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創発トーナメント準々決勝戦 1

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hasamisan

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創発トーナメント準々決勝戦 その1


創発トーナメント・ベスト8



実況「試合も進み、準々決勝! ベスト8が出揃いました!」

ワーワーワー

実況「それでは、もう一度各選手を紹介いたしましょう!」

ワーワーワー

実況「準々決勝一回戦はこの二人! ハルトシュラーVS倉刀 作!」

実況「この二人は師弟関係! ハルトシュラー選手は試合を数々の技で打ち破ってきました!
  対する倉刀選手も同じ流派! 手の内を読まれて苦戦するのか? それとも師匠の貫禄を
  見せて勝ち進むのか? 目が離せません!」

実況「倉刀選手はサンスーシ選手のリザーバーとして出場です! リザーバーと侮るなかれ
  彼は大会主催者の推薦、そしてその武技はハルトシュラーが師事しています!
  教えが試合で花開くか? 師匠を越えることが出来るのか?
  その答えはのちに明らかになるでしょう!」

実況「二回戦は、ジョン・スミスVSキュムキュム!」

実況「どちらも実力者同士! ジョン選手は二試合を危なげなく勝ち進んできました!
  いまだ苦戦という程を味わっておりません! はたしてこの男が実力を見せるのは
  決勝なのか? それともこの試合からなのか! コートの奥からはうかがい知る事が出来ません!」

実況「加藤キューピー、通称キュムキュム選手は素晴らしい技で対戦者を料理してきました!
  その笑みの奥底には、達人の業と冴えが垣間見る! 強虎を料理するのはこの男なのか?
  この試合は、決勝というメインディッシュのオードブルに過ぎないのかーーーーッ!?」

実況「三回戦は二大女傑! 魔女さんVS直りん!」

実況「魔女さん選手は恐るべき魔法を我々に見せつけてくれました! その秘法はまだまだ
  底が知れません! 次の試合も更なる魔法の奥義を披露してくれるのか!
  我々はすでに、彼女の魅了の術にかかってしまっているーーーッ!」

実況「今大会のダークホース! 直りん選手はまったくの無名ながら試合を勝ち進んできました!
  まったくの実力未知数! 不敵な笑みは、優勝への自信からかーーーーッ!?
  ジーク星では、笑みは死の別れを意味する!」

実況「準々決勝のトリを務めるのは、椎名唯人VS◆gRK4xan14w!」

実況「唯人選手は小兵ながらも勝負を制しここまであがってきました!
  その可憐な容姿に油断してはいけない、ここに居るのは真のツワモノ!
  マジカル☆パワーが本大会で華開く!」

実況「カオスディメンジョン! ギャザラーシュマゴラス! 這いよる混沌!
  ◆gRK4xan14wは不可思議な妙技で対戦者を破ってきました! この大会は
  彼のターンで終了してしまうのかーーーーーーーーーーッ!?」

実況「休憩ののち、試合再開です!」

観客「ウォォォォン!!!」


第一戦



―――選手控え室

ハルト「さて、次の試合はお前との試合だな」

倉刀「……ええ」

ハルト「弟子の成長、確かめさせてもらうぞ?」

倉刀「……ええ」

ハルト「……どうした倉刀? 調子でもわるいのか?」

倉刀「いや……なんでもありませんよ」

ハルト「そうか、まあ試合で緊張せずにいつものお前で来い」

倉刀「……ええ」

ガチャリ

美作「ヤッホー! ばあちゃん、応援にきたよ!」

ハルト「美作……どうしてここに?」

美作「そりゃあばあちゃんのためなら火の中水の中、閨の中、どこだって行くさ!
  あ、倉刀はオマケね!」

ハルト「はぁ…、試合の邪魔だけはするなよ?」

美作「もちろん!」

ガチャリ

係員「ハルト様、倉刀様、そろそろお時間です」

ハルト「うむ、わかった」

倉刀「……はい、わかりました」

美作「ばあちゃんの試合、楽しみだなー」


コツコツコツ……

ハルト「……」
倉刀「……」
美作「……」

コツコツコツ……

ドンッ

男「あっすいません」

倉刀「……」

ガシッ

ハルト「?」
美作「?」

倉刀「テメー、俺の財布盗めると思ったのか……ボケが」

ベギィッ!

倉刀「ヘド、ブチ吐きなッ!」

男「ホゲー」

倉刀「その尻穴拭いた汚ねぇ手で俺の財布をスリ盗ろうとするなんざよーーーーッッッ!!」

ベギベギベギィッ!

