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「チロルチョコ」、「法律」、「柊姉妹」②

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shoyu

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「チロルチョコ」、「法律」、「柊姉妹」②

237 名前:本日23:59まで予備投票@名無し・1001スレ[sage] 投稿日:2008/10/26(日) 03:01:58 ID:MwE/j7wS

 日中は混雑するコンビニも、深夜になれば客もいなくなり、静かなものである。
 だが店員が楽なわけではない。女はため息をつきながら、レジ前に黙々とお菓子を並べていた。
どれもこれも煌びやかなパッケージングをされたチョコレートだ。
 二月十四日のバレンタインに深夜バイトを入れてしまったことを、女は死ぬほど後悔していた。
ああ、なんということなの。こんな面倒が待っていたなんて――。
 そうなると何事も気になってくるもので、左右に垂れるツインテールが邪魔に感じてくる。
なんで今日こんな髪型にしてしまったのかと自分を呪いたくなる。
 しかしそう思ったところでどうする事もできない。諦めてもう一度ため息をついたとき、
自動ドアの開閉音がして、女は慌ててレジについた。客である。
 客は男性で、携帯を弄っていた。顔は悪くないが、少し横幅がある。
 ――せめてもう少し格好いい男がくれば、気分も晴れるのにな。
 あくびを噛み殺しながら客を待つと、男はしばらく迷った挙句、チロルチョコを一つ持ってレジにやってきた。
「いらっしゃいませ、30円に――」
「あの、すみません、ちょっとラッピングしてもらっていいですか?」
 女の言葉を遮って男がそう願い出た。
「少々お待ちください」
 ――なんでチロル一つにラッピングをしないといけないのよ!
 舌打ちしたくなる気持ちを抑え、代わりに少しだけ客を睨んでから包装用の袋を取り出す。男を見ると、再び
携帯を弄っていた。気持ちは分からないでもないが、レジで弄るのは迷惑だな、と思いながら、女は手早くラッピングをすませた。
「お待たせしました」
 包装したチロルを男に手渡す。その瞬間、男が叫んだ。
「かがみん! かがみんからチョコ貰った! 貰ったおフヒヒヒヒ! うっひょー、オラワクワクしてきたぞ!」
「ひっ!?」
 女が驚いて声を上げるが、男はすぐに押し黙って、携帯を再び弄りだす。
 買い物が終わったにもかかわらず動かず、男は時折笑い声を上げ、女をチラチラと見ながらコンビニ内をうろつきまわっていた。
 ――怖い!
 女は気味が悪くなり、こっそり警察を呼んだ。

 駆けつけた警官により、男はその場で取り押さえられ、パトカーで交番へ連行された。
 後で女が警官から聴いた話によれば、最終的に公務執行妨害で逮捕となったという。そしてその瞬間まで、
男は携帯を握り続けていたとか。
 没収された携帯には、
「うはwwwwwなんか>>72したらポリスメン怒ってるwwwwマジで逮捕ク」
 という意味の分からない文面が残っていたそうだが、警官は何が彼をそこまで駆り立てたのか、
動機が理解できず困っているらしい。


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