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無限桃花の愉快な冒険11

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eroticman

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ここは海沿いの創発の館(仮)。
サムライポニーテール少女、無限桃花は今日もやることがなく、布団の中でまどろむばかり。
しかしこんなことをしていてはいつか精神が腐ってしまうので起き上がって身支度をする。
専ら食事を取るだけに使うテーブルの上にはメモ用紙が置いてある。先日会った料理長ロリ桃花に教えてもらった各所への近道だ。
これを見るまで知らなかったがここには普通に行くことが出来るサロンを始め、図書室、床屋、教会、スポーツジム、プール、銭湯、ゲーセン。
挙句の果てには郵便局まで存在する。もはや一つの立派な町だ。そもそも利用者がいるのかどうかわからないが。
今日はこの中の屋上に行ってみることにした。天気は晴れ。海風がきっと気持ちいいだろう。そんなことを考えたのだ。
早速部屋から出て、目的地に向かう。行くまでの過程は長いのでここでは省略させてもらう。

青い空。白い雲。煙草を吸う桃花。
「……」
「……」
桃花は空を眺める。長い階段を抜けたら、自分が煙草を吸っていました。もちろん桃花自身ではない。違う桃花だ。
桃花は気付いていないらしく、お粗末な丸い椅子に座って海を眺めている。時折、煙草を口に含みゆっくりと煙を吐いていた。
共通設定がある以上似たり寄ったりになるだろうと思われている桃花だが案外そうでもない。ロリ桃花はちょっと例外すぎるが
ポニーテールと一言に言っても尻尾の長さが違ったり、髪の色が違ったりもする。当然背も高かったり低かったり痩せてたり太ってたりと
するので一度慣れれば案外見分けがつく。
それでは眼の前の桃花はどうだろうか。
なんだか無理矢理にまとめたポニーテール。冷めた目つき。長い足。立てかけた黒い刀。控えめな膨らみ。
この時。桃花は思わず一歩後ろに下がった。そう、眼の前にいる桃花はあまりにも、圧倒的に、完膚なきまでに。
「大人……」
大人桃花が桃花のほうをちらっと見る。が、さして興味を持たなかったらしくすぐに視線を海に戻す。
遠慮がちに大人桃花へと近づく桃花。近くまできてわかったが足だけでなく背も高いようだ。
大人桃花はポケットから煙草を取り出し、桃花に差し出す。
「いや、私は吸わないので……」
「ん」
大人桃花はポケットに煙草を仕舞う。そして海を眺める。桃花も海を見るが変わりはない。いつも通り海は満ちては引いてを繰り返している。
「えっと、始めまして」
「始めまして」
波が崖を叩く。風が吹く。沈黙が流れていく。桃花はちょっと泣きたくなった。
「ずっとここに?」
「そうだね」
「一人で?」
「一人で」
「海を眺めているんですか」
「海も眺めているね」
大人桃花が上を指す。桃花が上を見るが青空と白い雲しかない。
「空、ですか」
「そうだね」
会話が続かない。ここまで会話が続かない桃花はそうそういないだろう。不機嫌に見えるかもしれないので一応言うと
大人桃花は元から口数が多いわけではなくこのように空や海を眺めながら煙草を吸うのが大好きなのだ。
なのでどちらかと言うと上機嫌なのだが決して表面に出ないので常時不機嫌に見えてしまう。
そんなことを桃花が知る由もなく不機嫌にしか見えない大人桃花の前でおろおろしていた。
「えっと……年齢って私達と同じですよね」
「そうだね。18歳という設定だね」
「それじゃあ煙草はだめじゃないですか。煙草は成人、20歳になってからですよ」
「日本ではそうだね。ここは日本かどうかも定かじゃないし」
大人桃花は煙草を口に加え、ゆっくりと吸う。赤く燃える先端。口から離し煙をゆっくり吐く。
「その程度のことを守ろうとする人間も極少数」
「その程度、ですか」
「酒豪もいるし私以上のヘビースモーカーもいる。戦闘狂もいれば、変態もいる。この館では日夜法律を破ってるばかりだ」
「そんな人たちがいるんですか……」
「そのうち会うよ。何せここは広いけど世界の縮図にしては小さすぎるからね」
大人桃花は今にも落ちそうな灰を地においた灰皿に落とした。
どっとはらい。



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