〈黒狸族〉

名称:黒狸族(ブラックラクーン)
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◆解説

 体長1mほどの亜人種族である。狸に似た頭部と尻尾を持ち、全身が濃い茶色の毛皮に覆われている。名前の由来は、腹の部分の毛が真っ黒となっている様子から。この黒の部分が広いほど、より狡猾な〈黒狸族〉であるという俗説がある。「マミー」という間の抜けた鳴き声と相まって、ともすれば、見る者に動くぬいぐるみのようなユーモラスな印象を与えるだろう。
 亜人間の中では直接的な攻撃性こそやや低い傾向にあるが、他者の物を奪うこと、他者を騙して出し抜くことが美徳であると考えている。見た目や声とは裏腹に、文字通り「腹黒」な種族なのである。
 彼らは食欲旺盛で、肉類を中心に何でも食べる雑食性である。酒に目がない種族で、〈黒狸族〉の里には、大抵少なくない酒が蓄えられている。特に〈黒狸族〉の文化では度数の強い酒を重んじる風潮があるようだ。
〈鼠人間〉を初めとして不衛生な住処が一般的な他の亜人間と異なり、〈黒狸族〉は清潔な住環境を好む。集落は整理と清掃が行き届いており、小奇麗な彼らの拠点は、人間のものと勘違いされることもあるほど。これは〈黒狸族〉同士で、互いに自分の物が盗まれたときにわかり易くするための自衛策であるらしい。
〈黒狸族〉にとって、善の人間種族は総じて騙し、盗むためのカモである。だが、その中でも〈狐尾族〉に対しては特にライバル心をむき出しにすることが知られている。〈黒狸族〉も〈狐尾族〉も、共に幻術を得意とすることから、ライバル心にも似た競争意識があるのでは、というのが学者筋の一般的な見解である。

◆生活形態

〈冒険者〉の前に現れる〈黒狸族〉の多くは肉体を用いて戦う戦士か、幻を操る幻術師のいずれかである。割合としては幻術師の方が戦士よりも少数であるが、〈黒狸族〉において幻術師はより華麗に相手を騙すことができる専門家として敬意を払われ、指導者やより上位の立場として扱われる事が多い。
 〈黒狸族〉の戦士として代表的なのは、〈黒狸族の銛戦士〉《ブラックラクーン・ハープナー》、〈黒狸族の槌鉾戦士〉、〈黒狸族の長斧戦士〉などである。〈黒狸族〉は手足が短く、また、長いリーチで一方的に攻撃することを好むことから、長物の武器を好む。こうした背景から、剣などは人気がない。また、すばやさで相手を翻弄するため、動きを阻害する衣服や鎧はつけない者が多い。
 一部の〈黒狸族〉の戦士は種族特有の「騙し」の美学から、隠し武器を好む。何気ない小道具に偽装したり、もふもふの毛皮に隠したりと、その流儀は様々だが、いずれにせよ、油断をしていると手痛い一撃を受けることになるだろう。
〈黒狸族〉の幻術師は、得意とする幻によって〈黒狸族の葉隠れ術師〉《ブラックラクーン・ビウィッチャー》、〈黒狸族の雲隠れ術師〉、〈黒狸族の霧隠れ術師〉などと区別される。こうした幻術使いは戦士たちとは違い、衣服を身にまとうことが多い。一説には、術を使用するときの印や動作を見切られにくくするため、体を隠そうとするために、衣服をまとうのだともされている。この衣服が華美であるほど力量が高く、それに伴って地位も高い個体である。
 亜人の中でも器用で知能が高い〈黒狸族〉は、良質な武器や衣服を作り出すことで知られている。しかし、創り出すことよりも奪い取ることをよしとするその習性から、高い文明を育むようなことはない。
 人間と言葉による意思疎通も可能である(独自のなまりがあり、語尾には「~まみ」と付く)が、〈冒険者〉〈大地人〉いずれに対しても強い不信感、敵意を抱いているため、まず交渉は通じない。
 彼らが落とすドロップ品は多岐に渡る。よく見られるものに、腹黒い毛皮、葉っぱ金貨、闇の大福帳、壊れた槌鉾、破れた御札、狸太鼓、千畳袋、酒徳利、菅陣笠、饂飩玉などがある。

◆分布と生息域

〈黒狸族〉は主に、〈フォーランド公爵領〉〈ナインテイル自治領〉を中心として、広くヤマト全土で見られる。
 特に、〈フォーランド侯爵領〉では、人間種族が撤退した都市の廃墟を強奪、利用して王国と呼べるまでの一大勢力を築いている。その拠点として特に有名なのが、フォーランド北西部に存在する〈隠神の城〉である。その主である〈隠神刑部〉は謎が多い存在だが、その伝承から、強力な〈黒狸族〉であり、フォーランド全土のモンスターを統べる存在であるとも噂されている。フォーランドがヤマト全土で最も〈黒狸族〉の勢力が強いことからも、この説は信憑性が高いと言ってよいだろう。
 各地の村落や街道に近い山林に小さな集落を作ることが多く、山で〈黒狸族〉の集落に迷い込んだ旅人が彼らに化かされ、身包みをはがされたというような話は枚挙に暇がない。
 小さな村に入り込んで悪さをしたり、旅人に襲い掛かったりすることもあるため、駆け出しから中堅の〈冒険者〉に対して、〈黒狸族〉を退治してほしいという依頼が舞い込むことも多い。
〈弧状列島ヤマト〉では比較的ポピュラーな亜人である〈黒狸族〉だが、ユーレッド大陸やその他の地域では目撃例はない。こうしたことから、〈黒狸族〉は亜人を生み出したアルヴの魔法儀式〈第一の森羅変転〉が特異な効果を及ぼした、局所的な変異種なのではないかとも推測されている。
 もしも今後〈黒狸族〉が海を渡って版図を広げることになれば、力押しでないその習性にかく乱され、世界で大きな混乱が起こることだろう。


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最終更新:2014年11月29日 14:44
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