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ルパン「とんでもねぇお宝だぜジゲ~ン」 2

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hasamisan

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ルパン「とんでもねぇお宝だぜジゲ~ン」 2




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50 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 11:47:13 ID:tOhz7Vzk

     ・    ・    ・

ルパン「いや~、しっかしこりゃすげぇな」
次元「おいルパン、あれを見ろ!」
ルパン「ど~したんだよ次元。ん?……ッ! ありゃあ――!」

ハルト「どうした」

ルパン「……なあ、お嬢ちゃん」
ハルト「私は名乗った。ならば、名前で呼ぶのが礼儀というものだろう」
ルパン「おっとと、それもそうだな。
     ハルトシュラーちゃんってのは長いから、ハルトちゃんかな?」
ハルト「……」
ルパン「そんでさ~あハルトちゃん。あの絵はまさか……」
ハルト「知っているのか、あの絵を」
ルパン「そりゃそうさ! だってよ、あれは一部じゃとんでもねえ額がついてるシロモンだからな」
ハルト「詳しいな」

ルパン「一応、それがお仕事だしよ」


51 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 11:56:10 ID:tOhz7Vzk

ルパン「――この絵、『光差す庭』は失われたもんだ」

ルパン「作者不明のこいつは、一度観衆の目に晒されただけなのにとんでもねえ評価を受けた」

ルパン「なのに、補完されてた美術館からと~つぜん消えちまった」

ルパン「……まるで、魔法みたいによ」

ハルト「何故、これが本物の『光差す庭』だと思う」

ルパン「ヌフ! そりゃあ企業――いや、“稼業”秘密さ」

ハルト「ふむ」

ルパン「それで……ハルトちゃんはこいつをどこで手に入れたんだい?」

ハルト「なに、それは出来が良かったから――“返して貰った”だけのことだ」

ルパン「……“返して”……?」


52 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 12:03:57 ID:tOhz7Vzk

ルパン「……それによ、この廊下に飾られてるもんは全部値打ちもんだ」

ルパン「俺が知らねえもんもあるが、ほとんどが失われた名品……」

ルパン「知らねえもんだってよ、相当な値打ちもんに見えるぜ?」

ルパン「……お前さんがこいつらを一体どうやって手に入れたのか、
     是非教えてもらいたいもんだ」
ハルト「返して貰った、と言っただろう」
次元「へっ! まるで、元々自分のもんみたいな言い方をするじゃねえか」

ハルト「その通りだ」

ルパン・次元「へっ?」

ハルト「このコ達は――」


ハルト「――私が創ったものだからな」


54 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 12:13:44 ID:tOhz7Vzk

ルパン「私が創った?……おいおいハルトちゃん、馬鹿言っちゃいけねえよ!」
ハルト「事実だ」
ルパン「それじゃあよ、この彫刻もお前さんが作ったってのかい?」
ハルト「そうだ」

ルパン「……アッハハハハ!」

ハルト「何がおかしい」
ルパン「いいかい、こいつが創られたのは二十年前」
次元「明らかにお嬢ちゃんが生まれる前のもんだな」

ルパン「そうそう! ハルトちゃんが見た目によらず大人な女性ってんなら別だがな」

ハルト「鋭いな」

ルパン「あん?」

ハルト「私は見た目通りの年齢ではない、ということだ」


55 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 12:21:44 ID:tOhz7Vzk

ルパン(どういうことだ? 見た目通りの年齢じゃねえだって?)