倉刀「こいつはメチャ許せんよなぁ~~~~~」

美作「バ、バックブリーカー? 凄い、あんな大技を……」

倉刀「ほらほらほ~~~ら」

男「ゲボッゲゲボォッ!」

ハルト「おい、何をやっている倉刀! 死んでしまうぞ!」

ドンッ!

ピクピク……

倉刀「痛いなぁ……そう押さないで下さいよ……ちょっと試合前で緊張してるだけですよ?
  それに、こいつは財布を盗もうとしたんですよ、懲らしめてやって当然じゃないですか……
  違いますかね? ハルト師匠!?」

ズビズバー

ハルト「……」

美作(倉刀の奴、どうしちゃったんだ?)


ワーワーワー

実況「準々決勝、第一試合目!」

ワーワーワー

実況「師弟対決! 注目の一戦です!」

ワーワーワー

実況「西の方角! 偉大なる創作閣下! S・ハルトシュラー!」

ハルト「……」

ワーワーワー

実況「東の方角! 偉大なる業は俺が引き継ぐ! 倉刀 作!」

倉刀「……」

ワー

主催「さて、この試合どう見るか……」
乱立「強い奴が勝つ、それだけさ……フフ」

美作(ばあちゃんが勝つ、と思うけど……倉刀の奴、なんか変だったな……)

実況「それでは試合開始です!」

S・ハルトシュラー VS 倉刀 作


ワーワーワー

倉刀「どうしたんです、何怖い目で睨んでるんですか? まさかアンタ冗談もわからない
  カチコチの石頭じゃないでしょうね」

ハルト「いや、別に……ただ、目を覚ましてもらおうと思ってな……」

す……

ハルト「何かに取り付かれている貴様には、一発きついお仕置きが必要だと思ってな」

倉刀「!」

バグゥンッ!

実況「まずはハルトが先制攻撃! 倉刀おおきく吹っ飛んだーーーーーッ!」

バタンッ!

倉刀「クックックッ……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀「取り付かれてるのとは、ちょ~~っと違うなぁ~~~~~~レロレロレロレロレロレロレロレロ」

ハルト(こいつは! ……倉刀じゃない!)

倉刀「まだ気づかないのかい? 目の前に居るのがコイツじゃないって事に……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀「アタシは対象の言霊を支配下におき、同化する能力……偉大なる七英雄が一人、
  千の銘をきざみし『きっちり』」

バッ

倉刀「そしてこれがアタシの本体のビュティーフェイスだ!」

実況「倉刀、虚空から刀を呼び出したーーーーーーッッ!!」

スゥラァーーーーーッ

倉刀「ハルトさん、貴女の命……貰い受ける」

ハルト「なるほど、何処の馬の骨か知らぬが、不肖の弟子を操って私の命を狙うか……浅薄な事よ」

ざし

ハルト「やってみるが良い」

倉刀「ウシャァァーーーーーーッッ!」

実況「倉刀、ハルトに切りかかるーーーーーッッ!」

美作「ばあちゃん!」

ハルト「遅い!」

シュバ!

観客「おお!」
美作「ああ!」

倉刀「なっ! 白刃取り!」

ハルト「はぁっ!」

バシ!

実況「ハルト、刀をそのまま引き寄せ、倉刀に蹴りーーーーーッ!」

倉刀「ちぃ!」

実況「これをステップで倉刀かわす!」

ハルト(刀は手離せなかったか……)

倉刀「ウシャァァーーーーーーッッ!」

実況「再び切りつけたーーーーッッ!」

ハルト「何度やっても無駄だ……」

バシ!

ギリギリギリ……」

ハルト「おお!? …この剣撃は!?」

倉刀「貴様の『白刃取り』の言霊はさっきキッチリ取り込んだ! 一度発した言葉に
  対しては絶対に負けない!」

ハルト「!」

ギリギリギリ……

実況「おおーっと! 先ほどと同じ様に白刃取りで受け止めたが、ハルト選手がピンチッ!
  じわじわと倉刀が押しているぞーーーーーッッ!」

ハルト「くっ……」

倉刀「しびれるか? フフ……どの程度まで耐えられるかな~~~!」

パッ

実況「おおっと! 力尽きたか、ハルト選手両手を離したァッ!」

倉刀「勝った! ルパンスレ完!」

美作「ばあちゃん!」

バキィ!

