこの非常事態でヌードなど自殺行為以外の何物でもなく、今は全員服を身に纏っていた。6人は最初この世界に来た時の服、
湯乃香はなぜかどこかの学校の制服を身に纏っていた。包帯を剥がし、コットンに消毒薬を染み込ませて傷口へと添付してゆく。
シオンが治療にあたっている間、7人は湯乃香たちに自己紹介を行う。湯乃香たちも7人に自己紹介を行い、互いの身元が分かったところで
話は今後の対策へと移る。しかし忍者たちがなぜこの世界に入り込むことができたのか、またその目的など一切不明であり迂闊な行動は危険であった。
ひとまず負傷した湯乃香たちの傷が癒えるのを待ち行動に移るということになる。果たして、忍者たちの目的とは…?



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