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匿名ユーザー

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一回戦 第三試合 一条遥 VS 倉刀作

作者 ID:aVZvEaL60

     一回戦
    第三試合

 一条遥 VS 倉刀作


 ガチャッ

リヒト「よーっす、どうだ、緊張してるか我が弟子よ?」

遥「あ、師匠」

リヒター<どうしました、リヒト・エンフィールド?>

リヒト「なぁに、試合前の様子を見にな。聞いたぜ。相手は魔王の弟子だそうじゃねぇか」

遥「みたいですね」

リヒト「なんだ随分落ち着いてるな。せっかくあーんなことやこーんなことして励ましてやろうかと思あ痛たたたた!」

遥「お断りします」

 にこっ

遥「緊張はしてますけど、私にできるのは目一杯ぶつかることだけですから」

リヒト「いい心がけだ。いい子いい子してやろう」

遥「お断りします。あ、そういえば、みんなはどうしてます?」

リヒト「あだだだ極まってる! 肩肩肩極まってるそれ! 連中なら応戦席でもう盛り上がってるよ!」

 ガチャッ

係員「一条選手、お時間です」

遥「あっ、はいっ!」

 ぱっ

リヒト「いつつつ……それじゃ、俺たちは応援席に戻ってるぜ」

リヒター<マスター、ご武運を>

遥「ありがと、師匠、リヒター。それじゃ、いってきます!」

     ※  ※  ※

 ガチャッ

ハルト「入るぞ」

倉刀「あ、師匠」

美作「おいっす」

倉刀「なんだ、美作も来たのか」

美作「なんだとは何よー。
   私はばっちゃんに付いてきただけで、あんたの応援に来たわけじゃないんだからね」

ハルト「こんな時にまで喧嘩はやめんか。
    どうだ倉刀、緊張しているか?」

倉刀「いえっ……その……ええ、してます。なにせ相手は、創発最大勢力の代表ですから……。
   ですが、師匠の名に恥じぬ闘いをします。
   そして、必ずや勝利をつかみ、師匠に捧げてみせましょう」

ハルト「いや、私は勝利を望んだりせぬ。ただ――」

倉刀「……ただ?」

ハルト「我が名に恥じぬ戦いをするというならば――良い試合をしろ。
    持てる技の全てを出し、名試合を創りあげて魅せよ。
    私が望むのはそれだけだ」

倉刀「は、はいっ!」

 ガチャッ

係員「倉刀選手、お時間です」

倉刀「あっ、分かりました!」

美作「ま、せいぜい頑張んなさいよ」

倉刀「もちろんさ」

ハルト「楽しませてもらうぞ、倉刀」

倉刀「はいっ、それでは行ってきます!」

     ※  ※  ※

 ざわ……ざわ……

アンテナ「お待たせいたしました! これより第三試合を行います!」

 オオオオオオオオオオオッ!!!!

アンテナ「先に入場しますは――!
     あの巨大スレから、満を持しての参戦!
     軽薄短小は技術力の証! そのコンパクトボディに秘められた実力とは如何ほどか!
     一条ォォォ遥ァァァァァッ!!」

{※||
※||
白|| ̄ ̄ヽ
※||ィjリノハノi ジョインジョインハルカァ
※||リ゚ワ゚ノi)
虎||⊂ノ( )
※||   y
※||

 ウオオオオオオオオオオワアアアアアアアキャアアアアアアアハルカサーンガンバッテー!!!!
 ワーヤッチマエーワアアアアアアアアアアアウオオオオオイケーワアアアアオオオオオオ!!!!

アンテナ「お聞き下さい、この歓声! 会場全体が揺れているかのようです!
     ていうか観客多ッ! 客席が超満員です!」
柏木「さすがはロボスレ、といったところだね」

たま「まどかの作った弁当は美味いなあ」
まどか「もうお弁当開けてるんですか!?」
ルガー「それどころかお酒も開けてるよ」
マチコ「あ、これおいし」
ルナ「もうっ、ちゃんと応援しなさいよ!」

アンテナ「対しまして入場しますは――!
     魔王の弟子がリベンジだっ! リザーバーから正ファイターへと昇格!
     2年前とは違う! もう誰にも「そーとー」だの「石刀」だのなんて呼ばせない!
     倉刀ォォォ作ゥゥゥゥゥッ!!」

      ___
      」倉刀 〕
      (´<_`  )
     /   ⌒i
    / ./   | | ウィィィィン
 i._///   | | :
⊂uノ :i .|    .| ..| i i . .i
 i i| i| ii  「| i (u ⊃| ||
 ̄ ̄ ̄青 ̄ ̄龍 ̄ ̄ ̄

 ワアアアアアクラトーッオオオオワアアアアア!!!!

