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会議開催中

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会議開催中


会議開催日。気を重くしているソーニャに声がかかった。
「シカ!」
「ん? ああ、久しぶりだな」
そこに立っていたのはソーニャのかつての同期で新団長に選出された青年だった。
「君に会うのをどれほど夢見たか……!」
「言っておくが私は資源どうこうを優先的にそっちに回す権限だとかないしそういう期待はしないでおくれ」
「違うよ! この胸の高鳴りが君に会いたかった理由なのさ!」
「風邪? 病院なら……」
「違うよ! 僕との別れの際に交わした約束……忘れてないよね?」
ソーニャ思案する。しかし何も思い浮かばず。
「嗚呼、その表情。きっと僕との約束を思い出してくれているんだね……?」
良いように解釈されている。というか昔はもう少し、いや、だいぶ違う感じの人間だった気がするが。
別れてから一年も経っていないよな。もしかして別人だったりするのだろうか。
「まぁなんだかよくわからないけど今日の会議は頑張ってくれ」
「ああ! わかっているとも!」
その日の会議。彼は熱弁を奮っていた気がするが何を言っていたのかはさっぱり覚えてない。
そんな日々が流れ、なんだかんだで会議が三日目に突入した。
元から何日までとは決めていなかったのでこうなるのも想定内ではあるが時間が経つにつれ、歪みが生じ始めた。
「え、あ、ソーニャさん。少しお話したいことが」
会議終了後。本部に帰ろうとしたところを補佐官に呼び止められた。
なぜだろうか。だいたい毎日会っているはずなのにすごく久しぶりな感じがする。
「えっとですね。各代表からですね、要望といいますか。ええ、そういうのが届いてましてね」
そう言いながら束ねられた紙をソーニャに渡す。そこに書かれている一例を挙げると
例えば港町の代表はもっと海産物の食事を取りたいだとか
農産物のよく取れる村の代表はここの野菜の質が悪いのでなんだらかんだらだとか
西の村の代表は隊商の人と飲みたいから宿を変えたいだとか。
「知るかっ!!」
「それではですね。ええ、私はこのへんで」
「おいちょ、待てよ」
「ええ、ソーニャさんなら出来ると信じていますから」
補佐官はそういい残してさっさと行ってしまった。
役所の仕事の丸投げは今に始まったことではないので諦めて本部へと戻ることにした。


「隊商はここに宿泊しているので空いているか聞いてみましょう」
「食事の改善については事前に食事の要望を聞いたほうがいいのかな。
 差が出ると困ると思ってどの代表にも同じ食事にしたんだけど」
「今は隊商と各代表が持ち込んだ食材のおかげである程度融通も利きますね」
会議が終わった後、その日の会議に出ていたことについて本部でロゼッタと毎日話し合っている。
この時ばかりは亀も参加はしてくれるが話していた内容を伝えた後はぐてーとしている。
「西の代表が護衛を外してくれと言ってるみたいだな。隊商が一緒だし大丈夫かな。
 そもそも酒盛りするであろう連中の近くに人を置いておくのもかわいそうだ」
「宿の位置がほかのところからだいぶ離れますし巡回だけはしておいたほうがいいですね」
「じゃあ当直に巡回してもらおうか。しかし今日は要望書の対応で手一杯になりそうだ」
「大変だね!」
「手伝えよ」
ぐてーとしている亀に突っ込む。ちなみにビゼンは既に帰宅していた。
「話の核心は島の存亡を決めかねないことなのにどうしてみんなはこうも……」
「昔はこのような機会はありませんでしたからね。代表も少し浮かれているのかもしれません」
「私としては決まればいいのだけどそもそもこれじゃあ決まるかどうかも危ういな」
「仮に北の国が東京拠点を潰してこちらに来たとしたら正直我々が話し合ってどうこうしても意味ないですしね。
 この会議で決まるのは精々いざとなったときの砦がここになるってことぐらいですよ」
「そんな根本からの否定をしないでくれ……」
今日何度目かわからぬため息をついて窓の外に眼をやる。
既に夜の帳が下りた空には星が輝いている。ふと今日が満月であることを思い出した。
「そういえば最果ての村の代表があなたに会いたいという要望を出しているようですが」
「破棄しといてくれ」



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