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ガンダム総合スレ「爆光に双子座は煌めく:1」

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匿名ユーザー

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爆光に双子座は煌めく:1


 >>5-165 さん作

159 :創る名無しに見る名無し:2011/03/10(木) 21:33:24.89 ID:G+mTp/2b

今イグル―ネタで書いてるんだけど、どうだろう?
設定としては、

 ・主人公は603と同じようなことやってる技術試験隊に所属。
 ・試験するのは旧ザクをベースにした、補給艦の長距離護衛用MS。ちなみに複座式。
 ・時期的にはオリヴァー達603がヒルドルブの再試験を行っていた頃。
 ・模擬戦闘訓練を行っていたときに、人手不足から輸送艦護衛に駆り出され……的な展開。

という感じなんだが。

162 :創る名無しに見る名無し:2011/03/13(日) 14:04:31.98 ID:73M6R/5S

ありがとう! 
今日中には第一話投稿してみるわ。まあIGLOOらしい珍兵器の巣窟になりそうだから賛否分かれるかもしれんが。
あ、ちなみに長距離護衛っていうのは輸送艦に随伴し長距離を航行するって意味で、長距離を攻撃するってわけじゃないです。



165 :爆光に双子座は煌めく:2011/03/13(日) 15:40:06.33 ID:73M6R/5S

 第602技術試験隊・技術支援艦『ニヴルヘイム』。
 ジオン軍が貨客連絡船を徴用し、新兵器の試験運用に使用している艦であり、乗組員の
多くが徴用以前の乗員で占められている。他の同型艦もまた、別の技術試験隊に配備・運
用されているが、あまり日の当たる任務とは言えない。しかし、誰かがやらなければなら
ないことは、皆が理解していた。


《物量において勝る地球連邦軍の戦力も、モビルスーツによる新戦術の前には赤子同然!
 我が軍は地球各地で激戦を繰り広げ、その尽くを……》

 勇ましい音楽とともに流れてくる、快進撃のニュース。ジオン軍技術中尉ウルリケ・レ
ントは、不貞腐れたような面持ちで艦橋のモニターを眺めていた。ため息を吐いて髪の毛
を弄りながら、これらの情報がどこまで本当なのかを考える。その表情と疲れのせいか、
彼女の顔は普段より血色が悪く見えた。
 宇宙にいる彼女たちには、地球の重力と砂塵の中で、同胞たちがどんな思いをしている
か、見ることはできない。実際、つい先日までは彼女も、これらの公国軍快進撃のニュー
スを疑ってはいなかった。国民の戦意を保つために必要であることは分かるが、実際に戦
っている兵士からすれば、ふざけるなと言いたくなる内容でもあろう。それでもまだ、ジ
オン軍の優勢には変わりないが。

「レント中尉、格納庫からお呼び出しだ」
「あ、了解です」

 返答だけは朗らかに行い、ドアを開け、無重力を利用して廊下を一気に進む。背中で結
わえた髪を靡かせながら、格納庫へ至る通路を行く。
 先日、任務を告げられた時の記憶を引きずりながら……


「MS-05Z『ツヴィリング・ザク』。602技術試験隊はこれを受領後、ヨーロッパ上空の軌
道上にて試験を実施せよ」

 ジオン軍技術本部長アルベルト・シャハトは、淀みない声で告げた。
 部屋に設けられた大型モニターには、異形の兵器の三面図が表示されている。技術試験
隊はその名の通り、実戦配備前の試作兵器の試験が任務だ。自分が有用性を確かめた兵器
が、いずれ時代を動かしていく……それがウルリケの願いであり、目標だった。しかし理
想と現実がなかなか一致しないのは、大学を出たばかりの彼女でさえ、よく知っていた。

「05Z……お言葉ですが本部長、この機体は開戦前に評価試験を終え、不採用が決定されて
いるはずでは?」
「その通り。しかし戦況が、この珍奇な兵器を欲している」

 シャハト本部長が、軽いため息を吐く。片眼鏡のレンズの奥で、右目が憂いの色を帯び
ていた。

「昨日、君の学友……603試験隊のマイ中尉にも言ったが、地球への侵攻作戦、通称『重力
戦線』は、国民に喧伝されているほど順調には進んでいない」
「えっ……八月には地球全土を制圧できる、ということでしたが?」
「我々は地球の広さ、そして深さを侮っていたのだよ」

 彼がモニターの映像を切り替えると、地球軌道上の物資補給線が表示された。北アメリ
カやヨーロッパなど、地球各地の戦場への補給物資を投下するためのルートは広域に渡り、
ジオン軍は連日のように物資投下を続けている。しかし連邦軍がそれらを見過ごすはずも
なく、輸送船団が連邦軍艦隊の攻撃に晒されることも多かった。連邦軍は小惑星を利用し
た宇宙要塞ルナツーを利用し、宇宙でもジオン軍への抗戦を続けているのだ。

「……地球への侵攻は、物資を無限に飲み込む深い泥沼だった。過去に不採用が決定され
た兵器までもが、使い捨て同然に地球へ送り込まれている。しかし現状では、それらを投
入する広大な補給線の維持さえ、困難だ」

