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死者たちの夜Ⅶ
放たれた矢は、狙いが少し逸れてマゴロクの頬を切り裂いていくがそれに怯むことなく突っ込んでくる。
剣を少し振り上げたのを見てから、ソーニャは弓を短剣に変えて前に踏み出す。
マゴロクが足を止めて、その場で剣を振るう。それを寸でで交わし、前へ。
後ろに逃げようとするのを追いかける。先ほどの狼戦にやられたものと同じだ。
ただ一瞬でも間合いを取られ、剣を振られたら二度と同じ間合いには入れないだろう。
間合いを詰め、短剣を振るう。マゴロクはこれを避けずにそのまま受け止めた。
右脇腹から左肩に向けて短剣が切り裂く。マゴロクはそれを気にせずソーニャを蹴り飛ばした。
傷は相手を止めるほど深くはない。この間合いはまずい。既に剣を振る構えに入っている。
その時、マゴロクの体を矢が貫いた。先ほど撃った矢が戻ってきたのだ。一瞬動きが止まる。
時間の流れがゆっくりに感じる。一気に間合いを詰めたソーニャが右手の短剣でマゴロクの首を切り裂いた。
しかし確かに切り裂く寸前までそこにいたはずのマゴロクが一瞬で数歩後ろに下がる。
短剣はマゴロクの首を切り裂いたが切り落とすことは出来ていない。
マゴロクが前に出ると傷口が開き、首が後ろにずれていくのが見える。
剣が振り下ろされる。刺さった矢を変えるのも短剣を左手に持ち替え盾にするにも間に合わない。
回避するために右側に飛ぶが下半身は持っていかれる軌道だ。
マゴロクの体ががくりとずれる。剣はソーニャの体に触れることなく地面を砕いた。
同時に時間が正常に戻る。転がりながら体勢を立て直す。
マゴロクは地面に倒れていた。足首から斬られている。それで体勢を崩したのだ。斬ったのは。
「ビゼン!!」
急いで近寄る。ぐったりとしているが僅かに手を上げて答えようとしている。
倒れていたマゴロクが光へと分解されていく。どうやら勝てたようだ。
ビゼンの体を起そうとして当初の目的を思い出す。マゴロクのせいで忘れていたが本来はこれを壊しに来たのだ。
死者蘇生の呪文の媒体は思ったよりか魔術っぽくはない。ぶっちゃけて言えばただのちょっと大きな岩のようなものだ。
獲物を剣に変え、真っ二つに叩き割る。手ごたえはなくあっけなく二つに割れた。中身も特に変わったものではない。
空を見上げると光が浮いてはいるがそれが実体化する様子はない。一応魔術の片方は解けたようだ。
剣を腕輪に戻し、ビゼンを起こす。傷は思ったより浅いが止血しなければならない。
ふと自分の獲物に目をやる。前までは手首を覆う程度だったが今は腕の半分くらいの大きさになっている。
とりあえず今はそんなことはどうでもいいので獲物をビゼンの傷口を覆うように着けていく。
「……なんかひんやりしてて気持ちいいな。これ」
「そういう使い方はしたことはないけどどうやらちゃんと止血は出来ているみたいだね」
ビゼンに肩を貸し、立ち上がる。なんとか持ち上がった。
「今こちらに応援を回しているのでそのまま大聖堂に来てください」
使い魔がふよふよと飛びながら言う。
「ああ、助かる。そうだ、ビゼン。剣は置いていくぞ。さすがに持てないし」
「構わんさ。生きて帰れれば上等だ」
確かにその通りだ。ビゼンが最後に足首から切り落としてくれなかったら今頃全滅していただろう。
一応、使い魔が起こしていたしソーニャが投げた銃もビゼンに当たってはいたが起きる確証はなかった。
本来ならば負傷した人間を無理に戦わせるなどは言語道断なのだがあの男に言わせればこれもまた必要なこと。
そうでもしなければ勝つことは出来なかった。
本人のみの時間加速。それがあの男の能力なのだろう。それが先天的にあったものか後天的についたものかはわからない。
最初の鉄の旋風も時間を加速して回転したものだし、爆弾のときも最後の攻防もそれで説明がつく。
強力な能力だが効果時間も短いし再使用にも時間を置かなければいけない。最後の攻防で避けきらなかったのは
次の攻撃に移るまでに効果が切れるからだったに違いない。多分。
結果として首に致命傷を負ったが前に出てソーニャを斬る程度の意識は保てたわけだ。首は半分切れてたけど。
「姉御ー! 副隊長ー!」
遠くから兵士がやってきた。手には包帯やらなんやらを持っている。
「副隊長の治療はおまかせください! 姉御は大丈夫ですか?」
「どうにか、な。帰り道気をつけてくれ。私は次へ向かおう。
ロゼッタさん、着いてきてください」
「ちゃんと案内しますよ」
魚がソーニャの周りを回る。
「そうですか。ではお気をつけて」
