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満月の時 戦いの終わり

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満月の時 戦いの終わり


焼けていく大地。炎に包まれる仲間たち。
三箇所からの同時攻略による町落とし計画。
正面にこちらの主力部隊を当てることにより、他の場所の防御を強制的に薄くさせそこから侵入する。
相手がどれほどの戦力を持っているかはわからないがこちらに攻め込んでこない以上は
討伐隊が出せるほどの戦力を持っていないと推測したのだ。
つまりここに戦力を集中させれば他所からの侵入は容易。場合によっては正面からも侵入出来るかもしれぬ。
事実あの剣士が現れるまでは数による暴力で仲間を踏み台に何匹かの狼が侵入を果たしたのだ。
剣士は人間にしては大きな体格に見合った大剣を振り回し、壁の上に乗っていた何匹かを切り落とし
飛んでくる狼を空中で真っ二つに切り裂いた。
それでもまだ状況は五分五分。長である私と弟が同時に乗り込めば侵入出来る。
そう考えていた時、その魔女は現れた。
黒服の魔女は片手を前に出すと、黒い本を呼び出した。
見た瞬間。魔物となって得た知性か、はたまた遠い昔の獣であったときの本能か。
アレを破壊しなければならない。そう直感した。
合図などいらなかった。私と弟は二手に分かれ、壁へと走った。
まるでこの世の災厄を閉じ込めたかのような禍々しく暴力的な力。
あれがどのような力を発揮するかはわからない。だが起動する前に止めなければならない。
仲間の狼たちを踏み台に私と弟が飛び掛る。
剣士が私の前に立ちふさがり、なんとしても魔女に近づけないという意思が見えた。
弟も何人の人間に囲まれて魔女に近づけないでいる。
黒い本が開かれ、魔力が集中していく。
剣戟を避けながら、何発か攻撃を叩き込むが剣士が倒れない。
一瞬、魔女の周りの世界が歪んだ後、赤い光が本から飛び出した。
その光に気を取られ、横凪に振られた剣を避けそこない、防御をしたものの壁の外へと落とされた。
背中に灼熱を感じ、体勢を立て直し着地した地面は赤く焼け爛れていた。
振り返った私を待っていたのは地獄だった。
「兄者! 大丈夫か!」
弟が駆け寄ってくる。彼もまた剣士に落とされたのだ。その際に左手が切り落とされていた。
そのほかにも体中を焼け焦がしている。
「弟者。我々には後がない。この戦いで全ての戦力をつぎ込み、そして今。全滅した」
「先は言わなくてもわかっている! この命果ててもあの魔女の命だけは仕留める!」
この先我々以外の誰かが待ちを攻め落とそうとするときが来るかもしれない。
その時のために。まだ見ぬ誰かの未来のために。
幾重もの仲間の死体を踏みしめ、私は壁へと飛んだ。

「殲滅確認。同じく四時と七時でも隊長格と思しき狼を討伐との報告。
 我々の勝利です!」
兵士が声高らかに宣言し、周りが歓声に沸く。
ビゼンは剣を支えに歩き、適当なところに腰を下ろした。
「手痛くやられたみたいだね」
「あれと一対一で戦ってたら負けてたかもしれねぇな」
ビゼンと戦闘した体格の一番大きな狼。
こちらの攻撃を紙一重でかわしながら入れてくる攻撃はどれも強烈だった。
亀はビゼンの鎧を取り、治癒の呪文を掛ける。
「しっかし相変わらず馬鹿みたいに強力な呪文だな」
「使いづらくて仕方がない。最低威力にしてもあれだからね」
ソーニャが変幻自在の獲物を持っているように亀も自分専用の獲物を所持している。
それが見た目がただの黒い本である魔術書だ。
ビゼンは魔術に詳しくはないので知らないことではあるがあの獲物には縛りがある。
その一つが呪文の威力についてだ。
呪文と言うのはただ強力ならいいというものではない。
時には針の穴に糸を通すかのような精密さも必要となる。
が、亀の魔術書はそれが出来ない。唱えることが出来る呪文すべてが大規模に影響を及ぼすものなのだ。
他にも唱えるときは常に本を片手に持っていなければいけないなどあるがそれを知っているのは亀のみ。
かくしてこの町と狼たちの戦いはここに終結した。



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