 考えてみれば、理に叶ったことだ。ウルリケたち宇宙居住者(スペースノイド)には、
地球を狭い場所と認識していることが多いが、それでも全ての生命が生まれた星である。
それさえ人間で埋め尽くされたがために宇宙への移民が始まったのだが、その宇宙居住者
たちが地球を掌握するのがいかに困難であるかなど、想像に難くない。

「そのため、かつて長距離船団護衛のため開発された05Zに、再評価の動きが出てきたと
いうことですか?」
「そうだ。再評価試験の結果如何では、量産の可能性も無くはない。宜しく頼む」


 ……最早、なりもふりも構っていられない状況らしい。
 そのような経緯で602技術試験隊に託された、MS-05Z『ツヴィリング・ザク』を、ウル
リケは眺めた。MS-05の名の通り、機体は旧型ザクなどと呼ばれるザクⅠをベースとして
いる。
 シャハト本部長が「珍奇な兵器」と評したのは、その外見であった。旧型ザクを2機、
胴体を横に連結し、多数の火器を搭載しているのだ。また、左側のザクは頭部周りに改造
が施されている。

「レント技術中尉、こっちだ!」

 連結したザクの右側のコクピットから、若い男が彼女を呼ぶ。赤い軍服を身に纏い、サ
ングラスをかけた士官だ。総帥府から目付役として派遣されてきた、クルト・フィッケル
特務大尉である。
 ウルリケは手すりを飛び越え、コクピットへゆっくり跳躍する。

「大尉、どうしました?」
「あのな、この回路をもう少しどうにかできないかと思ってな……」

 フィッケルはコントロールパネルを軽く叩く。
 このツヴィリング・ザクは、右側のザクにメインパイロットが、左側のザクに兵装士官
が搭乗する。武装は両肩の機関砲、腰部分には対空榴弾砲、脚部のロケットランチャー、
そして手持ちのザクマシンガン二丁である。この機体の運用方法は輸送艦に随伴しながら、
これらの武装をコンピューター制御によって多方向の標的に照準を合わせ、強力な対空弾
幕を張るというものだ。
 射撃管制コンピューターを操作するのが、左側に搭乗する兵装士官というわけである。
わざわざザク二機を連結した理由は、射撃管制コンピューターの電力消費が激しく、二機
分のエネルギー供給があれば安定した稼働ができるということ、単純に兵器・弾薬の積載
量を増やせること、などらしい。ウルリケはこの機体を『機動対空銃座』と呼んでいるが、
その操縦回路やコンピューターの操作がかなり複雑なのだ。
 ウルリケの疲労も、その改良に追われていたからである。

「これでも改良してはいるのですが……そもそも不採用になった理由に、操縦系と射撃系
が複雑すぎるというのがありましたから」
「ああ、お前さんが頑張ったことはよく分かる。元が旧型ザクだしな、結構無茶させてる
部分もあるよな」

 フィッケルが苦笑する。
 テストパイロットの技量に頼る面が大きくなりそうだと、ウルリケは考えていた。しか
しデータさえ取れれば、それを元に改良された後継機が開発されるかもしれない。できる
限りのことをしなくてはならないのだ。

「そういえば大尉、603技術試験隊も、今任務に就いているそうですが」
「ああ、友達がいるんだっけ? そう、あいつらは俺らより貧乏くじ引かされたみたいだ
よ」

 フィッケルは詳しくは語らなかったが、過去に軍不採用の烙印を押されたとある兵器の
再試験として、地球へ降下するらしい。しかし再評価試験とは建前で、その実態は不足気
味のモビルスーツ戦力を補うための、使い捨て投入だという。
 ウルリケは603技術試験隊に同情を禁じえなかった。以前連邦軍との総力戦となったル
ウム戦役のときから、彼らは損な役回りばかりやらされていたようだが、技術屋としての
本分を果たせないのではあまりにも気の毒だ。それに比べ自分たちは、正式採用の見込み
のある機体を託されたのだから、まだいいかもしれない。

「ま、できることをやるしかないな。ところで、今暇?」
「え? まあ、命令が無い限りは」

 嫌な予感がしたが、生真面目な彼女は正直に答えてしまう。

「よし、ポーカーやろうぜポーカー」
「はあ?」
「整備も一段落したみたいだし、他にも暇そうな奴を誘ってだな……」

 まさかそのために呼んだのか。
 このフィッケル特務大尉は総帥府から派遣された政治将校であり、一般の軍隊において
は中佐に相当する権限を持つ。作戦に関連する事項では艦長にさえ命令を下せる、実質上
602技術試験隊の最高権力者なのだが、その立ち振舞いはウルリケが想像する政治将校と全
く異なるものだった。一般兵卒とも軽口を叩き合い、言葉づかいもラフで、公国への忠誠
も己の権力欲もほとんど感じさせない。彼は一体なにが面白くて軍人になったのか、ウル
リケには見当もつかなかった。

「あの、大尉……」
「おーい、ポーカーやりたい奴いるか? 俺のイカサマを見抜けたら良い物やるぞー」

 何人かの暇な甲板作業員たちが集まり始めるのを見て、ウルリケは今日何度目かになる
ため息を吐いた。

【 続く 】

とりあえずここまで。
不慣れなせいでいきなりご迷惑おかけしました。
機体の説明云々はまた後で。




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