セイナ「シンパシーを感じる……!」
京介「俺、あっち応援しちゃ駄目かな」
タカ忘「あの人もう、そういうの卒業したみたいだけどな。今や結構、有名人みたいだし」
ライ「チックショウ卒業組がぁぁぁぁ、エアー嫁よぉぉぉ!」

アンテナ「それでは、試合開始のゴングです!」
よし子「はじめーっ!」

 カァァン!

遥「GO Ahead!」

アンテナ「先に仕掛けたのは一条選手だぁ!」

倉刀「わっ、とっ! せいっ!」

アンテナ「スタートダッシュに虚を突かれたか、慌てて避ける倉刀選手! かわしざま、打ち返すー!」

遥「わわっ! やっ!」

アンテナ「両者かわしては突く! まずは小手調べということなのでしょうか!」
柏木「いや、小手調べなんてとんでもない。これは修羅の闘い。小足が刺さったら即死もあり得るよ」

 バババッブンッババッ

倉刀「春斗蛇雷咬!」

遥「なんの! 一条天将雷撃!」

倉刀(こ、この……)

遥(動きは……!)

柏木「……似てる、ね」

倉刀「まさかあなたも春斗魔神拳の使い手……!?」

遥「まさかあなたも一条神拳の使い手……!?」

倉刀「えっ」

遥「えっ」

アンテナ「これはどうしたことだーっ、両者、リング中央で棒立ちだーっ!」

美作「倉刀ー! 何ぼさっとしてんのよーっ!」
よし子「ふぁいっ!」

倉刀「……はっ!」

遥「……っと!」

アンテナ「我に返った両者、間合いを取るっ」

倉刀「一条神拳……初めて聞く名ですが、どうやら僕らは似た拳法を使うようですね」

遥「みたいだね……」

倉刀「ならば! ナギッ」

 ドンッ

アンテナ「倉刀選手、前に出たッ! 一気に間合いを詰めるーッ!」

遥「っ! このぉっ!」

 ブンッ

アンテナ「振り払うような一条選手のスウィング! しかし、空振り!」

遥「やああっ!」

 ババババババッ!

アンテナ「一条選手、ラッシュ! しかし、当たらない! 完全に見切られているーっ!」

倉刀「毎日まいにち、師匠にしごかれてきたんだ! その拳、見切るまでもなく「知っている」ッ!」

 パシッ

アンテナ「倉刀選手、一条選手のパンチをつかんだっ!」

遥「かかった!」

 ドリュッ!

柏木「合気か」
アンテナ「拳をつかませたのは罠だったのかーッ! 倉刀選手、引き倒され……」

倉刀「知っていると言った!」

 バオッ!

アンテナ「返したーッ! 倉刀選手、身体を倒されるまま前転! そのまま一条選手を投げ返したぁッ!」

 ビターン

遥「いたぁっ!」

倉刀(よし……いける……!)

美作「倉刀のやつ、やるじゃん。ねえ、ばっちゃん、これいけるんじゃない?」
ハルト「いや、あの目はまだなにか隠しているぞ。……倉刀、油断するな」

倉刀「悪く思わないで下さい!」

アンテナ「勝負をかけるつもりか倉刀選手! 一条選手へ向かって一直線だーっ!」

リヒター<マスター!>

遥「まだっ!」

倉刀「……! なっ!」

アンテナ「おや、倉刀選手、足を止めたっ!?」

倉刀(なんだこれは……彼女の身体から凄まじいオーラが……!
   こ、これは……魔力!?)