「ソーニャ。生きて帰れよ」
応急処置をされているビゼンの言葉に頷く。
「わかっている。当然だ」
剣を少し振り上げたのを見てから、ソーニャは弓を短剣に変えて前に踏み出す。
マゴロクが足を止めて、その場で剣を振るう。それを寸でで交わし、前へ。
後ろに逃げようとするのを追いかける。先ほどの狼戦にやられたものと同じだ。
ただ一瞬でも間合いを取られ、剣を振られたら二度と同じ間合いには入れないだろう。
間合いを詰め、短剣を振るう。マゴロクはこれを避けずにそのまま受け止めた。
右脇腹から左肩に向けて短剣が切り裂く。マゴロクはそれを気にせずソーニャを蹴り飛ばした。
傷は相手を止めるほど深くはない。この間合いはまずい。既に剣を振る構えに入っている。
その時、マゴロクの体を矢が貫いた。先ほど撃った矢が戻ってきたのだ。一瞬動きが止まる。
時間の流れがゆっくりに感じる。一気に間合いを詰めたソーニャが右手の短剣でマゴロクの首を切り裂いた。
しかし確かに切り裂く寸前までそこにいたはずのマゴロクが一瞬で数歩後ろに下がる。
短剣はマゴロクの首を切り裂いたが切り落とすことは出来ていない。
マゴロクが前に出ると傷口が開き、首が後ろにずれていくのが見える。
剣が振り下ろされる。刺さった矢を変えるのも短剣を左手に持ち替え盾にするにも間に合わない。
回避するために右側に飛ぶが下半身は持っていかれる軌道だ。
マゴロクの体ががくりとずれる。剣はソーニャの体に触れることなく地面を砕いた。
同時に時間が正常に戻る。転がりながら体勢を立て直す。
マゴロクは地面に倒れていた。足首から斬られている。それで体勢を崩したのだ。斬ったのは。
「ビゼン!!」
急いで近寄る。ぐったりとしているが僅かに手を上げて答えようとしている。
倒れていたマゴロクが光へと分解されていく。どうやら勝てたようだ。
ビゼンの体を起そうとして当初の目的を思い出す。マゴロクのせいで忘れていたが本来はこれを壊しに来たのだ。
死者蘇生の呪文の媒体は思ったよりか魔術っぽくはない。ぶっちゃけて言えばただのちょっと大きな岩のようなものだ。
獲物を剣に変え、真っ二つに叩き割る。手ごたえはなくあっけなく二つに割れた。中身も特に変わったものではない。
空を見上げると光が浮いてはいるがそれが実体化する様子はない。一応魔術の片方は解けたようだ。
剣を腕輪に戻し、ビゼンを起こす。傷は思ったより浅いが止血しなければならない。
ふと自分の獲物に目をやる。前までは手首を覆う程度だったが今は腕の半分くらいの大きさになっている。
とりあえず今はそんなことはどうでもいいので獲物をビゼンの傷口を覆うように着けていく。
「……なんかひんやりしてて気持ちいいな。これ」
「そういう使い方はしたことはないけどどうやらちゃんと止血は出来ているみたいだね」
ビゼンに肩を貸し、立ち上がる。なんとか持ち上がった。
「今こちらに応援を回しているのでそのまま大聖堂に来てください」
使い魔がふよふよと飛びながら言う。
「ああ、助かる。そうだ、ビゼン。剣は置いていくぞ。さすがに持てないし」
「構わんさ。生きて帰れれば上等だ」
確かにその通りだ。ビゼンが最後に足首から切り落としてくれなかったら今頃全滅していただろう。
一応、使い魔が起こしていたしソーニャが投げた銃もビゼンに当たってはいたが起きる確証はなかった。
本来ならば負傷した人間を無理に戦わせるなどは言語道断なのだがあの男に言わせればこれもまた必要なこと。
そうでもしなければ勝つことは出来なかった。
本人のみの時間加速。それがあの男の能力なのだろう。それが先天的にあったものか後天的についたものかはわからない。
最初の鉄の旋風も時間を加速して回転したものだし、爆弾のときも最後の攻防もそれで説明がつく。
強力な能力だが効果時間も短いし再使用にも時間を置かなければいけない。最後の攻防で避けきらなかったのは
次の攻撃に移るまでに効果が切れるからだったに違いない。多分。
結果として首に致命傷を負ったが前に出てソーニャを斬る程度の意識は保てたわけだ。首は半分切れてたけど。
「姉御ー! 副隊長ー!」
遠くから兵士がやってきた。手には包帯やらなんやらを持っている。
「副隊長の治療はおまかせください! 姉御は大丈夫ですか?」
「どうにか、な。帰り道気をつけてくれ。私は次へ向かおう。
ロゼッタさん、着いてきてください」
「ちゃんと案内しますよ」
魚がソーニャの周りを回る。
「そうですか。ではお気をつけて」
「ソーニャ。生きて帰れよ」
応急処置をされているビゼンの言葉に頷く。
「わかっている。当然だ」