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創作部の通り雨

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創作部の通り雨


「大変だ! って部長しかいないのか」
「他の人は見ての通りいないわ。それで何が大変なの? 北乃門くん」
「俺さ、ここに来るとき赤階段使ってるんだよ」
「赤? わざわざ遠回りしているの?」
「ああ。ほら、赤階段のほうってさ。校舎が途中で折れてるし特別教室しかないせいで
 見通せないし人気無いじゃん。だからこう告白の現場によく使われるんだよ」
「そういえば私が告白されたときも赤階段のほうだったわね」
「えっ! 告白されたことあるの!? いつ? 誰? どうやって?」
「去年の夏休み前だったかしら。背の高いほうの田中くんいるじゃない。あの人に口頭で」
「マジかよ……。田中ってバスケ部で結構モテモテなんだぜ? 振っちまったのか」
「振ったなんてまだ一言も言ってないけど」
「……まさか?」
「断ったわ。あの時はアクアリウムに夢中だったから人間に構っている暇はなかったし」
「人間よりも水草とタニシとその他を選んだのか。さすがだな」
「そもそもなんで赤階段なんて使ってるの?」
「ああ、告白の現場を見てみたいと思ってさ」
「出歯亀とは趣味が悪いわね。そもそもあなたなら告白のひとつやふたつくらい受けたことあるでしょ?」
「いやー、ないな」
「えっ?」
「え、なに。読んでた本から顔を上げるくらい意外なの?」
「意外よ。だっていつも女子を侍らせて黄色い声受けてるじゃない」
「まぁな。おかしいよなぁ。実は俺ってみんなに遊ばれてるだけだったりしないよな」
「……それはないわよ」
「えっ、そうなの?」
「ところで何が大変だったの? 結局」
「ああ! そうだよ、それでさっき階段上がろうとしたらさ。なんか下の階から話し声聞こえるんだよ。
 もしかしてと思って覗いたらこれがビンゴで男と女がいたんだけどさ」
「よかったわね。念願の現場よ」
「おう。ありがとう。で、ついでに顔も見たんだけどさ。男子のほうが結構いい感じなやつだったんだよ。
 それこそ田中みたいな」
「それで女子のほうは?」
「神楽坂だった」
「ホント?」
「マジマジ。だからさ、ちょっと一緒に覗きにいこうぜ」
「私も? でも神楽坂さんに悪いわよ」
「なんでそう言いながら本にしおり挟んで行く気満々なんだよ」
「いや、ちょっと考えるために立っただけで別に行くとは言ってないわ」
「まぁいいさ。とりあえず現場にもどおおおおおおお!?」
「現場に、なんですか?」
「神楽坂さん、いつから部屋の外に?」
「きたの先輩が出歯亀が趣味なんですって告白したあたりからいました」
「いや、決して俺は覗きが趣味なわけではないんだ。うん」
「でも告白の現場見た! って狂喜乱舞していたのはあなたよ」
「してねーよ! そんなに喜んでねーよ!」
「どうだかわかりませんねー。きたの先輩だし」
「神楽坂さんもあんな人の近くにいないでこっちに来なさい。
 出歯亀と馬鹿と変態と馬鹿が移るわよ」
「なんで馬鹿って二回言ったんだよ!」
「無限先輩ー」
「よしよし」
「……それで告白どうしたんだ?」
「……聞きますか。それを」
「デリカシーないわね」
「だって! 気になる! じゃない! ですか!」
「うるさいわね。ちょっと静かにしなさい」
「だからよー、部長の胸に顔うずめてないで話してよー。
 俺もうずめたいぐらいなんだからさー」
「死ね」
「はい、すいません」