ルパン「……」ジーッ
ハルト「? 何だ」
ルパン「……いや~、どう見たってよ」

つんつん

ハルト「頬をつつくな」
ルパン「見た目通りのカワイコちゃんだと思うぜ?」

むにっ

ハルト「ひははっ! はひほふひゅっ!」
ルパン「アハハハ、悪ぃ悪ぃ」
ハルト「……無礼な奴だ」

ルパン「確かにレディーの頬を引っ張るのはマナー違反だった。ごめんよハルトちゃん」
次元「まあ、まだ子供だけど、よ」

ハルト「……」


56 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 12:27:30 ID:tOhz7Vzk

     ・    ・    ・

ルパン「……それで次元。お前はどう思う?」
次元「この椅子の座り心地は良い。今にも居眠り出来そうだ」
ルパン「おいおいジゲ~ン……」
次元「何をどう思ってるのを言や良いってんだ」

次元「ハッキリ言うぜルパン。わからねぇことが多すぎる」

ルパン「……だよなぁ」
次元「大体よ、あの嬢ちゃんは一体何者だ?」
ルパン「そりゃあ、ハルトシュラーだろ」
次元「ルパン」
ルパン「へいへい、わぁ~ってますよ」


59 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 12:34:56 ID:tOhz7Vzk

ルパン「……あれから調べてみて、ハルトシュラーが人物だってことがわかった」

次元「ああ。それも、色んな分野に手を出してる変わりもんだってこともな」

ルパン「まさか俺の知らねえ所に、あ~んなすげえ人物がいるたぁ思わなかったぜ」

次元「調べが足りねえな」

ルパン「うるせえやい!……それで、何かの手がかりはねえかと
     ハルトシュラーの住んでたココに来てみたら……」

次元「……あの嬢ちゃんが居た」

ルパン「それも、名前はハルトシュラーで、ここにある作品は自分が創ったものだと言い――」

次元「――見た目通りの年齢じゃあねえ、か」


61 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 12:41:10 ID:tOhz7Vzk

ルパン「だけどよ、触ってみた感じじゃあの嬢ちゃんの肌は本物だったぜ」

次元「まあ、確かめるような事でもなかったと俺ぁ思うがね」
ルパン「もう、プルップルのツヤツヤ!」
次元「不二子に聞かせてやりてぇ台詞だな」
ルパン「あん? 不二子ちゃんはこの位じゃ嫉妬しねえって」
次元「ちげえよ」
ルパン「それじゃあ何だよ」

次元「プルップルのツヤツヤ、って所さ」

ルパン「……次元お前」
次元「?」

ルパン「勇気あるなぁ」

次元「……ちょいと口が滑った。アイツにゃ言うなよ」


63 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 13:27:26 ID:tOhz7Vzk

ルパン「だがよ、見た目通りの年齢じゃあねえってのもわかる気がするぜ」

次元「おいおい。ルパンお前、まさかあの嬢ちゃんが
    実はバーサンだって言うんじゃあねえだろうな」
ルパン「そこまでは言わねぇさ。……ただ、あの落ち着きよう。
     それに加えて、このでっかい屋敷に一人で住んでるって話だったろ?」
次元「……確かに、まともじゃあねえ」
ルパン「それに、ハルトシュラーって名前」

ルパン「……こいつぁ間違いなく何かある」

次元「……」

ガチャッ

ハルト「紅茶で良かったか?」

ルパン「俺ってば紅茶は大好きなの!」
次元「何だっていいさ。“まともな”もんなら、な」


64 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 13:38:09 ID:tOhz7Vzk

     ・    ・    ・

ヒュウウウウウ……

五ェ門「……」

五ェ門「!」

五ェ門「きえああ――ッ!」

シュンッ、シュピンッ!

