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ガンダム総合スレ「第88独立宇宙戦団」

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 「第88独立宇宙戦団連邦軍部隊」

 >>322 さん作

宇宙暦0089年初頭、地球連邦艦隊宇宙拠点コンペイ島。
反地球連合国政府機関エゥーゴ所属の機動巡洋艦ネェルアーガマが遊弋している。

「やれやれ、主義主張の違いとはいえ、またぞろ、スペースノイド相手に撃ち合いとなるか…。
創設以来のエゥーゴの理念も、徐々に薄れつつあるな」

「ブレックス准将の横死や、クワトロ大尉の”M.I.A.(戦闘後行方不明)”で、組織の求心力も
また薄れつつある…、栄光ある我がエゥーゴ宇宙艦隊も、この辺りで事実上の解体だな」

「うむ…、まあ、このまま、形骸化が進んで単なる戦闘屋に成り下がるよりは好ましかろうがな…」

先のティターンズの起こしたグリプス戦役も合わせ、二度もの宇宙紛争を平定したエゥーゴ宇宙艦隊も
もはや資力も人的資源も尽きかけていた。

そんな中、シャングリラの年端もいかぬ民間兵のアクシズ戦役に於ける活躍は今や伝説に等しかった。
様々な幸運に恵まれたとはいえ、数多の激戦を潜り抜け、敵のNT部隊を退け、果てはアクシズの首魁
ハマーンカーンまで討ち果たしたのである。

「この艦で奮闘した少年たち、ニュータイプだという噂だが…」

「うむ、だからこそZ計画のガンダムの性能も十二分に引き出せたというわけか…」

最終的にガンダムタイプのMSは、ほぼ全機失われたが、それでもその戦果と功績は計り知れない。

「…彼らはもう充分に戦ってくれたよ、後始末くらいは老人たちに任せてもらいたいものだな」

エゥーゴに残された機体は、百式の改良型に可変MSのメタスが4機、そして最終生産ロットになる
量産機ネモ8機、そして、かっての主力リックディアスの改良型であるシュトゥルムディアスが4機。

ペガサス級強襲揚陸艦の系譜に連なるネェルアーガマ一艦の搭載数としてはフル状態である。
激しい戦いに疲弊しきったこの艦が、最後に一花咲かせるには充分な数であろう。

「しかし、今後の戦いに充分な数であるかどうかは、いささか疑問なところではあるな…」

ニュータイプと噂され、アクシズの主力を悉く単艦で打ち破ったシャングリラチルドレンならいざ知らず
児童向けの立体TVの様に、少数で多数を討ち勝つという安易な幻想に溺れるほど大人たちは青くはない。
理論上では、スペースコロニーをも破壊できる切り札のハイメガ粒子砲も損壊したままになっている。

…暫定的な処置とはいえ、この急造の第88独立宇宙戦団に一体どれだけの戦力を集められるものか。


ハマーンの戦死後も、なお連邦に投降しなかったネオジオンの残存艦隊は、現在二派に分かれていた。

その内の一派は、エンドラ級宇宙巡洋艦数隻を中心にした機動艦隊で、既に数隻の民間船が拿捕され
略奪を受けている。

旧世紀の大航海時代から、この種の下衆は存在していた…。掲げる旗も無く信念を失った艦隊なぞは
もはやただの海賊に等しい…、もし邂逅したら、その場で手痛い報いをくれてやるだけだ。

もう一派は小惑星を改造した宇宙ドックに篭っていた…、アクシズ本体はおろかモウサにも及ばない
規模だが、発電ユニットや食料生産プラント、宇宙艦船の整備能力など、最小限の基地機能を有して
おり、未だ表立った動きは見せてないが、それだけに不気味である。

…いずれにせよ、地球の重力圏から遠く離れた深宇宙域は、アクシズ宇宙艦隊の庭も同然だった。

二度の戦乱によって地球資源の損耗は著しく、木星航路の再開は急務であったが、惑星間輸送船
ジュピトリスⅡの就航は徒に遅れるばかりだった。

「あちこちから戦力を掻き集めて、なんとか宇宙国家群の宗主たる体裁は整えたいらしいが…」

「あくまで主導権を手放すつもりはないというわけか、ま、当然ではあるがいじましい限りだな。
いったいどこまで当てに出来るものか…」

「主力はアレキサンドリア級宇宙巡洋艦が2隻、それを護衛する形で旧式のサラミス改が8隻…」

「…ほほう、それでも頭数は揃えたものじゃないか」

「額面通りに受け取るのはまだ早い…、サラミス改の半数近い3隻は0083年に進水した予備役の
火力強化型だぞ」

近代化された宇宙艦船は、いずれもMSの母船機能を有し、艦載MSとの連携を戦術の主体とする。
艦船同士の砲雷撃戦になる確率は有り得ないわけではないが、かなり低かった。

「MS搭載艦には、新型のGMⅢや、ティターンズから吸収したバーザムを集めているらしいが…
果たして、俄か編成のMS部隊がどこまでやれるものかな…」

「やれやれ、それでジオン共和国からも艦艇を出させたというわけか、こちらも一年戦争時代の
ヴィンテージものだし、一応、近代化改修されているとはいえ、いったいどこまで使えるものか」

「しかし、ヤツら、よくもまあ、あのハマーンに尻尾を振らなかったものだな…」

「無論、我が身が可愛いって事もあるだろうがな…、つまりだ、今更ザビ家の亡霊に阿って
宇宙移民が、何かと立体TV番組の悪役にされる時代に逆行するつもりはないってことさ…」