倉刀「あぐっ!」

実況「上手い! ハルト選手相手の突進を生かしての頭突き! 身体をひねってかわしたーーーーッ!」

観客「ワーーーーーーッ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀「『頭突き』とはな……中々の判断力だ……だが―――」

倉刀「それももう覚えた」

実況「倉刀選手、構えを変えて間合いをはかるーーーーーッッ!」

ハルト(まずい……なんとか手加減して試合を終わらせたいが……難しい
  止めをささないと、逆にこっちがやられる……)

倉刀「おっと、何とか倉刀を助け出そうと画策してるな……だがそれも無理な事……
  なぜならば!」

バッ!

倉刀「とっておきの! ダメ押しという奴をみせるからだ!」

実況「倉刀、またまた刀を召喚したーーーーー!」

倉刀「倉刀 作+きっちりさん! 達人二刀流!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀「フッフッフ……」

パシュ!

実況「倉刀! 刀をひとつ放り投げた!」

ヒューーーーーン

実況「ハルト選手の頭上へと迫る!」

ハルト「!」

実況「倉刀、刀を持ったまま肩と腰の後ろ越しに両腕をやった!」

倉刀「受けてみるか! ハルトシュラー!」

バッ!

実況「倉刀、その体勢のままハルトへと迫るーーーーーッ!」

ハルト(頭上を交わせば奴の刀が…奴の刀を交わせば頭上の刀が……)

ハルト「ならば!」

ダッ!

実況「ハルト、前方へと駆ける! 倉刀と真っ向勝負だーーーーッッ!」

ハルト「こい!」

倉刀「やらいでか! 一の太刀+変移抜刀霞斬り!」

バシュ!!!

タッ   タッ

ハルト「うぐ……っ!」

実況「両者交差! 勝ったのは倉刀だ! ハルト出血ーーーーーーーーッ!
  がっくりと膝を落とすーーーーーッッ!」

観客「ワーーーーーーーーッ!」

美作「ばあちゃん…! 倉刀も、まるで別人みたいに強い…」

主催「まずは一本じゃな」
乱立「……ああ」

倉刀「フッフッフッ……どうしました? 弟子の身を案じた攻撃では、アタシは倒せませんよ?
  ……だが出来ますか、人の業を捨てきれぬ貴女に、コイツを討つ事が? 大切な、大切な
  お弟子さんなんでしょう? アハハハハハ」

……ピク

ハルト「なるほどな、確かに躊躇する半端な攻撃ではお主に通じん。覚えられて反撃を強化
  されてしまうのがオチであろう……」

倉刀「フッフッフ、その通り。わかってるじゃない」

ハルト「弟子の身を人質にして卑劣な真似をされるとは……虚仮にされたものよ……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀「……?」(……なに?)

ハルト「やってくれた喃……やってくれた喃……」

バババババババババババババッッ!

倉刀「!」

実況「おおっと!? ハルト選手の周りに様々な武器の柄が浮かんだーーーーッッ!」

美作(あれは……ばあちゃんの召喚術、『ゲートオブマヨヒガ』!」

すぅらぁーーーーーっ

実況「そして、その一つに、人差し指と中指でつまむ様に、武器を掴んだーーーッ!
  まるで猫科動物が爪を立てるが如き、異様な掴み! そしてその武器は奇しくも
  同じ日本刀だーーーーーーーーッッ!」

観客「ワァーーーーーーーッッ!」

ハルト「どこの馬の骨かは知らんが……これより、本日この場にてその方に流儀秘奥を
  伝授いたす……見事、覚えてみせるがよい」

倉刀「……!」(なんだと!?)

す……

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ハルト「 狂 ほ し く 血 の ご と き 月 は の ぼ れ り 」

実況「ハルト選手、刀を水平に構えた。そしてもう片方の手で刀を掴む!」

ハルト「 秘 め お き し 魔 剣 い ず こ ぞ や 」

実況「その姿はまるで、刀を奉げ持つ巫女のようだーーーーーーッッ!」

観客「オォーーーーーーーーーッッ!」

美作(あれは……『流れ星』……ばあちゃ、ううん、師匠は本気だ……)

ハルト「やってくれた喃……やってくれた喃……」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

実況「両者、睨み合いが続いているーーーーーッ!」

倉刀(異な掴み……だが、間合いは遠い、遠すぎる)

じゃり

倉刀(貴様が踏み込んだ時が最後だ)

実況「倉刀選手も上段に構えた! こちらはさながら刀を携えた金剛力士のようだ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀「日が暮れるぞ、臆したか師匠、いや……ロリババァ」

ハルト「左様か」

ピシュン!

