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「バンジージャンプ」、「青空」、「侍」、「走り高跳び」

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shoyu

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「バンジージャンプ」、「青空」、「侍」、「走り高跳び」


189 名前:バンジージャンプ、青空、侍、走り高跳び[sage] 投稿日:2008/10/21(火) 23:20:37 ID:tDpEUpvp [2/3]

江戸時代末期のことだった。
三河の国の小さな村に、誰にも挑戦できない度胸試しがあったそうな。
それは、海岸の切り立った崖に行き、あいだが三間(約5.5m)もある、深い谷を飛び越えるというものだった。

ある日、村に屈強な侍がやってきて村人にこう言った。
「儂は江戸で知らぬものがおらぬ度胸を持つ万次と申す。この村に、誰一人達成したことの無い度胸試しがあると聞いてやってきた。」
村人は期待した。こんなに強そうな侍なら、度胸試しを成功させるのではないかと思ったのだ。

海岸の崖に行き、万次は身軽になるために褌以外を脱ぎ捨てた。
「あれ? ジイジ。お侍さんの褌、すごい長いよ。長者の奥さんの髪より長いよ。」
「あれはな、地面に褌が付かないよう走るという訓練を積んでいる証じゃよ。これは期待できるぞい。」
人々は万次の成功を期待するのだった。

万次は座禅を組み、精神を集中させる。
落ちたら死は免れない・・・
しかし、これくらいの距離、陸上なら飛び越えられる・・・
恐怖心を克服するのだ・・・
「ヨシッッッッ!!!」
気合を入れ、万次は立ち上がった。

十分な助走を行い、走り高跳びのような飛び方で、万次の身体は宙に跳んだ。
重力から解き放たれたその体は、上も下も前も後も、見る限りの青空・・・・
万次はまさに鳥になっていた・・・・

そのときだ。突然、しかも谷の中央で、万次の体は重力を取り戻した。
子供たちが悲鳴を上げる!
「お侍が落ちる!!!」
「ああ! 褌が岩に引っかかったんだ!!!」
万次の長すぎる褌は、万次が谷を飛び越える前に、手前の崖にある岩に引っかかってしまい、宙を跳ぶ万次を眼下の海へと引きずりこんでしまったのだ。

「……これじゃぁ、たすからねぇべ。」
「……お侍、死んじゃったの?」
万次の死を覚悟しながら、村人達はこわごわと谷を覗き込む・・・
……そこで、村人は、褌に宙吊りになりながらも、無事な万次を発見したのだった。
「生きてるぞ! お侍、生きてるぞ!」
慌てて万次を引き上げた。
そして、谷を飛び越えるのには失敗はしたものの、万次の度胸を褒め称えた。

…このことがきっかけとなり、日本各地に体を紐でつないで崖から飛び降りる度胸試しが広まったそうな。
この度胸試しは、「万次」の「邪魔」な「陰部の布」ということから「万次邪陰布」。
転じて、「バンジージャンプ」と呼ばれるようになったそうな。

お後が宜しいようで。

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