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殿下と侍女長 第1話

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eroticman

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殿下と侍女長 第1話




沸き立つ血の池、聳える針山、轟く悲鳴。
ここは地獄の三丁目。
人間界と地獄を繋ぐ虚無の扉(ゲヘナゲート)の建設地である。
「まだ出来ないのかよー、おっせーなー」
黒のランドセルを担いだ男の子が、図面を持った現場監督のおっさんに文句を言う。
「申し訳ありません、殿下。なにぶん人間界の時空は硬くて、ドリルがボリボリ折れちゃうんです」
おっさんは脂汗を作業着の袖で拭いながら、ランドセルの小学生にへいこらして言った。
どうやらこの小学生、閻魔様の息子らしい。
おっさんは顔色は優れないが、酔っているわけでもないのに真っ赤だ。
赤鬼だから。
「これじゃあ小学校に遅刻しちゃうっつーの。
もし遅刻したら、親父に言って、朱天グループを地獄公共事業カルテルから外すからな」
「そ、そんなー!勘弁して下せぇよ!」
おっさんは苦悶の表情。
「なら早くゲートを完成させろ。明日までに出来なかったら、カルテル追放に加えて、地獄ダイ○ウスでヘウルゲイトスの門を買うからな。
領収書を回すぞ。金山なら二つ、人間なら一万人、鬼なら1000匹だ。一括払いしか受け付けられんそうだぞ」
ランドセルが一人でに開き、中から黒い靄が溢れ出す。
靄は大きな黒い手のシルエットになって、ランドセルの中から地獄○イワハウスのパンフレットを取り出した。
それを赤鬼のおっさんに手渡す。
おっさんは、パンフレットの参考価格欄のゼロの数を数えて、赤鬼なのに真っ青になった。
「ひいー!掘削急げー!!」
おっさんもシャベルを持ってトンネルの中に駆け込んで行ってしまった。
(ゼネコンの下請けはつらいものだな、ひっひっひ)
殿下は一通りほくそ笑んで、ランドセルから例の黒い靄を召喚し、PSPを取り出させた。
「さて、今度こそホワイトハウスに火柱見せてやるぞ」
PSP。
ペンタゴン・シューティング・プログラムである。
地獄には趣味の悪いゲームが売られているのだ。
亡者の積んだ石山に腰掛け、地獄の殿下はゲームに没頭し始めた。
その足下に、一匹の猫が寄ってくる。
「殿下、殿下。ゲームばかりしていては、お脳が倦んでしまいますニャ。
もっと閻魔大帝の御子息らしく振る舞っていただかニャいと」
猫がにゃにゃにゃと喋りにくそうにしゃべった。
その猫が、ピョーンと飛び上がって宙返りすると、「ドロン」というSEとともに煙が巻き起こる。
煙がはれるとそこには、スレンダーな女性が立って居た。
ただし全裸でネコミミだ。
ゲームからチラと目をあげ、溜め息ひとつ漏らしてから殿下はまたゲームを始めた。
「外で人化するなと言ってるだろ。侍女長(じじょちょう)が全裸で歩き回ってる方が家の恥だっつの」
「あら、ごめんニャさい。私ったらつい」
そう言って、猫又の侍女長はエプロンを付けた。
裸エプロンて奴だ。
「殿下も好き者ですねぇ……さぁ、存分に視姦してくださいニャ!さぁ、さぁ!折檻も強姦も承るニャ!」
「はぁ……教えてくれ、侍女長。夜魔族はどうしてそこまでおミソが沸いているんだ」
「そりゃ、閻魔様の血族を孕めば、覇権を握るチャンスですからニャ。
それに、"イカガワシイこと"してライフドレインするのが夜魔族の主食ですし」
「主人から覇権やライフを奪おうとするなっつの!お前は飯抜き!後宮の男娼減らす!」
「にゃ、ニャんですとぉ!?」


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