観客「!」
美作「!」

実況「皆さん、見たでしょうか……いえ! 視えましたでしょうか! ハルト選手が動いたと
  思ったらすでに! なぎ払われた後だったーーーーーーーッ!!
  一閃! まさに一閃だーーーーーーーーーーーッッ!」

観客「ワァーーーーーーーーッッ!」

倉刀「だが、遠い。かすりもせぬわ」

ニヤリ

倉刀「かすりも―――」

ピシ

倉刀「……!?」

ごとん

ざわ…ざわ…

観客「おお……」

実況「おおおーーーっと! 倉刀選手の刀が! 綺麗に柄の根元から落ちたーーーーーッッ!」

ハルト「妖刀絶つべし」

倉刀「なん……だ…と…?」

……ぐら

実況「ダウン! 倉刀選手ダウーーーーーン! 一体何が起こったーーーーーーッッッ!」

観客「ワァーーーーーーーッ!」

美作「春斗魔刃剣には『流れ』と呼ばれる特殊な掴みがある……」


遠間から放たれた、一閃の最中!

ハルトシュラーの右手は鍔元の縁から柄尻の先まで横滑りしていたのである!

切先は予想以上に伸びていた!

精妙なる握力の調節が出来なければ、刀はあらぬ方向へと飛んで行ったであろう!

秘剣『流れ星』!

左手によって押さえられた刀身は、力を極限にまで高められ『流れ』を加速させる!

その迅さはまるで、天を駆ける星の様!

何人がこの魔技から逃れる事が出来ようか!


ワーワーワー

実況「ハルト選手、倉刀選手のもとへと歩み寄るーーーーーーッッ!」

倉刀「……う」

ハルト「気づいたか、倉刀」

倉刀「し、師匠、俺は……何ていったらいいのか……」

ハルト「刀に魅入られおって、未熟者が」

倉刀「……すいません」

ハルト「災いの元は破壊した、あそこに転がっておるわ」

倉刀「刀を握った時、意識を乗っ取られました……なんですかアレは?」

ちら

ハルト「知らん、既に破壊した。わかっている事はこの大会に何者かが暗躍しておるようだ」

倉刀「……はあ」

ハルト「戯言はそろそろ終わりだ。さっさと立て」

倉刀「……は?」

ハルト「この試合は私とお前の試合、他に誰も入る余地はない。無様な醜態を晒していると
  サン先生が嘆くぞ……さっさと立たんか」

倉刀「あ……は、はい!」

実況「倉刀立ち上がったーーーーー! ハルト選手、何もしない! 余裕の行動だ、
  さすが閣下ーーーーーーッッ!!!」

観客「オォーーーーーーッッ!」

ハルト「さて倉刀、徒手で参るか? それともこのまま真剣でやるか?」

倉刀「……徒手にて」

ハルト「応」

バババババババババババババ

実況「周りに浮かんでいた武器達が、虚空へと消えていく! 二人とも拳を構えたーーーー!
  どうやら今度は武器無しのようだぞーーーーーーッ!」

観客「ワァーーーーーーッ!」

ハルト「ではいくぞ……把!」

バッ

倉刀(正拳突き……)

ガッ

実況「倉刀、正拳突きを払ったー! そのまま踏み込んで肘打ちを狙う!」

ババッ

倉刀(腹部への拳打……正拳突きは囮!)

ガシッ

実況「陰に潜んでいた左拳を足を上げて防御! 肉薄した戦いだーッ!」

ハルト「並の者なら防げずに食らっていた―――」

……にこ

ハルト「出来ておる喃、倉刀」

倉刀「……オ、オス!」

観客「ワァーーーーーーッ!」

美作(なーんか、さっきと違って愉しそうなんだよねえ、二人とも)

ハルト「遠慮はいらんぞ、倉刀。オマエの持つ全力でかかってくるが良い」

倉刀「もちろんですとも!」

ずさ…

実況「おおっと、倉刀、おもむろに帽子をとった!」

ざわ……ざわ……

倉刀「この傷が痛むたびに、己の不明さを恥じてきた……」

実況「なんとーーーーッ! 倉刀選手の頭頂部から額にかけて、痛々しい傷痕がーーーーーッ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀「師匠ーッ、今日こそ貴方を越えてみせる! 倉刀 作の真髄、とくと見せましょうぞ!」

バババッッッ!

