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キャラ設定氷魔その三

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34 無題


「ほらよ」
華煉は板戸を開けると、ぶっきらぼうにそう言った。零は「ああ」と一言だけ言うと、中へと入っていった。
六畳程度の土間の部屋だった。大昔の日本風、といった質素な作りで、それこそ時代劇で見るような家だ。
奥にはちゃんと畳の部屋があるのだが、それにしても若い女が一人で住んでいるとは、到底考えられない。
「純血の直系だろ?えらい寂れた所に住んでるんだな」
零は振り返り、まだ入り口の所に立っている華煉に言った。
「別に不便はねーよ」
華煉の物言いはいちいちぶっきらぼうだ、と零は思う。
が、自分自身、突き放した様な物言いを指摘されることも多々あったため、それを棚に上げて
彼女にそう言うようなことはしない。まぁ華煉なら、別に言ったところで何か嫌に思うようなこともなさそうだが。
「危ない事も…まぁ他の奴らからしたら、あったっつってもいいのかの知んねーけど」
何が言いたいのかは、五行の力を持つ者同士、零は直ぐに理解できた。
「まぁ、華煉襲ったら殺されそうだ」
「そりゃ零もでしょーが」
華煉は男っぽい笑顔を浮かべ、家の中へと入ると、後ろ手に板戸を閉め奥へと進んでいく。
「茶ぐらいだすよ」
「ああ」
そういえば、と零は思う。
(友達いないし、こうやって人の家に上がるのって初めてかもな…)


二人は火のついてない囲炉裏を挟んで、向かいあって座っている。二人共足はだらしなく崩していた。
「で、妹さんの居場所まだわかんねーの?」
「ああ」
「おっさんは何か言ってたか?」
華煉の叔父の事だ。以前手合わせた時の事を、零は思い出した。
「…まぁ、な」
零は俯いた。その様子に、華煉は溜め息を一つ吐く。



「奴は誰でも子供扱いするんだよ、いちいち気にしてたらたまったもんじゃない」
「奴って…」
上げた零の顔は、呆れたようだった。
「叔父だろ?そんな風に言っていいのか?」
「あんなのは奴で結構」
華煉は顔を顰めて目を横に向ける。彼女も彼にいいようにあしらわれているのだろう。
「…なぁ、聞いていいか?」
零には気になっていた事が一つあった。
「"鳳"って、華煉のモノなんじゃないのか?」
そのことか、と華煉は思う。叔父は純血の直系ではない。彼は華煉の母親の腹違いの弟なのだが
彼の母親は一般人。五行の者ですらない。そのため本来は、鳳の正統な後継者は華煉であるはずだ。
「…私にゃまだ早いんだってさ」
「早い?」
「お前はまだ弱いって言われた。つーか弱すぎふざけんなって…」
華煉は叔父にまだ勝てなかった。年の功か、本来の潜在能力は華煉の方が遥かに上、であるのに
焔群を使いこなせるのは叔父だけだった。やはり領域を使いこなすには、かなりの鍛錬が必要なのだろう。
零にしても、霜織を一応は使えるものの、完全に使いこなしているとは到底言えない。
華煉の叔父の前に膝をつく結果となるのも、無理はないだろう。
「弱いって…宝器持ってなかったら、領域はそんなたいして使えないだろ?
 たしか領域って、宝器あってこそ使いこなせるようになるもんなはず。鍛えようがないんじゃないのか?」
「…素の状態で俺を倒せってさ」
華煉ははき捨てるように言った。苦虫を噛んだような顔で。
「はぁ?相手は宝器ありだろ?無理だろ、それは」
零がそう言うのも仕方がない。彼の力は、手合わせした零自身もよく知っている。
「…くっそー!あのおっさんマジでムカつく!ウッゼぇ!」
「あ、あの人の話はやめようか…?」
零は華煉の頭上に湯気が見えるような気がした。

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