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キャラ設定氷魔その一

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10 無題


 真夜中の校舎の暗い屋上で、氷魔零は目を閉じると、低く呪文を唱えた。その足元の地面が
徐々に光を帯び始め、やがて直径2メートルほどの青白い魔方陣が浮かび上がる。零はその
まま両手を前方に突き出し、掌を広げると、いきなり中空から何かを掴み出すような動きで、胸
の方へぐんと引き付けた。瞬間、その手元に燐光を放つ鞘入りの剣が現れる。
 零は目を開けると顔を上向きにし、上空を睨んだ。そこには一匹の巨大な悪魔が蝙蝠のような
翼を広げ、真紅の炎を全身に帯びさせつつ中空に浮遊している。それは星空に浮かぶ一個の
恒星のようだった。
「さあ、降りて来い、化け物。それとも僕が怖いのか?」
 零が冷ややかに言うと、悪魔は鋭い歯の並んだ大口を開けて哄笑した。
「下等な人間風情が片腹痛いわ。すぐに灰にしてくれる!」
 そう言うと、その一つ目を一杯に見開いた。瞬間、耳をつんざくような炸裂音が響き渡り、目玉
の中央から巨大な火の玉が発射される。氷魔零が間一髪で横に飛んで避けると、火の玉はコン
クリートの床に当たって爆発した。零は転がりながら体勢を起こし、素早く立ち上がると、手にして
いた剣を鞘走らせた。その刀身は奇妙な浮き彫りの文様が施され、全体が冷たく鈍い光を帯び
ている。悪魔は歯をむき出して笑うと、
「よく避けた。少しは歯ごたえがあって楽しいぞ。しかしいつまで逃げられるかな」
 零は腰を低く落とすと、剣を正眼に構えた。悪魔はそれに向かって再び目を見開き、火弾の
二発目を放つ。零は今度はその場を動かず、剣を思い切り振り上げると、裂帛の叫びと共に振り
下ろした。火の玉は撃剣に触れると、一瞬にして四散して、跡形もなく消滅した。
「何だと?」悪魔は唸った。「そんな馬鹿な。俺の火炎を一撃で!」
 片手に剣を引っさげて立つ零の周囲に、白い冷気が靄となって取り巻いている。少年の双眸
に青い鬼火のような光が宿っていた。



「分かったか、炎の悪魔。僕の剣は氷の属性だ。お前の攻撃はすべて中和される」
 中空で憎悪に顔を歪める悪魔に、零は挑発するように笑みを浮かべた。
「さあ、早く降りて来い。互いに魔力が通じない以上、肉と肉で撃ち合うしかない。それとも人間
風情を恐れるお前なのか?」
「ほざくな!」
 悪魔は吼えると、空中で回転して頭を下に向け、猛スピードで垂直降下して来た。零は相手
にタイミングを合わせるよう地面を蹴り、ジャンプしながら叫んだ。
「氷刃斬!」
 刹那、二つの影が交錯し、すぐに離れる。悲鳴の声を上げたのは悪魔の方だった。コンクリ
ートの床に激突した悪魔は呻き声を上げながら、ゆっくり起き上がる。背中に生えている蝙蝠
の翼の片方が、根元から鋭い切断面で斬り取られている。荒い息遣いで振り向くと、十メートル
ほど先に居る少年の影を睨んだ。零はまったくの無傷で平然と立っている。
「これでもう飛べないな」零は鋭く言い放つ。「決着をつけてやる。魔剣アブソリュートはお前の
死を欲している」
「小僧!」
 炎の悪魔は牙を剥き出して咆哮した。氷魔零は魔剣の柄を強く握り締めると、気迫の叫びを
上げながら、獲物へと突進した。

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