実況「倉刀! 凄まじい手刀の乱舞!」

倉刀「春斗羅漢激ーーーッッッ! ははッ! この手の動き、見切れますかーーーーーー!?」

ババババババババババババッッッ!!!

ハルト「……」

ピタァ!

倉刀「なっ!?」

ハルト「遅すぎる、アクビが出るな……」

ゴシャッ!

倉刀「ぐわ!」

実況「倉刀、蹴りを受けて吹っ飛んだ!」

観客「ワーーーーーッ!」

ハルト「なかなか鍛錬を積んだようだがまだまだ未熟、それでは世界で二番目だな」

倉刀「くっ!」

ハルト「奇をてらっては私には勝てんぞ……基本にかえれ、お前ならば出来るはず」

倉刀「……」

ハルト「やれやれ、そんな顔をしおって。もう一度基礎を教える必要があるな……」

ざし

ハルト「倉刀、アレをやるぞ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀「ア、アレを? ここでですか!?」

ハルト「無論」

倉刀「今は試合中なのでは……」

ハルト「だからこそ、だ。周りにお前の魂を見せてやれ」

ピィン!

実況「おおっと? ハルト選手、観客席に向かって何か投げた!?」

パシ!

美作「……硬貨?」

ハルト「美作!」

美作「は、はいっす!」

ハルト「……一曲奏でろ、『MASTER ONION』だ」

美作「え、ええ? はぁ……」

ガサゴソ ガサゴソ

実況「おおーっと? 観客の女性、楽器を取り出したぞぉ?」

美作「じゃ、いきますよー」

~~~♪ ~~~♪

実況「曲を弾き出したぞ! かなり軽快だ!」

ざわ…ざわ…

ハルト「ゆくぞ倉刀!」

倉刀「はい、師匠!」

ババァッ!

ハルト「流派! ハルト主義は!」

倉刀「王者の風よ!」

ババァッ!

ハルト・倉刀「全新! 系列! 天破侠乱!」

バシィン!

ハルト・倉刀「見よ! 【作曲家】ハルトシュラーで創作発表するスレ
  は赤く燃えているぅぅ!」

~~~♪ ~~~♪ ~~~♪♪

ハルト「Kick! Punch! It's all in the mind If you wanna test me,
  I'm sure you'll find that all the things I'll teach ya is sure to beat ya,
  nevertheless you'll get a lesson from teacher now」
(訳:蹴撃、拳撃、すべては心 かかってくるか?
  私の教えのすべてを知れば貴様なんぞ吹っっ飛んでしまうぞ
  だが、学ぶことだってあるはず)

