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名称未設定

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名称未設定




倒壊した家屋、瓦礫が散らばる道路。
荒涼とした風景は大災害の爪痕を今も残している。
多くの人々は都市へと避難し生きていこうとしていた。
郊外で生活するのはよほどの事情があるか、かなりの変人だろう。
そういう輩は遠からず、異形の被害に遭い命を落とす。

20XX年、日本。
そこは八百万の異形達が闊歩する、悪鬼夜行の世界。

かつてはネオンの輝きに彩られていた都市群も、今は見る影もない。
夜ともなれば人々はひっそりと、夜が明けるまで家に篭もる。
電気設備が十分ではないのが理由だが、それだけではない。
夜は、異形の領域だからだ。

月明かりの中、ひび割れた舗装道路を一台の馬車が進んでいた。
二頭の馬にひかせて夜の街中をカラカラと、静かに奔って行く。
見るものがいれば驚愕したであろう。
馬には首が無かったからだ。
いや、馬車に乗っている人物さえも。

黒光りする甲冑を着こんだ馬上の人物にも首が無かった。
己の首を脇に抱え、威風堂々と立っている。
その首は不敵に笑い前方を見据えている。

異形。
その言葉が、彼等をあらわすに相応しい言葉であろう。
人間が往来していた街道は、今や異形達のものだった。

悠然と歩んでいた馬車に、突然の衝撃が襲いかかった。
轟音をあげて路面が爆ぜる。
異形はとっさに手綱を握るが間に合わず、横転する。
その横倒しを合図に、廃墟から次々と人が出てきた。

「へっ、作戦成功。大枚はたいて爆弾を手に入れた甲斐があったぜ」
「リーダー、油断しては駄目です。まだ終わっていません」
「解ってるって、これからが本番さ。一条、佐伯! 俺の援護に回れ!
 巴はそのまま後衛にいな」

リーダーと呼ばれた男は、片手をあげて号令をかけた。
それに合わせて他の者は武突撃を行う。

「異形タイプ・デュラハン、頭部以外の箇所による攻撃はあまり効果がありません!」
「承知」
「アイアイサー」

一条と佐伯は銃に弾を込めた。
横転した馬車にむかって照準をあわせる。
大きな音と共に炎と雷が銃より発射され、馬車を異形ごと包んだ。
魔素を詰め込んだ特殊弾丸、炎弾と雷弾だ。

「もういっちょ!」

爆音をあげてリーダーが追い打ちの銃弾を放つ。
燃えさかる業火の馬車にむかって、それは見事に異形へと命中した。
ガアアアアッ!
苦し紛れか、それとも威嚇なのか、異形が雄叫びをあげる。

「異形、いまだ魔素反応有り」
「だろうねえ。各自散開、のち再び攻撃開始! 一箇所に固まるな!」

リーダーの合図に皆バラバラの方向へと距離をとった。
異形には個々で違う能力を持つ者が多数いる。
まとめてやられるのをさけるためだ。
廃墟の死角へと身を動かしながら、続けて銃弾を叩き込む。

首のない馬がどのようにしてなのかわからないが嘶きをあげた。
ゆっくりと、そして力強く馬車が起きあがる。

ズズズゥゥゥゥ……。

石臼を引き摺るような低い声を異形が発すると、次の瞬間
異形を中心として衝撃波が起こる。
爆風によって、馬車を被っていた炎はかき消されてしまった。

リィ、リィ……ウルゥゥゥリィィィィ……。

地獄の底へと響くかのような声を異形が絞り出すと、
馬車の周りの地面が盛り上った。
ボコリ、またボコリとひびが入る。
そのひびから這い出るように、複数の異形が姿をあらわした。

「……タイプ・スケルトン。敵、増援です」

先ほどとは違う、沈んだ声で巴は報告した。
新たに現われた異形は五体。
こちらは四人。しかし巴はオペレーターとしての役割があるので
戦力には数えられない。

「……へ、まいったね」

自嘲気味な笑みを浮かべ、リーダーはガンベルトへ手を伸ばす。

「勝てねえからって仲間呼ぶかよ、そりゃぁ……ねえぜ!」

悪態をつきながら異形達の中心に手榴弾を投げる。
大きな音と閃光をあげてそれは炸裂する。
スタングレネード。
対異形用に改良した強力な奴だ。
もっとも、それなりに値段が張ったが命には替えられない。
ダメージは無いが数秒は時間を稼げるだろう。

「仲間呼ぶなんて聞いてねえぜ! 退却だ! 全員退却!」

叫びながら、スタンの影響を受けた巴を肩に抱きかかえ、
リーダーは逃走を開始する。
一条と佐伯も背をむけて一緒になって逃げる。
離れていた場所に止めてあった車に飛び込み、急いで発進させた。
やっと状態が回復したのか、巴が車中で批難の声をあげた。

「いきなりスタンなんて、ちょっとは考えてくださいよ」
「おいおい、多勢に無勢だぜ? 逃げるのも選択肢に入るだろ。
 一条と佐伯をみな。ちゃんとかわしてついてきたぜ」

後部座席に座っていた一条は、当たり前といわんばかりに指を差す。

「ま、リーダーの事ですからね。どうするかは何となく読めてましたよ」
「無論」

一条にあわせて佐伯も相槌をうつ。
いまだ納得のいかない巴であったが、二人が無事ならばしょうがない。
自分が未熟だったという事なのだろう。

「……で、これからどうするんです、リーダー?」
「ま、敵の詳細を聞かされなかった事は不満だけどよ、俺達の実力不足もあるわな。
 キチンと報告して別の街だ」
「やれやれ……また違約金ですか」
「ははっ、そういうなって。次はもっとかるーく稼げるような仕事を頑張ろうぜ」
「アイアイサー」
「承知」

「そう上手くいくといいんですがね……」
他の三人の陽気さとは裏腹に、巴はおおきくため息をついた。

―――数日後

「依頼内容を説明します。うち捨てられた都市に大型の異形の報告がありました。
 幸いに我が都市から離れていますが、異形の目的がわからない以上、これを
 放置しておく事は付近住民の不安に繋がります。よって、あなた方に異形の撃破を依頼したい。
 敵は報告されている限り、ヂュラハンタイプ一体。あなた方の技量があれば、造作も無いこと
 でしょう。○○都市自治連は、あなた方の信頼しています。
 色よい返事がある事を期待しています」


依頼内容
   異形タイプ・デュラハンの撃破

報酬
   500000cr.


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