「賢明だな、あの史上空前のジェノサイドは如何な理由を付けても正当化出来はせん…」

戦力不足から連邦政府は、かっての敵国、即ちジオン共和国からも戦力を掻き集める羽目になった。
供出された艦艇は、正確には重巡チベ改が1隻、軽巡ムサイ改が3隻、そして補給艦パゾクが1隻。

いずれも一年戦争時に就航したものを近代化改修したものであるが、あくまでテロ等に対する防衛
もしくは、スペースデブリなどの大規模宇宙災害に対する備えで、MSの搭載も禁じられており、
本格的な宇宙戦闘なぞ望むべくもなかった。

従って、吝嗇で評判の悪い連邦政府と言えど、仮にも戦力として期待するからは強からず弱からず
といった程度のMSを供与する必要があった。


UC0079の和平調印後、接収されたゲルググM(マリーネ)やJG(イェーガー)はかっての
ジオン公国の虎の子だったが、さすがにここ近年では性能不足を否めない。

それに比べ、ペズン秘密工廠から発見されたガルバルディーαの改良型βやアクトザクは性能試験の
評価が高く、それなりの数が生産され、グリプス戦役の初頭は月基地で迎撃任務の役に就いていた。

そして、アクシズ戦役時に大量に鹵獲された可変MSガザC、そして放棄された地上施設に無傷で
残されていたガルスJ型、および砲撃改造型のK型は、ごく僅かな改修で宇宙戦に転用出来たため
戦力としては、かなり期待出来る。

要するに、忌々しいジオンの匂いのする機体は、ここで一気に消費してしまう腹づもりであろう。
しかし、ほとんどが一年戦争上がりのジオン共和国のパイロットたちも、それなりに格好がつくことに
なった。

今回結成された第88独立宇宙戦団に於ける彼らの身分は傭兵であるが、敢えてその身分に甘んじた者が
多かったのは、一年戦争の爪痕が如何に深かったかの証左だった。


ネェルアーガマから離れること600宇宙キロ…、第88独立宇宙戦団のもうひとつの宇宙傭兵たちの
根城である輸送艦コロンブス改には、現在、長期作戦に必要な様々な機体や資材が搬入されていた。

傭兵たちの主な乗機として集められた機体、ハイザックもGMⅡも可も無く不可も無く、取り回し易い
とにかく癖の無い機体だ。

高価なハイエンド機に頼らなくとも数を揃えることが出来れば、それなりの戦果は期待出来るだろう。

…だが、所詮性能的には旧式であり、仮に今日生き残っても、明日はどうなるのか。

「現在確認されているのはガザDか、これでもヤツらにしてみれば二線級って言うからたまらん話だ…」

搭乗しているヤツらの性根のほどは判らないが、ネオジオンのMSは、さすがに最新型というだけあって
とにかく手強かった。

機体の彼我の戦力比を1対3と見積もるならば、敵MS1機を墜とすのに、GMⅡかハイザックの損耗が
1個小隊、即ち3機かかるか否かというところである。


仮に敵がグリプス戦役で鳴らしたハイエンド機、例えば、可変MSのハンブラビ等と同程度の性能なら、
並みのパイロットでも、概ね1対6…、もしくはそれ以上か。

もし、これがジュピトリス製のモンスターMSや、”アクシズの毒蛾”のようなNT専用機レベルならば
損害はもう想像に尽くし難い。

傭兵たちの最大の関心事は、機体の”生残性(サバイバビリティ)”であり、それがそのまま自分の生死に
直結している点だ…、戦術論の机上の計算も良いが、実際に自分が戦死してしまっては目も当てられない。

…どのような名誉も、輝かしい戦果も、高額の賞金も、生命あっての物種である。

この第88独立宇宙戦団を構成する兵士の内、司法取引で仮釈放された戦犯やジオン共和国のパイロットの
身分は傭兵という形になっている。

敵機には賞金が設定され、撃墜する毎にTチップカードにポイントが蓄積される仕組みになっており、その
ポイントを使って、機体の改造や強化装備の購入、もしくはより性能の高い機体に買い換えることが出来る。
傭兵たちは文字通り、自分の生命を購うことが出来るのである。

…そして、機体の買い換えの件だが、実は、先刻挙げたハイエンド機とて例外ではなかった。

ティターンズが事実上解体されたとき、あちこちの現場で納品時にトラブルが発生して、呆れたことに
そのまま宙に浮いてしまった機体が続出したらしい。

何せ、あまりに特殊な仕様が祟ってか、並みの基地施設ではろくに運用さえ出来ない上に、今後MSの
運用思想に何らかの変化があれば、そのまま無用の長物に成りかねない代物ばかりなのである。

そういった機体を様々なルートから可能な限り買い漁って来たのが、この特務輸送艦のオーナーにして
ジャンク屋上がりのブッホ商会の会頭シャルンホスト=ブッホである。

軍払い下げのコロンブス級輸送艦を、ごく短期間で最新型MSの実験用プラットフォームに仕立て挙げた
資力や技術力は尋常なものではなかった。

(この艦で吸収した様々な技術を基盤に、後年ブッホはMS開発史に輝かしい足跡を残すが、それはまた別の物語になる)


…この作戦中、ブッホ会頭が生命知らずの傭兵たちに語り掛けた言葉で、後年有名になったものがある。

「…ああ、金さえ出せばクレムリン宮殿だって持ってきてやるぜ」

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