ハルト「Kick」

倉刀「キック!」

ハルト「Punch」

倉刀「パンチ!」

ハルト「Chop」

倉刀「チョップ!」

ハルト「Block」

倉刀「ブロック!」

ハルト「Once more now―――」

ざわ…ざわ…

実況「こ、これはーーーッ! 前代未聞! 試合中に二人、曲に合わせて演舞を始めたぞーーーッ!」

~~~♪ ~~~♪ ~~~♪♪

ハルト「Come on now,why don't you follow my words,
  because we're almost done I'll make it easy at first
  I wanna see if you wanna see what it means to be the man with the master plan
  Are you the man now?」
(訳:しっかりついてこい、もう少しだ。最初は優しくしてやろう
  大計を持った漢になる方法がわかっているのか? 私に見せるがいい
  オマエは私の弟子だろう?)

ハルト「Here we go! now Kick Punch Block」

倉刀「キック、パンチ、ブロック!」

ハルト「Block Turn & Kick it」

倉刀「ブロック、ターン、キック!」

ハルト「And Punch Punch Punch」

倉刀「パンチ、パンチ、パンチ!」

実況「二人とも流れるような舞踏! 次々と型を披露していくーーーーッッ!」

~♪

ハルト「本日はここまで、基礎を再確認したようだな……音楽は良い、リリンの生み出した
  文化の極みだな」

倉刀「はぁっはあっ……はい…・…」
  (恥ずかしい……たまに師匠は訳のわからない事を思いつくなぁ……)

実況「おおっと、演舞が終わったようだぞ、二人とも再び臨戦態勢をとった!」

観客「ワァーーーーッ!?」

美作「やっぱり……楽しそうだね、お二人さん」

ギリ……

乱立「闘技場は、芝居をする所じゃ無いぇ……ッ!」

ハルト「さて、準備運動は終わりだな」

倉刀「そう、ですね」

ハルト「では試合再開といくか」

倉刀「……はい」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀(くっ……凄まじい気だ……)

フッ

倉刀(え…消え―――)

ドゴォッ!

倉刀「ぶふおっ!」

実況「強~烈! 倉刀、腹に打撃を受けて吹っ飛んだーーーーー!!!」

ハルト「ひとつ!」

ダッ!

実況「ハルト、追っかけるーーーーーーーッッッ!」

ハルト「ふたつ!」

バキィッ!

倉刀「あぶりぼぉっ!」

実況「追い抜いて背中に蹴りーーーー! 地面に叩きつけられバウンドーーーー!!!」

ベキィ!

ハルト「みっつ! 隙あり、猪鹿蝶!」

倉刀「げぼぉっ!」

実況「踵落とし! 決まったかコレはーーーーッッッ!!!」

観客「ワーーーーーーーッッ!!!」

ざっ

ハルト「どうした倉刀、お前の力を私に見せてみろ」

ハルト「私の奥義はあと108あるぞ」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

実況「ハルト、悠然と見下ろすーーーーーーッッッ!!!」

倉刀「へ……ヘヘ……容赦ねいっすね、師匠……」

ハルト「痛くなければおぼえぬゆえ」

倉刀「へ……ヘヘ……」

ぐぐ………

実況「倉刀ふらつきながらも立ち上がるーーーーーーッッッ!」

ハルト「倉刀、やめにいたすか?」

じろり

ハルト「この試合、やめにいたすか? 倉刀」

倉刀(師匠が……問いかけている……行く末を…己の道を……)

ガハッ

倉刀「戯言を……師匠」

にこり

倉刀「立会いにて不覚を負うたは倉刀の未熟、戦場と心得て事に望むべきでした」

ハルト「やめにいたすのだな」

倉刀「師匠……この日のため、倉刀は精進して参りました」

ガシッ!

実況「倉刀、構えた! 彼はまだまだやる気だ!」

観客「ワーーーーーーーッッ!!!」

ハルト「応、それでこそ我が弟子」

ババッ

ハルト「自らを信じると書いて自身……お前の技、私にみせてみよ。私に教えられた物ではなく、
  私に勧められた物でもない、私の模造品などではない、貴様自身を見せてみよ!」

倉刀「承知!」

ばっ

ふぁさ……

実況「おおっと、倉刀選手上着を脱いだーーーーーーッッ!」

倉刀「俺たちは、一分前の俺たちより進化する、一つ想えばほんの少しだけ前に進む、
  それが……創作家なんだ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

実況「こ、これはーーーッ!? 倉刀の背に昇竜の入れ墨が浮かぶーーーーーーッッッ!!!」

倉刀(かつて……山中をさ迷い俺はマヨヒガで師匠と出あった…)

倉刀「贋作家という薄汚い泥の中を這いずり回っていた俺に、一筋の光明が差し込んだ…
  作品を生み出す技術というものだけではなく……もっと大切なものを教えられたんだ……」

ざしっ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀「その大恩ある師匠から授かったもの、すべてをこの試合で出し尽くす……」

キッ

倉刀「ここにいるのはハルトシュラーの弟子でもなく、旗本嫡男でもない、ただの男!
  物を生み出す修羅、倉刀 作でござる!」

