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すーぱーみんつく大戦

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 ――ある平行して存在している世界群、それらが唐突に重ね合わせられた。
   世界はその存在を曖昧にし、重ね合わせられた世界間にはそれらのいずれでもない世界が現れた。
   文明の跡だけが見受けられる無人の世界、しかしそこに幾ばくかの影が動いていた。
   世界を重ね合わせた者にとってイレギュラーな彼等の正体は、平行して存在している世界群に居た者達だった――


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 老朽化して荒れ果てたビル群、そしてそのビル群を飲みこもうとしているかのような森の群れ、それらの光景を一通り眺めまわして若侍は首を傾げた。
 腰に佩いている一振りの太刀を確認して、若侍――迅九郎は呟く。
 「拙者、また別の世界とやらに迷い込んでしまったので御座ろうか?」

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 死の運命から死をもって逃れた者、桐島祐樹は呆れを宿した半目で周囲を見回した。
 そこにあるのは自分の住んでいる日本とも、以前訪れた地獄とも別の風景であり、
「あれか? また俺死んだとか言わねえよな?」
 大きくため息吐いた。

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「作った本人に似てヘンクツな機械になってしまったかな?」
 タイムマシーンと呼ばれる機械から閉鎖都市へと跳んだはずのハカセは困ったように頭を掻いた。
「さて、ワシの他に誰か人はいるのかな?」
 居ないのならそれでも構わないと思いつつ、彼は歩きだす。

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 蛇の目を携えたエリカは背の翼を月光に照らされながらタバサと共にその世界を空から見下ろしていた。
「地平線まで人の作る灯りが無い……人の世界が一晩で終わってしまったとでも言うのかしら?」
 呟く主に羽をはばたかせたタバサが猫の言葉で何やら訴えかけた。
 その声と尻尾が示す先は緑に侵食されているビル群の影で、そこに微かに見受けられるのは、
「火……? 見に言ってみましょう。私の初恋の君があの灯の主かもしれないわ」
 花柄の着物と紺袴が宙を翔けた。


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 ――異なる世界から来訪した者達はその世界の違い故に対立を経験する。
   互いの素性をどう受け容れるのか、どういう距離感で彼等は相対するのか。
   彼等は共に手を携えるのか、それとも――


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「先程のその棒から伸びる刃物、その身のこなし、どういう手品かは分からないが貴様からは戦いなれた者の臭いがするな?」
 銃口を突き付けて青年、ゲオルグは問いかけでなく確認を口にする。
 同時にアレックスと呼ばれていた青年は銀髪の少女、クズハへと複雑な視線を向けていた。
 怪しい動きをしたら彼女も攻撃対象になるのだろう。それを理解して、ゲオルグを刺すように見据えた匠も口を開く。
「あんたこそ、相当場数を踏んでるな?」
 墓標の先を突きつけての言葉に頷きは無く、ゲオルグは自分たちに起こった異常の正体を問う。
「今の我々の状況はそちらの手品の仕業か?」
「違う、俺たちも事態が掴めていない」
 綱渡りのような一触即発の空気で状況確認をしている二人。
 その間に金髪の少女が仁王立ちした。
 彼女はいっそ清々しい程の正義感で声を張り上げる。
「閉鎖都市特務室室長、アシュリーだ。今はとりあえず落ち着く事が肝心だろう、そこでこの場を私が預からせてもらう!」
「うわああああ、ほっとけよ室長ぉ」
 彼女の部下であるハーヴィーがめんどくさそうに頭を抱え、状況を見守っていたゲオルグと匠の知り合い達が仲裁に入った。

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 違う世界が重なった時、出会えぬ者達が再び出会う事もある。
 そんな奇跡を目前に示され、汚れたツナギに短髪の女は呆然と呟いた。
「ズ……ズシ?」
 ズシと呼ばれた埃に汚れた白衣の青年はほっとした笑みで応える。
「……アンジュか、やっと、会えた」

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 平賀という名をもつ老人は目の前の若者が語る〝能力〟を聞き、嘆かわしげな声を上げた。
「透視能力じゃと? 覗きの美学が分かっておらんなぁ、君は!」
「視れるという結果こそが重要だろうが! 語って聞かせるだけの美学があるなら是非とも拝聴したいもんだな!」
 透視能力を持つ男、天野翔太の言葉を聞き、老人の目に圧倒的な情熱が宿る。


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 ――集結した各世界の住人達は自分たちが置かれた状況を把握しようと努める。
   ここはどこなのか、なにが原因なのか、元いた世界はどうなってしまったのか――