遥「ここまで読まれてるなんて……びっくりした。
  でも、これは知らないと思うよ!」

アンテナ「一条選手、何やら不思議なポーズをとり始めたぞー?」

遥「――フィジカル・ケミカル・メカニカル♪
  カルカル・モヒカン・ジョインジョイン♪
  変☆身っ! とぉーう!」

 パアァーッ!

アンテナ「おおーっと、これはどうしたことだーッ! 跳躍した一条選手、全身から光を放つーっ!」
柏木「おや、KEEP OUTラインまで」
アンテナ「幾多の紳士を瞬速でへし折ってきただけのことはある! 裸対策は万全だーッ!
     そしてッ、空中に出現した槍? あれは槍なのかッ!? それを……つかんだぁーッ!」

 ※ナレーション
  「魔法少女とは 魔法を総合的に使用する格闘技である
   この格闘技を極めることにより攻撃効果は120% 上昇防御面では63%上昇
   魔法少女を極めた者は無敵になる!」

唯人「あ、あの子も魔法少女なの!?」

遥「魔法少女フィジカルハルカ! 貴方の心に、届け、肉体言語(サブミッション)♪」

アンテナ「これはッ! はためくケープとスカート姿ッ! 変身ッ! 変身ですッ!
     魔女っ子スレのお株を奪う、変身魔法少女だァーッ!」
柏木「極めて高度な科学は魔法と区別がつかない。そして、ロボットものと超科学は切っても切れない関係。
   魔法を使ったとしても不思議ではないさ」
アンテナ「というかこの大会、魔法少女多いですね!」

 ワーーーーーーーーーーーーーーッ!!

倉刀「全身から魔力がほとばしっている……! ただごとじゃない……!
   それに、あの槍は厄介そうだ」

遥「槍じゃありません。これはステッキですっ」

よし子「どう見ても槍だーっ!」
たま「槍だろう」
ヴァイス「槍ですね」
リタ「ですねっ!」

遥「そこっ、うるさいっ」

アンテナ「余裕の一条選手、観客席にツッコミだーっ!」
柏木「いや、あれは素でしょう」

遥「とにかく、行きます! 湧き出せ! 賢者の石パワー!」

 ボウッ

アンテナ「一条選手、黄金色の闘気をまとったーっ!」
柏木「錬金術と賢者の石が生み出す黄金とは、これを指すのかもしれないね」

アンナ「賢者の石だと? 随分、幼い姿だと思えば、あの小娘も人ならざる者であったか」
リーザ「余興のつもりの観戦だったけど、ふ、ふふ、なかなかどうして面白いことになってきた。
    倉刀といったかな。――見せてもらおうかしら、賢者の石を持つ者とどう戦うのかを」

遥「はっ」

 ドンッ!

倉刀「ぐあっ!?」

アンテナ「き、気合いです! 一条選手、気合いだけで倉刀選手を吹っ飛ばしたーッ!」

倉刀「く……つ、強い……!」

遥「さらに絶望的な事実を教えてあげます」

倉刀「!?」

遥「この一条遥は変身するたびにパワーがはるかに増す。遥だけに。
  そして、その変身を私はあと2回も残している。この意味がわかるよね?」

倉刀「なん……だと……?」

遥「…………」

 ザシッ……ザシッ……

倉刀「……くっ!」

アンテナ「悠然と歩を進める一条選手! 対する倉刀選手、じりじり後ずさるーっ!」

裏刀「これはオワタの予感」

 どんっ

アンテナ「一条選手のパワーに気圧されたかっ! とうとう壁に背をつけたっ! 倉刀選手、後がないッ!」
柏木「さて、倉刀君、どう出る?」

倉刀「ふぅぅぅぅぅ……」

倉刀(呼吸は、整った)

アンテナ「倉刀選手、深く腰を落としました。前傾姿勢で構えるっ」
柏木「……機を狙っているね」

倉刀「一条さん、たしかにその力は強力だ……。
   だけど、変身が幾つ残っていようと、第2の変身を行わせなければいい。
   攻撃が強力なら、攻撃させなければいい」

遥「させないよ」

倉刀「してみせます。
   ――春斗魔神拳、重連撃『煉獄』」

アンテナ「両者、静かに睨み合うっ……」

 …………

 …………

よし子「ふぁいっ!」

 カッ

倉刀「はぁっ!」

アンテナ「倉刀選手、前に出たーっ!!」

倉刀「せあああああああああああああああああああああ!!」

 ババババババババババババババババッ!!