「……恥ずかしいんです」
「恥ずかしい?」
「告白なんて……初めてだったから……。顔が真っ赤になってて。
 だから無限先輩の胸をお借りして隠しているんです……」
「いいわよ。好きなだけ使いなさい」
「クソ……!」
「あなたはシカから借りれば?」
「うぃーっす」
「はっ! ソーニャの胸なんてそこの壁と変わりないだろ?」
「野郎ぶっ殺してやらああああああ!!」
「おう、ソーニャぐっとたいみ痛い痛い痛い痛い! そこ絞めると死ぬ!
 その骨そっちに可動しないから! 痛い痛い痛いぃ!!」
「来て早々喧嘩売るなんて聖もやるなぁ」
「こんにちわ。矢崎くん。二人とも本当にいいタイミングで来たわね」
「一緒に掃除してたんだよ。んでなんで神楽坂はお前に埋まってんだ?」
「色々あったのよ。シカ。そのへんにしないと傷害罪がついて今後に響くわよ」
「はぁはぁ……。そうだね。このくらいにしておこう」
「もっと俺をいたわってよ」
「次下らないことを口にしてみろ。お前の体で現代アート創るぞ。わかったか?」
「はい……」
「んん……」
「まだ顔赤いわよ」
「むむー」
「また埋もれた。顔真っ赤にして熱か何かか?」
「だったらさっさと家まで送るわよ。ちょっとね」
「もしかしてこの野郎にセクハラでもされた?」
「うーん。そう言えばそうとも言えるかもしれないけど」
「おい、クソ。好きな死に方を選べ」
「待った。誤解だ」
「聖。ここは四階だ。五階から転落死したいなら屋上行くしかないぞ」
「そうじゃねぇよ! 死にたくないから! セクハラなんてしてねぇよ!」
「……きたの先輩がわたしが告白される現場を覗いていたんです。
 恥ずかしかったですけどわたしはもう許しました。ソーニャ先輩がやってくれましたし」
「ありがとう……。神楽坂……。キミは天使だ……!」
「告白? まぁ美希ちゃん可愛いしな。私も抱きつきたいし」
「さすがに三人も集まるとムシムシするからシカはだめよ」
「今日は雨降ってるしな」
「あ、あの……」
「どうしたの? 神楽坂さん」
「人と付き合うとか好きになるとか……どういうことなんですかね」

「難しい質問だな」
「よく、わからないんです……。みんな付き合うとか簡単に言うけど
 人の思いってそんな簡単なものじゃないと思うんです」
「重く考えすぎだぜ? 昨日と今日と明日で好きな人が変わる奴だっているしさ」
「それは軽すぎると思うが告白して両思いでしたなんてことのほうが少ないだろうしな」
「じゃあなんであんなにカップルが出来るんですか?」
「見栄とか?」
「ここの連中はそういうのから無縁だから美希ちゃんの質問にまともに答えられる人なんていないよ」
「……」
「あれっ!? 無縁なの私だけ!?」
「人を好きになるってなんかこう……その相手しか見ていられなくなるだろうな。恋は盲目って言うし。
 そんな一生懸命悩んだ結果告白した人ってきっと態度にも表れているんだと思うんだ。
 でさ。やっぱり誰かに好かれるって嬉しいじゃん。だから告白されてじゃあ自分もその人を好きになろう
 って気になってカップルが成立したりするんじゃないのかな」
「すごいまじめな意見だな。おい」
「なんだかちょっとロマンチストね」
「ヤサキ ザ ロマンチスト」
「茶化すなよ……」
「……なんとなくわかりました。ありがとうございます」
「いや、役に立てたのならいいんだけど」
「やっぱりわたし、断って正解だったと思います。あの人なんかへらへらしながら言ってきましたし。
 矢崎先輩が言ったみたいに真剣に告白してきたなら考えたかもしれませんが」
「ちなみに矢崎くんはー誰かを好きになったことあるんですかー?」
「えっいや、それは聞かないお約束だろ!」
「とは言ってもさっきの流れから察すると逆に恋をしたことないと確実に言えるのはシカなのよね」
「私は昼寝と睡眠とシエスタに恋してるから」
「お前人に聞いといてその答えかよ」
「つーか部長も恋したことあるんだな」
「盲目というほどではないけどね。憧れていた人はいたわ。私達ぐらいの年齢ならそれが普通でしょ?」
「普通……。わ、わたしも頑張って恋します!」
「そんなに気張らなくていいと思うよ」
「そうだぞ。ちょうど目の前に候補がいるし」
「え、え、え。や、矢崎先輩はか、かっこいいと思いますが・・・…」
「あれー、俺って選択肢はー?」
「わたしは女性の価値をむ、胸のサイズで決める人はダメだと思います」
「至極まともな意見ね。同意するわ」
「いや、俺だって他のところだって見るよ? むしろ重点を置くのはそっちだよ?」
「……」
「なんでそんな疑わしい目で俺を見るんだ」
「お、雨弱まったんじゃない? 今のうちに帰ろっか」
「そうだな。これぐらいなら自転車で突っ走れるかな」
「風邪引くからやめたほうがいいですよ」
「ほらほら、荷物持って早く出て。北乃門くんもいつまでもうなだれてないで」
「うぅ……みんなひどいよ……」
「それだけ愛されてるのよ。施錠よし。じゃあ私は鍵返してくるから」
「え、そう? それなら仕方ないなー」
「……単純ね」



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