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「キッコ君、これは異界や結界の術かの?」
 平賀の言葉を受け、キッコは首を横に振る。
「さて、どうもそのような術と似てはいるが、それにしてはここに居る者達の元いた場所の情景、そして時間帯も文化をもが一定せんの」
 喋る狐という存在を〝そういう文化〟に属していない者達の中ではいち早く受け容れたハカセが私見を述べる。
「ワシから見たらここは元いた場所の時間をえらく経過させた結果に見えなくもないがなあ」
「しかし、ハカセが行こうとしていたという閉鎖都市はこのような場所ではない」
 反論したゲオルグに続くように白髪二本角の鬼が付け足す。
「我々の居た地獄とも大きく違うな」
「俺たちの日本では聡角のような鬼は異形って言われてる。だけどそっちじゃそうでもないみたいだな。桃太郎ごっこしようものなら大罪人だ」
 着流しの男の自嘲気味なシニカルな笑いがあり、
「こりゃアレだ。世界が違うんだな。どうも複数の世界が繋げられたらしい」
「にゃ? 殿下、どういう意味にゃ?」
 侍女長と呼ばれる猫娘の疑問にまだ十代も始めくらいの見た目の少年が「あー」と言葉を探すように悩み、
「うーん、まあ、世界の理に疎い奴は自分達の現実が絵本や漫画の中の世界とごちゃ混ぜに繋がったとでもおもっときゃいい。つまり――」
 殿下と呼ばれた少年は周囲を見回し、自然に飲みこまれつつある文明の跡の様子を見てため息を追加した。
「ゲームみたいな世界ってことだな」


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 ――状況を理解した者も一応納得した者も、己の身に降りかかった理不尽にどう対処するか考える事となる。
   各々の悩みの間にも時は流れて生活は営まれる――


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「わ、匠さん、匠さん! 迅九郎さんが狸になってしまいました!」
 銀の髪を揺らすクズハと共に迅九郎を眺めていた匠は呟く。
「……呪の類か?」
「ああ、気にせんでもよい、あれはわしのかけた罰じゃ」
「藤ノ大姐が?」
「そうさな」と頷く藤ノ大姐の衣服は彼女が常にそうしているままに乱れている。
 それをブロンドの髪を長く伸ばした女性が窘める。
「あの、着物をもう少ししっかり着てはいかがでしょうか?」
「なんじゃセフィリア、別に気にするものでもなかろう」
「そ、そうじゃ! そのしどけなさに混じる重ねた齢からくる老練さがその幼い身体を輝かせるんじゃぞ? 隠すなんてもったいない! なあ官兵君!」
「ええ、まったくですね! 博士!」
 カメラを装備した男二人が藤ノ大姐の言葉を擁護した上で互いにサムズアップでコミュニケーションを交わす。
 そんな男二人に金髪ツインテ幼女型ロボットHR-500、トエルが同じ機関に所属している白石に言う。
「ふぇ、こういう年のとりかたはしたくないですし」
「そうだべな」

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「元の生活に戻る為には皆で固まって原因を探った方が賢そうだな」
 無精ひげが生えた顎を撫でさすりながら呟く神谷を金髪の少年が縋るように見上げた。
「神谷さん、俺たち帰れるかな?」
「その頭でよく考えて行動する事だな。――なるようになるだろう」
 益体無さそうな答えを投げやりに返した神谷は煙草を咥える。
 そのすぐ横では異世界のそれなりに偉い人間であるらしい平賀が、異世界の覗き魔天野翔太に己の生き様を語っていた。
「重要なのは場所取り、これを失敗するとよいアングルで裸体を臨む事はできないんじゃ、
 そしていつばれるかわからないこの緊張感……これが、覗きの美学じゃよ……っ!」
「おお……っ!」
 神谷はなんとはなしに思う。今回の問題、実は難易度低いのではないだろうか。

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「こんなものかの?」
 キッコは地面を抉り抜いて水を溜めた巨大水たまりに狐火をぶち込んでいた。
「もっと火力強めてー」
 そう指示を出すのは湯乃香、
 彼女は公序良俗が云々と言い出したお堅い連中に着せられた服をここぞとばかりに脱いで即席の風呂に浸かっている。
 そして湯乃香と元の世界で顔なじみであった天野翔太は同じく即席で作られた男湯方面の湯加減を確かめようとして、
「貴様が視姦獣か……覚悟は良いな?」
 これもまた元の世界で愉快な縁が繋がっている高瀬に軍人として鍛え上げたその身のこなしで追い詰められていた。
「あの、高瀬さん?」
 僧形の男、安流は高瀬の不自然な動作に不穏なものを感じ、
「安流さんヘルプ! へループ!!」
 天野翔太の必死の救援要請が響き渡った。

