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従者
「え、あ、ここが噴水広場ですね。ええ。よく待ち合わせに使われていますね」
補佐官の説明を受けながら町を歩く。町の風景全てが目新しい。
そもそもあの噴水とかいう水の吹き出る物体はなんなのだ。どういう仕掛けで水が出ているんだ。
広場には遊んでいる子供たちや出店などで活気に溢れている。
「あ、ここですね。ええ。自衛団本部となります」
中年の男が建物の前で立ち止まる。ソーニャはその建物を下から上と見上げる。
豪華絢爛、と言いたいところだがぱっと見特別な建物には見えない。路地裏の住居とさして変わらない。
出入り口にかけられている看板だけがこの建物の役割を示している。
「え、あのですね。自衛団の集合にですね、ええ。時間を少々いただくことにですね。ええ。なるのでですね。
お先に部屋のほうに案内をですね。させていただいてですね。時間まで休んでもらおうかと」
ソーニャはそれを快諾した。
七日間の旅で服は汚れているし、何よりも湯浴みをしたい。
一応川が近くにあるときは寄っていったがその冷たさは身に染みた。
「あ、えっとですね。ソーニャさんの部屋はですね。ここから近いんですけどね。
今、従者のほうが来ますのでね。あ、来ましたね」
補佐官の指差した方向から緑の服を来た女の子が走ってくる。
ソーニャたちの前に着くと背筋を伸ばし、右手で敬礼をした。
「わたくしが本日よりソーニャ様の従者となりますコユキであります!
至らぬところありますでしょうがどうかよろしくお願いいたします!」
「えーっとシカ・ソーニャです。こちらこそよろしくお願いします」
歳は十五ほどだろうか。背は低くソーニャよりも頭一つ小さい。
服も刺繍が少なく一番簡素なものだ。おそらくは入団したばかりの新兵だろう。
腰に下げた真新しい剣が目に眩しい。走ってきた割には息の乱れがないということはそこそこ鍛えられているのだろうか。
それにしてもぎこちない笑顔だ。おそらくはこういう挨拶に慣れていないのだろう。
とは言うもののソーニャだって慣れていない。村にいた頃はこのような挨拶をする必要などなかった。
「コユキ。粗相のないようにですね。ええ。案内しなさい」
「了解しました!」
そう言い残して補佐官は本部へ行ってしまった。
直立不動の敬礼で補佐官がドアの向こう側へ行くまで見送った後、その場でくるりと回転してこちらを見た。
「それではお宿のほうへご案内いたします! ソーニャ様!」
「……様付けはやめてくれないか。なんだかむずむずする。それとそんなかしこまらなくてもいいよ」
「え、あれ。そうですか。すみません」
年相応の笑みをこぼす。先ほどのがちがちした状態よりかよっぽど話しやすい。
本部の横の路地裏に入ったところでコユキが歩きながら話しかけてきた。
「同い年でドラゴンを討伐した人と聞いていたのでもっとこう筋肉むきむきの男性かと
思っていたんですけどまさかこんな綺麗な女性だったなんてびっくりしましたよ」
「ああ、それはあの補佐官にも言われたな」
それ以上にこんな可愛い子が同い年であることに愕然としている自分がいる。
ソーニャは子供の頃からずっと鍛えられてきたし仕方ないと言えば仕方ない。
「多分自衛団みんなが驚くと思いますよ。みんな男だと思っていますから」
「一体どんな風に私のことが伝播したんだ……」
「白い甲冑を身に纏った騎士って聞きましたね。あ、ここですね」
本部から歩いて五分程度だろうか。普通の住居が立ち並ぶ路地裏に宿はあった。
周りの家屋よりも大きく、看板も出ているので間違えることはないだろう。
玄関を開けるとベルの軽い音が部屋に響いた。
補佐官の説明を受けながら町を歩く。町の風景全てが目新しい。
そもそもあの噴水とかいう水の吹き出る物体はなんなのだ。どういう仕掛けで水が出ているんだ。
広場には遊んでいる子供たちや出店などで活気に溢れている。
「あ、ここですね。ええ。自衛団本部となります」
中年の男が建物の前で立ち止まる。ソーニャはその建物を下から上と見上げる。
豪華絢爛、と言いたいところだがぱっと見特別な建物には見えない。路地裏の住居とさして変わらない。
出入り口にかけられている看板だけがこの建物の役割を示している。
「え、あのですね。自衛団の集合にですね、ええ。時間を少々いただくことにですね。ええ。なるのでですね。
お先に部屋のほうに案内をですね。させていただいてですね。時間まで休んでもらおうかと」
ソーニャはそれを快諾した。
七日間の旅で服は汚れているし、何よりも湯浴みをしたい。
一応川が近くにあるときは寄っていったがその冷たさは身に染みた。
「あ、えっとですね。ソーニャさんの部屋はですね。ここから近いんですけどね。
今、従者のほうが来ますのでね。あ、来ましたね」
補佐官の指差した方向から緑の服を来た女の子が走ってくる。
ソーニャたちの前に着くと背筋を伸ばし、右手で敬礼をした。
「わたくしが本日よりソーニャ様の従者となりますコユキであります!
至らぬところありますでしょうがどうかよろしくお願いいたします!」
「えーっとシカ・ソーニャです。こちらこそよろしくお願いします」
歳は十五ほどだろうか。背は低くソーニャよりも頭一つ小さい。
服も刺繍が少なく一番簡素なものだ。おそらくは入団したばかりの新兵だろう。
腰に下げた真新しい剣が目に眩しい。走ってきた割には息の乱れがないということはそこそこ鍛えられているのだろうか。
それにしてもぎこちない笑顔だ。おそらくはこういう挨拶に慣れていないのだろう。
とは言うもののソーニャだって慣れていない。村にいた頃はこのような挨拶をする必要などなかった。
「コユキ。粗相のないようにですね。ええ。案内しなさい」
「了解しました!」
そう言い残して補佐官は本部へ行ってしまった。
直立不動の敬礼で補佐官がドアの向こう側へ行くまで見送った後、その場でくるりと回転してこちらを見た。
「それではお宿のほうへご案内いたします! ソーニャ様!」
「……様付けはやめてくれないか。なんだかむずむずする。それとそんなかしこまらなくてもいいよ」
「え、あれ。そうですか。すみません」
年相応の笑みをこぼす。先ほどのがちがちした状態よりかよっぽど話しやすい。
本部の横の路地裏に入ったところでコユキが歩きながら話しかけてきた。
「同い年でドラゴンを討伐した人と聞いていたのでもっとこう筋肉むきむきの男性かと
思っていたんですけどまさかこんな綺麗な女性だったなんてびっくりしましたよ」
「ああ、それはあの補佐官にも言われたな」
それ以上にこんな可愛い子が同い年であることに愕然としている自分がいる。
ソーニャは子供の頃からずっと鍛えられてきたし仕方ないと言えば仕方ない。
「多分自衛団みんなが驚くと思いますよ。みんな男だと思っていますから」
「一体どんな風に私のことが伝播したんだ……」
「白い甲冑を身に纏った騎士って聞きましたね。あ、ここですね」
本部から歩いて五分程度だろうか。普通の住居が立ち並ぶ路地裏に宿はあった。
周りの家屋よりも大きく、看板も出ているので間違えることはないだろう。
玄関を開けるとベルの軽い音が部屋に響いた。