五ェ門「……」

カチンッ

……バラララッ

五ェ門「斬ると……修羅」


65 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 13:45:04 ID:tOhz7Vzk

     ・    ・    ・

ルパン「ん? あれは太刀……か」
ハルト「興味があるのなら見てみろ」
ルパン「いいのかい?」
ハルト「構わん」
ルパン「それじゃあ失礼して、っと」

カキンッ

ルパン「……こいつぁすげえ」
ハルト「ほう」
ルパン「意匠も見事なもんだが、この輝きは滅多にお目にかかれるもんじゃねえ」

ルパン「……まるで、斬鉄剣を見てるみたいだぜ」

ハルト「斬鉄剣、か」
ルパン「知ってるのかい?」
ハルト「まあな」


66 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 13:51:54 ID:tOhz7Vzk

ハルト「刀剣を創る者にとって、あれは一種の目標のようなものだろう?」
ルパン「おいおい、それじゃあ……」
ハルト「そうだ」

ハルト「そのコも、私が創ったものだ」

次元「……付き合いきれねぇな」
ルパン「おい、次元」
ハルト「何がだ」
次元「いいかい嬢ちゃん、よく聞きな」

次元「俺ぁ嬢ちゃんの言う御伽噺に付き合う気はさらさらねぇんだよ」

ハルト「……御伽噺、か」
ルパン「あ、あはははは!……気ぃ悪くしないでくれよ?
     次元ってばああいう奴なのよ」
ハルト「なに、構わんさ」

ハルト「御伽噺も、立派な創作だからな」


67 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 13:57:46 ID:tOhz7Vzk

ルパン(なんだ? この子の創作への情熱みたいなもんは)

ルパン(これが――これらが実際に嬢ちゃんが作ったもんじゃないにせよ、
     ここまで言うのはちょいとばかし不自然だ)

ルパン(嬢ちゃん――ハルトシュラーってのは一体何者なんだ?)

ルパン「……ん? ありゃあ……」


五ェ門「……」


ルパン「……な~んであんな所に五ェ門がいるんだ?」
次元「五ェ門だぁ?」
ルパン「ほら、窓の外を見てみろよ」
次元「……本当にいやがる」

ハルト「来たか」


68 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 14:05:43 ID:tOhz7Vzk

ルパン「来た? まさか、ハルトちゃんは五ェ門が来るってことがわかってたのかい?」
ハルト「ああ」
ルパン「そりゃまたどうして」
ハルト「愚問だな」

ハルト「それが、創作というものだからだ」

ルパン「……あのさ、もうちょっとばかしわかるように教えてくんないかな~あ?」
ハルト「?」
次元「嬢ちゃん。今のじゃ説明になってねえよ」
ハルト「む。……“予定された展開だった”と言った方がわかりやすかったか」

ルパン・次元「……」

ルパン「……どっちにせよ」
次元「……わからねえ」


74 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 20:08:03 ID:tOhz7Vzk

     ・    ・    ・

ルパン「なあ、や~めろって五ェ門~」
次元「そうだぞ五ェ門。ちいとばかし大人げってもんがなさすぎるんじゃあねえか」

五ェ門「口出し無用!」

ハルト「……だ、そうだ」

ルパン「そ~んな事言ったってよ。さあっすがに見過ごす訳にゃあいかねえよ」
次元「ああ。こんなチビっこい嬢ちゃん相手に真剣勝負たぁまともじゃあねえ」

五ェ門「……拙者、石川五ェ門と申す」
ハルト「ハルトシュラーだ」

ルパン「おいコラ、聞いてんのか五ェ門!」
次元「あ~あ~、あの目はマジでやる気だぜ」

五ェ門「……」

ハルト「……」


75 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 20:13:27 ID:tOhz7Vzk

ハルト「それで、本当にやる気なのか?」
五ェ門「無論」

ハルト「貴様は、少女を斬る覚悟があるのか?」
五ェ門「……それも修行のためならば」

ハルト「修羅……か」
五ェ門「……」


ハルト「そこまで良いものでもないぞ?」


五ェ門「……なってみればわかる」
ハルト「そうだな。確かにその通りだ」
五ェ門「……」


五ェ門「参る!」



76 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 20:18:16 ID:tOhz7Vzk

タッタッタッタッタッ…!

五ェ門「……!」

ハルト「……」


ルパン「あんにゃろう、本当におっぱじめやがった……!」
次元「しかし、ありゃどういうこった?」
ルパン「そ~んな呑気にしてる場合じゃねえだろう!」
次元「いや、見てみろルパン」
ルパン「あん?」
次元「どっちもまだ抜いちゃあいねえが――」

次元「五ェ門の野郎が、嬢ちゃんの周りを回ってやがる」


タッタッタッタッタッ…!

