〈狩人〉

名称:狩人
大分類:ロール系

◆解説

 〈狩人〉は、森や草原で動物を狩猟することを生業とするサブ職業である。〈エルダー・テイル〉最初期から実装されている採取系のサブ職業で、動物系エネミーに対する追跡能力や、アイテムドロップ率の上昇といった能力を持つ。対象となる動物は、鳥類や哺乳類が主体であり、海や河川などの水域で魚介類を捕る〈漁師〉とは対になるサブ職業だといえるだろう。転職条件の容易さと、序盤から役立つ便利な能力が得られることから、数多いサブ職業が追加実装された後年においても今だ根強い人気のあるサブ職業である。


◆〈セルデシア〉における〈狩人〉

 セルデシアにおける〈狩人〉は、狩猟を生業とする人々である。〈狩人〉はほとんどあらゆる共同体で見ることができる主要な役割なのだが、その社会的な位置付けは種族によって若干異なる。ここでは種族や共同体ごとに〈狩人〉の役割や文化を見ていこう。
 ヒューマンの場合、山野からほど近い土地であればほとんどの集落において〈狩人〉を見かけることだろう。とはいうものの、その絶対数は多くない。ヒューマン文化において、狩猟は主要産業ではないのである。
 ヒューマンの〈狩人〉は狩猟で生計を立てるほか、村では貴重な戦闘力の持ち主として、自警団的な組織にも参加する。とれる行動が職業によって制約を受けるセルデシアにおいて、弓矢などの腕を戦闘に転用できる〈狩人〉は稀有な存在なのだ。戦闘的な能力という点において、〈狩人〉に対する期待は多くの〈冒険者〉が考えるより大きい。
 一方で、時には何日も村を離れて獲物を追うこともある〈狩人〉は、集落の運営(寄り合いによる合議のようなものだ)に参加できないことが多い。このため、村の中で指導者的な立場になることは難しい。貴重なタンパク源の供給役であり、村の守り手であり、害獣駆除も行うことで一定の敬意は受けるものの、どこか「外の人間」であるかのようによそよそしい扱いもされるという、微妙な立ち位置になりがちだ。
 こうしたことから、ヒューマンの集落では、〈狩人〉の嫁取り/婿取りはなかなか難しく、その技が血族に継がれていくと安心できないことも多い。おもに継ぐ土地のない農家の次男坊以下など、同じ村の中から見込みがありそうな子どもを引き取って弟子、あるいは養子にして、狩猟の技術を継承していくことは、〈狩人〉にとっては一般的な技術継承だといえるだろう。原作書籍3巻の冒頭で、いち早くゴブリン進軍の予兆を発見した二人の猟師もまた、こうした〈狩人〉の師弟である。
 エルフの場合、〈狩人〉の社会的な立ち位置はヒューマンのそれより若干高いものになる。森とともに生きる彼らにとって、狩猟はより身近であり、森の環境をよりよく維持するための調整役としてもその価値を認められているからだ。このため、エルフの〈狩人〉たちは気位が高く、自らの縄張りである森に他種族が踏み込むことを快く思わない。彼らは多くの場合、他種族に対して自分たちが守護する美しい森を荒らされるという感覚を抱きがちだ。他種族から見たエルフのイメージである「弓が得意で他種族嫌いの高慢な人々」という偏見は、こうしたところに起因しているのかもしれない。
 ドワーフの〈狩人〉の活動は、採取のための狩猟というよりも、害獣退治をはじめとした駆逐に重点を置いている。鉱山での採掘が主要な産業である彼らにとって、他の種族とは「狩り」の意味あいがずいぶんと違うのだ。坑道に住み着いて鉱山労働者を襲うワームなどの害獣を退治したり、あるいは、貴重な宝石や鉱石をかすめ取る憎き亜人どもを追い散らすことが、ドワーフの〈狩人〉に期待される役回りだ。
 これまでの種族と違い、〈狩人〉が村落の多数派となるのが〈狼牙族〉である。狩猟生活を主とする彼らは、組織だった狩りを行い、他種族の〈狩人〉では仕留めるのが困難な巨大で強力な獲物をも仕留める。腕のよい〈狩人〉は人々の尊敬を受け、特に統率力が高いものは、村の長を兼ねることもある。