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「あー、夜々重」
「なぁに?」
 同じ湯につかりながら、艶やかな黒髪を結った夜々重は祐樹に身を寄せた。
「ここは男湯でな」
「大丈夫、入ってこないように見張っててってお願いしてるから」
「じゃあせめてタオルくらいは」
「いいじゃない」
 そう言って夜々重は祐樹と更に距離を詰め、祐樹は身体を硬直させる。
 そんな二人を一羽のカラスが見下ろしていた。
 首に付いた通信機から平賀が声をかける。
「ハナたーん、もう少し上から俯瞰していこうかのう」
 足に小型カメラを括りつけたカラスは指示に従い羽を動かす。
 そしてカメラの出元であるクリーヴは、それらのリアルタイム編集作業を続けながら独り言を呟いていた。
「閉鎖都市とも違う、いや、世界が違うと言っていたか……どういう事なんだ、変な生き物はいるし変な機械はあるし、挙句魔法だぁ?」
 世の中の理不尽さに対する愚痴は途中で遮られた。
「クリーヴさん、覗き趣味はよくないよ」
 声をかけてきたのは同じ閉鎖都市からこの世界に流れてきたというクラウスだった。
 微笑をたたえた彼にクリーヴは事件の首謀者の名を出して自分から矛先を逸らそうとして、
「待て、待つんじゃ火燐たん! わしとしてもただの覗きでは無く、そう、研究! 研究じゃよ?!」
「黙れ爺! くそ、五大派閥にはこんな奴しかいないのか……!?」
 既に別の矛が向いていたらしい事に軽く絶望する。
「お兄ちゃーん、こっちにも覗きしてる人がいるよー」
 ミシェルの声を聞いたゲオルグは適当に指示を出す。
「……当てないように撃ちなさい」
 ゲオルグが小さく呟いた瞬間に射撃音。そして湯に何かが落ちる音。
「あ、れ? ミケさんにブチさん?」
「にゃ、ばれたニャ」
「お前のせいニャよブチ」
「そんな事ないニャ! それとお前がブチニャ!」
「そもそもなんであなた達が覗きなんて?」
 湯乃香の声を聞いて火燐がはっと顔を上げた。
「おい! それは囮だ! 春夏秋冬がどこかで奇行を――」
「うふふふふふふ流石は火燐たん! 私の事なんてお見通しってわけね! 以心伝心!
 嗚呼、これこそ真実の絆! 私達を繋ぐ絆はきっと赤い糸!」
 洗濯用に脱がれた衣服を持ちだし、下着類を被った春夏秋冬が満面の笑みで火燐へ駆けより、カウンター気味に殴り飛ばされた。
 クリーヴは盗撮幇助の罪に問われるのを予感しながら思う。
 レヴィン、どうも世界はまだまだ撮らなければならないものが多いようだ――。


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 ――そして現れる敵。

「ごきげんよう、私はアカリと申します。少々越権行為ではありますが、世界を操作させていただきました」

   ――彼女の目的は――

「何故貴方がたがここに居るのか分かりませんが、何かの縁でしょう、
一度世界を破壊してより平和な世界を創ろうと思います。手を貸しくださいな」

   世界の在り様を変えるものだった――


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「かぐや……殿?」
 呆然と呟かれた安流の言葉に、名を呼ばれた、女性と見まごう程の美貌の男――かぐやらしき者は哀しそうな顔で笑んだ。
「……よくある話です」
 同じ名を冠する魔装同士が相対した。

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「人についたという噂は真だったのか、信太主よ」
「人は面白いぞ? キヨヒメよ。それにしても、貴様がそちらにいるようではアカリとかいう者の創る世界も平和とはいかなさそうだの」
 巨大な蛇と狐は双方を睨み据えて吼える。

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「我は我蛾妃よ、忘れたか? 殿下?」
「馬鹿な……」
 今は幼女として地獄に有るはずのかつての悪鬼の名に殿下は戦慄を覚えた。

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 ――現れた敵はいないはずの者で、
   敵になるのは争いを望むものだった
   そしてかれらは立ち上がる。自らの世界へと帰還するために――

「蒼燈鬼聡角、私にも待つ者が居るのでな、悪いが全力で行かせてもらおう」
「わざわざ嘆願書をしたためてくれた者達に報いるために戻ってしなければならない事があるのデス。邪魔をするのならブッ殺しマスヨ?」
「孤児院に帰らせてもらう、邪魔をするのなら鉛玉の味を教えてやろう」
「拙者、妖異破りの迅九郎。生まれてこの方、妖物に不覚を取った験しはござらん故、覚悟致せ」
「吸血種を嘗めるなよ? 蕃夷の輩が」
「ふぇ! ふえふえふえふえふえふえ! ふえぇぇぇぇぇぇ! ふえぇッ!!」


 ――すーぱーみんつく大戦 君の脳内で放映開始――



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