アンテナ「倉刀選手の怒涛の猛攻撃ーッ!! 一条選手、たまらず下がるーッ!」

遥「こ、のぉっ!」

 ババババババドドドドドドドドドドッ!!

アンテナ「連打連打連打! 隙がありません! 息もつかせぬ乱舞技だーっ!」
柏木「無呼吸連打、それも一発いっぱつには十分な攻撃力が乗せられている……。
   倉刀君の息が上がるのが先か、遥君がさばききれなくなるのが先か、そこが勝負の分かれ目だね」

倉刀「あああああああああああああああああああああああ!!」

 ドドドドドピシッドドドガッドドド!!

遥「あ、つっ!」

アンテナ「ああーっと、倉刀選手の攻撃が、次第に一条選手を捉え始めているーッ!」

倉刀(息が苦しい、両腕が針金で雁字搦めにされてるみたいだ……!)

 ドドドドガッバキッドドドスッドドドッ!!

倉刀(でも、止まるもんか)

 バキィッ!

遥「痛ぁっ!」

アンテナ「クリーンヒットォ! ついに一撃がアゴに入りましたーッ!」

倉刀(見ていて下さい、師匠。この倉刀の、鍛錬の成果を!)

 ガガガスバキガンガンドドガガズドッ!!

遥「うわあぁっ!」

アンテナ「なおも攻めるーッ! 一条選手、手も足も出ない! タコ殴りだぁーっ!!」

ハルト「……ほう」

倉刀(――ああ、お師匠様が微笑んでらっしゃる。
   僕は貴方を満足させる試合ができているのですね。
   すぐにそちらへ参ります。この子に勝って、そして、再戦を――!

ハルト「! 倉刀――未熟者めが……!」

 カッ!

遥「油断、したね?」
倉刀「が……はぁっ」

アンテナ「ああーっと、一条選手の突き出したステッキが、倉刀選手のみぞおちを直撃ィーッ!」

美作「倉刀ーっ!」

 ドウッ

アンテナ「ダウーン! 針の穴を通すかのような華麗なカウンター! 一条選手、ダウンを取りました!」

遥「まだまだっ! 湧き出せ! 賢者の石パワー!」

アンテナ「さらに追い打ちをかけるーっ」

遥「必殺! フィジカルゥゥゥゥ☆腕ひしぎィィィィィィィィィ!」

よし子「魔法関係ないぞーッ!」
ライ「槍使ってねェーッ!」

 ガビーン!

倉刀「く、ああぁっ……! はっ、はぁっ……!」

遥「もう体力も限界でしょ。ギブアップするなら今だよ!」

 ギリギリギリギリ……

アンテナ「極めた関節を締め上げるーッ! これには倉刀選手、苦悶の表情だーッ!」
柏木「意識を保つのもやっとのようだ……これは決まったかもしれないね」

倉刀(あれ、右腕が痛い……なんでだ?)

 ヮーーーーーーーーーーーーッ

倉刀(声援が遠い……そうだ、師匠は……。
   ああ、いた……。
   師匠……なぜそんな顔をしてるんです……? 僕、また何か……怒らせるようなことをしましたか……?)

よし子「おーい、聞こえてるのかーっ!? 意識はあるかーっ!?」

倉刀(声がする……そういえば、今、僕、どうして……)

遥「くぅぅ……!」

倉刀(そうだ、僕、この子と試合を……そう、試合――!)

倉刀「く、あ……」

倉刀(そうだ、僕は馬鹿だ! さっき何を考えた?
   まさか勝った気でいたのか!? 途中で満足したのか!? 次のことを考えたのか!?
   勝負も決まらない内から!)