五ェ門「……!」

ハルト「……」


77 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 20:24:44 ID:tOhz7Vzk

五ェ門「……!」タッタッタッタッタッ…!
ハルト「……」

…ヒュウウウッ!

ハルト「むっ――」

五ェ門「! けああ――ッ!」


シュピンッ! キンッ! キインッ!


ハルト「……」
五ェ門「……くっ!」

ハルト「――隙を突こうとしても無駄だぞ」


ルパン「ご、五ェ門の刀を……」
次元「……受けやがった」


78 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 20:35:10 ID:tOhz7Vzk

ハルト「“人間にしては”中々だ」
五ェ門「……」
ハルト「だが――」

ハルト「斬鉄剣が泣いているぞ?」

五ェ門「っ!?」
ハルト「創り手と使い手。そして……創られたものの意思が噛み合っていない」
五ェ門「……」
ハルト「それでは私は斬れん」
五ェ門「……ならば!」
ハルト「わかっていて向かってくるか。だが――っ!?」


ルパン(表情が変わった?)

ルパン(あれは――)


ハルト「ちいっ!」

ルパン(……焦り?)


80 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 20:46:40 ID:tOhz7Vzk

五ェ門「きえああーッ!」

キン! ギィンッ!

ハルト「ぬっ、くうっ!」


次元「おいおい、なんだか急に嬢ちゃんが押されだしたぞ!?」
ルパン「いやまあ、それが普通なんだろうけれどよ……」
次元「なにを落ち着いてやがる!」
ルパン「……」
次元「おい、ルパン!」
ルパン「……」

ルパン(あの戦い方……)


ギインッ!

ハルト「くうっ――!」


ルパン(刀を庇ってるのか?)


82 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 20:55:07 ID:tOhz7Vzk

ルパン(しかしよ、いくらなんでも斬鉄剣と斬りあいなんかしてちゃあ……)

ハルト「くうっ……!」
五ェ門「とああ――ッ!」

ヒュッ――

ハルト「! 駄目だ!」

ばっ!

五ェ門「!?」

ルパン(刀を体で庇うだって!?)


ドンドンッ!


五ェ門「むうっ!?」

ギインッ!

次元「……さすがにこれ以上は見ちゃいられねぇな」


84 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 21:02:17 ID:tOhz7Vzk

     ・    ・    ・

次元「ったくよ、お前らどうかしちまったのか?」

ルパン・五ェ門「……」

次元「大体だな、ここへは何のために来たんだルパン?」
ルパン「そりゃあ、黄金のハルトシュラー像を手にいれるためさ」
次元「だろう? なのによ……」
五ェ門「……」
次元「どうしてこの馬鹿が手がかりを斬っちまおうとしてるのを黙って見てたんだ?」
五ェ門「……拙者は馬鹿ではない」
次元「あのな。馬鹿は皆そう言うんだよ」
五ェ門「……」

次元「……あの時俺が撃たなかったら、取り返しのつかねぇ事になってたぞ」


85 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2009/01/03(土) 21:13:24 ID:tOhz7Vzk

次元「おい五ェ門」
五ェ門「……」
次元「お前さん、あの嬢ちゃんが目を覚ましたら続きをやる気じゃあねえだろうな?」
五ェ門「……それも修行だ」
次元「……」
五ェ門「……」

次元「表ぇ出な」
五ェ門「……」

ガタッ!

ルパン「ちょお~っと待った! 落ち着けって二人共!」

次元「止めるなよルパン」
五ェ門「……」

ルパン「あんのさ~あ、五ェ門はともかく、次元まで目的を忘れっちまったのか?」

次元「あん?」

ルパン「お嬢ちゃんが寝てるってことはよ」

ルパン「……屋敷を調べるチャンスじゃねえか」






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