にこり

ハルト「漢の目になった……ようやく器がととのいおったのう」

ダッ!

ハルト「こい! 倉刀 作!」

実況「ハルト、突っ込んだーーーーーーーッッッ!

カッ―――

倉刀「廬山昇龍覇!」

ハルト「!」

ドグワァッ―――

実況「ハルト、強烈な一撃で空中高く吹っ飛ばされたーーーーーーーッッッ!」

グワッシャァッ!

実況「ダウン、ダウーーーーン! ハルトシュラーダウーーーンッッッ!」

観客「ワーーーーーーーッッ!!!」

倉刀(己の全創発力をかけて放つ必殺のアッパーブロウ、廬山昇龍覇……
  いかな師匠といえども、ただではすまないはず……)

実況「ハルトシュラー、地に伏せたままピクリともしなーーーいッッッ!」

倉刀「や、やったのか……?」

美作「う、嘘だろ……」

ズシャァッ!

倉刀「な! 寝たままの体勢で跳んだ!?」

ハルト「ブラボー! おおブラボー、ブラボー!」

スタッ

実況「ハルト、立ち上がったーーーーーッッ!」

ハルト「お前がこのような技を使えるとはな、嬉しいぞ」

倉刀(やはり、終わらないか……)

ぐぐ……

実況「倉刀、起き上がってきたのを確認するとまた構えた! 先ほどと同じ構えだーーーーッッ!」

ハルト「もう一度、同じ技を放つのか倉刀……」

倉刀「……はい」

ハルト「いいのか、倉刀。龍の右拳がガラ空きになるぞ……」

倉刀「!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀(し、師匠は知っておられる―――)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀(昇龍覇を一度うけただけで……見抜かれた……)

実況「またまた睨み合い! 互いの手をうかがっているのかーーーーーーッッッ!」

倉刀(俺の創発力が全身に満ちると浮かぶ背中の昇龍……その右拳を表からみた部分
  つまり―――)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀(俺の心臓の位置!)

倉刀(昇龍覇をうつ際、全身の力をのせようとして無意識に左の拳が一瞬下がる……
  時間にしてわずか百分の一、いや千分の一秒ほどだが、そのとき心臓はガラ空きになる……
  いわば廬山昇龍覇の唯一のスキ―――)

倉刀「そ、それを師匠は……たった一度の立会いで見抜いたというのか……?」

タラリ……

実況「あーーーっと、ハルト選手、額から出血ーーーーーーッッッ!」

観客「ワーーーーーーーッッ!!!」

倉刀「!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

倉刀(そ、そうであった……いかな師匠であっても、昇龍覇を受けて無傷でいられるはずがない
  あの出血こそがまさに証拠―――)

倉刀(あの出血はまもなく目に到達するだろう……その隙こそが……勝機!)

倉刀(あとは待つのみ……両の目がふさがるのを……)

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

タラ……


―――しかし、このとき倉刀が注視すべき部位は師匠の顔ではなかった

倉刀の注意が顔面に集中している隙に、ハルトシュラーは足捌きを変化させていた

肉食動物が獲物に跳びかからんとするが如き姿勢―――

ラ……

倉刀(俺は……翔ぶ!)

ス……

倉刀「廬山昇龍―――」

ナギッ!

ズシャッ!

倉刀「は……!」

ハルト「魔王に同じ技は通用せぬ……春斗! 有情断迅拳!」

倉刀「が……はっ!」

実況「ダ、ダウーーン! 倉刀ダウーーン! 速い、迅すぎるーーーーッッ!
  倉刀が攻撃を起こす前に、一陣の風が闘技場に吹いたーーーーーッッッ!」

ハルト「一つの創作で満足するものではない……我等には、まだその先がある」

倉刀「へ、へへ……まいったな……自慢の技が破られるとは……

ハルト「立て、倉刀。挫折がなんだ、次に新しいものを創造すればいい」

倉刀「きっついすねぇ、獅子は仔を千尋の谷に突き落とすというが―――」

ハルト「甘い」

倉刀「?」

ハルト「獅子は我が仔を千尋の谷に突き落とすというが、甘い……甘すぎる!」

ドドドドドドドドドドドド

ハルト「私なら、這い上がってきた仔を再び千尋の谷へ突き落とす、そう―――」

ハルト「何度でもだ!」

ハルト「艱難辛苦によってこそ創作家は鍛えられる! さあ倉刀よ立つがいい!
  創造を生み出せ! 発想を転換させろ! 思案を再構築して立ち上がれ!
  おのが五体全てを使って反撃しろ! さあ試合はこれからだ! お楽しみはこれからだ!
  Hurry! Hurry,Hurry!! Hurry,Hurry,Hurry!!」

倉刀「へ、へへ……師匠……」

ずるっ……

倉刀「貴方やっぱり……最高だ……」

がく……

実況「し、勝負あり! 勝負ありーーーーーーーーーッッッ!
  師弟対決、蓋を開けてみれば制したのはやはり、ハルトシュラーだったーーーーッ!!!」

観客「ウォォォォォンッッッ!!!」


トーナメント準々決勝
一回戦 S・ハルトシュラー VS 倉刀 作

春斗有情断迅拳により S・ハルトシュラー勝利


   to be continued……


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