倉刀「あ、あ……ああああああぁあぁぁぁぁぁぁっ!」

遥「え、えええっ!?」

アンテナ「持ち上げたーっ! 倉刀選手、関節を極められたまま、一条選手を腕一本で持ち上げましたーッ!
     そして……そのまま、投げ打ったぁーッ!」

遥「これだけやって、まだ腕にあんな力が……!」
               エクスカリバー
倉刀「我が腕に宿りしは 聖 剣 !
   今まで幾千幾万の作品を創り上げてきたこの腕! 易々と折られはしないっ!」

アンテナ「倉刀選手の手刀が空を切り裂いて飛ぶーッ! たまらず間合いを取る一条選手っ!
     その隙に倉刀選手は一条選手に背を向けて……?
     な、なにーっ! 土下座だっ! 客席へ土下座をしたーっ!」

倉刀「申し訳ありません、師匠! 危うく画竜点睛を欠くところでした!」

ハルト「…………」

倉刀「この倉刀、武士の身分であったならば、詫びにこの腹かっ捌くところでありましょう……!
   ですが、今の私は創作家! しばしの間、生き恥を晒します!
   その時を用いて、拙作をひとつお魅せいたしましょう!」

ハルト「やれやれ、世話の焼ける弟子だ……」

倉刀「……師匠」

ハルト「――よい、魅せてみよ」

倉刀「はっ!」

 ガバッ

アンテナ「立ち上がった倉刀選手、一条選手に向き直ったー!」

倉刀「創作の境地は、僕にとって未だ全て遠き理想郷。
   世界は広く、そして、「多い」。
   未だ知らぬこれほどまでの強敵に巡り会えようとは……!
   一条遥さん、あなたに感謝したい! 今日、僕はまたひとつ、高みへ昇ることができる!」

遥「…………」

倉刀「今一度、我が最後の拳、受けて頂きたく存じます!」

遥「うん、わかった。――来いっ!」

倉刀「かたじけない!」

 バッ!

アンテナ「倉刀選手、自らの上着を脱ぎ捨てたっ! その背に浮かぶは昇竜の紋だ!!」
柏木「創発力が満ちみちているね」
アンテナ「これは前大会で見せた、倉刀選手の必殺拳! 廬山昇龍覇の構えだーっ!」

遥「く……! すごいプレッシャー!」

遥(でもその構え、左拳が下がってる……心臓のガードがガラ空きだ!)

倉刀「参る!」

 ドウッ!

倉刀「はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 ガシィィィン!

アンテナ「おおーっとぉー! 一条選手、倉刀選手の右拳をがっちり受け止めたーッ!」

遥「もらったっ……!?」

遥(――!? この目は、まだ生きてる!)

倉刀「まだだ! 弱点はすでに克服した!
   拳を下げていたのは――より高く昇るため!」

ハルト「駆け上がれ、倉刀。それが――」

 ズアッ!

倉刀「真・昇ォォ竜ゥゥゥ拳!」

 ズガァァァァァァァン!!

アンテナ「倉刀選手、アッパーカットは二段構えだったーッ!
     右拳の後に左拳が突き上げられるーッ!!」

遥「う、あ、あ、あああぁぁぁぁっ!」

 カッ!!

アンテナ「宙に舞う両者ッ!! 高ぁーいッ!! 天井にぶつかりそうです! これは決まったのかーッ!?」

ハルト「――それが、たとえ今は届かずとも、だ」

倉刀「……!!」

アンテナ「こ、これはっ! 一条選手、空中で倉刀選手の腕を掴んでいるーッ!」

遥「危な、かった――!」

柏木「あと3cm――もし、遥君の胸囲があと3cmあったなら……
   倉刀君の拳は、彼女の胸に届いていただろう……!」

遥「でも、止めたっ……私の勝ちだっ!!」

 ドオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォン!!

アンテナ「一条選手、腕を極めたまま落下ーッ! 倉刀選手を頭から地面に叩きつけたーっ!!
     ケホッ! すごい煙です!」

よし子「けほっ! けむたいぞーっ! 倉刀生きてるかーっ!?」

 ぱさっ

よし子「これは、倉刀の帽子かーっ」

倉刀「…………」

よし子「き、気絶してるぞーっ!」

 カンカンカァン!!

アンテナ「け、決着ーッ! ここでゴングですッ!
     魔王の弟子、まさかの初戦敗退! これがロボスレの実力なのかッ!
     一条遥VS倉刀作! 軍配は一条遥に上がりましたーっ!」

まどか「やりましたねっ!」
彼方「このハル姉すごいよー! さすが一条彼方のお姉さんだー!」

 ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!

     ※  ※  ※

あんてな「それでは、勝利者の一条選手にインタビューです!
     対戦相手の倉刀選手は、戦ってみてどうでしたか?」

遥「ええと、本当に強かったです。最後、目を見ていなければ負けてたかもしれません」

あんてな「目、ですか?」

遥「はい。なんていったらいいのかな、まだ諦めてないぞっていう目をしてたんです」

あんてな「なるほど」

倉刀「う……」

あんてな「おや、どうやら倉刀選手が目を覚ましたみたいです!」

倉刀「ここは……」

ハルト「無事か、倉刀」

倉刀「あ、師匠……そうか、僕は……っつ!」

美作「く、倉刀、右腕が! なんかぷらぷらしてるよ!?」

遥「大丈夫、関節は外れただけ――折れてはいません」

倉刀「……情けをかけられてしまいましたか」

遥「違うよ。それだけあなたの腕が強かったってこと」

倉刀「でも、あなたの方が強かった……一条さん、完敗です」

あんてな「おっと、倉刀選手、手を差し出しましたっ」

遥「遥でいいよ。えーと、うん、作っち」

倉刀「さ、さくっち……?」

あんてな「一条選手もその手を握り返しました! 熱い友情ですっ!」

 パチパチパチパチパチパチパチパチ

倉刀「遥さん……次も、頑張って下さい。こんなことを頼むのも難ですが、できるならば、僕の分まで」

遥「うん! 任せといて!」

     ※  ※  ※

ハルト「まったく、みっともない姿を見せおって」

倉刀「申し訳ありません師匠……」

美作「でも、相手もすごく強かったよ、ばっちゃん」

ハルト「勝敗の話ではない。
    倉刀――貴様、一度途中で満足しおったな?」

倉刀「……はい」

ハルト「作品が完成もせぬ内から気を緩めるとは、愚の骨頂よ。
    大会が終わったら、まずその性根をたたき直してくれる」

倉刀「はい……」

ハルト「……だが、最後の一撃は良かった。そのための伏線だと思えば、まあ、及第だな」

倉刀「いえ、あれも師匠がおらねば、放つことすら叶わなかったでしょう。
   今後ますますもって精進いたします。
   そのためならば血の池であろうと、針の山であろうとこの身を投げ込む所存」

ハルト「うむ、より一層はげむがよい」

 くるっ かつかつかつ……

美作「はー、やっぱ厳しいなあ、ばっちゃんは」

倉刀「いや、でも、それでこそ師匠だよ」

美作「まあね。
   ……ほら、肩貸してあげる」

倉刀「あ、ありがとう」

 ……かつかつかつ

ハルト(あの者は強い。互いに勝ち上がることあらば、いずれ戦うことになろう)

ハルト「だが――」

ハルト(まずは、私も目の前の試合に集中せねばな)

ハルト「……待っているぞ、加藤」

     ※  ※  ※

美作「倉刀、大丈夫?」

倉刀「はは……心配かけたかな。
   前回ベスト8がこのざまだよ……。もう一度、修行のやり直しだな」

美作「……あれ?」

倉刀「ん? どうした?」

美作「倉刀さ、たしか前回はリザーバーで途中参加じゃん」

倉刀「うん」

美作「で、ばっちゃんと当たったんだったよね」

倉刀「そうだよ?」

美作「つまりさ……倉刀って前回・今回通して一勝もしてないよね」

倉刀「Σ(ll!゚-゚) !」

美作「もしかして、倉刀って弱い?」

倉刀「Σ(ll!゚□゚) !!」

美作「あっ、でもほら、きっと次回がまたあるよ!……多分、きっと……あったら、あと、呼ばれたら……」

 _| ̄|倉] <…………。

美作「あー、もう、元気だしなよー!」

倉刀「うう……」

美作(なんていうか……くじ運悪いっていうか……。とことん貧乏くじ引くタイプなんだな、こいつって……)


 ――倉刀作、のちに述懐す。

倉刀「一番痛かった攻撃ですか? 試合後の美作の一言が一番効きましたね(笑)」


トーナメント一回戦
第三試合 一条遥 VS 倉刀作

ロスタイムに駄目押しオウンゴール 一条遥 勝利
to be continued……

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