◆ゲーム時代の〈狩人〉

 〈エルダー・テイル〉における〈狩人〉は、最初期から実装されていた一次生産系のサブ職業である。このサブ職によって得られるゲーム的な恩恵は多岐にわたる。
 まず第一に〈狩人〉の狩猟能力の表現として、動物などの自然系モンスターと戦闘をする際、アイテムドロップ率が上昇する。肉や皮、牙といった素材を、価値を落とさずに獲得できるというわけだ。この能力は〈狩人〉のレベルが獲物を上回るほど効果が強まる。
 第二に射撃能力の向上がある。高レベルの〈狩人〉はわずかではあるが、自然系モンスターを対象とした射撃攻撃の命中ボーナスや、クリティカル率の上昇といった補正を得ることが可能だ。
 さらに、地味ながら見逃せない能力として「矢の回収と再利用」が可能というものがある。これは弓矢で射撃を行った際に一定確率で発動し、使用した矢弾の消耗をキャンセルするというものだ。その発動率は微々たるもので、サブ職業レベル1につきアイテムレベルが等しい場合0.01%、〈狩人〉レベルが最大の90になっても0.9%でしかない。矢のレアリティやアイテムレベルによっても補正がかかるため、安価で低レベルな矢を使えば多少は確率が上がるもののそれでも最大で数%程度、通常のプレイであればあってもなくても大差無いような効果だ。しかし、高価な矢を乱射するような高レベル弓ビルドのレイダーにとっては、長期的にはバカにできない効果が期待できる。原作でも有数の弓使いであるウィリアム=マサチューセッツが〈狩人〉であるのも、たとえほんの1%程度の上積みであってもそれがレイドの勝率を上げることに繋がるのならば努力を惜しまない彼らしい選択だといえるだろう。
 また、後のアップデートによりミニマップの機能拡張が実装されたのに伴って、〈追跡者〉のような探知能力(これもまた、自然系の動物モンスター対象に限定された能力だ)が追加され、さらに狩りの名手らしいサブ職業となったという歴史も持つ。
 〈狩人〉への転職は、最初期実装サブ職業らしくとても簡単で、レベル条件も前提サブ職業もなく、地方の村にいる〈狩人〉のNPCから受けることのできる弟子入りクエストをひとつこなすだけで良い。その内容も、自然系の小動物エネミーを何匹か仕留めるだけというものがほとんどで、ゲーム開始直後に転職することも難しくない。
 簡単に転職できて、金策などに便利な能力が手に入ることから、〈狩人〉は駆け出しプレイヤー向けのサブ職業として定評がある。一方で、中堅プレイヤーにとっても、レアな自然系エネミー素材のドロップ率の上昇は魅力的であり、さらに高価な矢を乱射するような高レベルのハイエンドプレイヤーにとっては矢の消耗軽減が有用なため、〈狩人〉は弓ビルドのプレイヤー層に限られるものの、どのレベル帯にも一定の需要がある人気職となっている。
 〈アンデッドハンター〉や〈竜殺し〉のような「特定のモンスターに対し有利になる」サブ職業の基本にして前提となる職業でもあるのだが、それらの派生上級職に転職すると狩猟に関する一次生産職としての能力は失われるため、汎用性や利便性においては〈狩人〉の方が高く、転職せずに〈狩人〉のままでいることを選択するプレイヤーのほうが多い。


◆〈大災害〉後の〈狩人〉

 元々人気の高かった〈狩人〉であるが、〈大災害〉後はさらに重要性と注目が高まった。その理由は食材の需要の高まりである。地球世界では肉の供給は(往々にして集約型の巨大施設による)牧畜に頼るところが大きかったが、ここセルデシアにおいては畜産技術の発展が不十分であるため、食肉の供給はいまだ狩猟に頼る部分が大きい状況である。うまい肉が食べたい! というシンプルなニーズは、〈狩人〉により強いスポットを当てる結果を呼んだ。
 原作2巻では〈料理人〉のにゃん太が鹿を狩って調理していたが、〈狩人〉もまた、手作業で獲物を捌いて素材としての食用肉を切り出すところまでは行える(そこから先の調理は〈料理人〉の領分となってしまうが)。たとえプレイヤー自身に獲物を捌く知識や技術がなくとも、単にドロップアイテムとしての食肉が入手できる確率は〈狩人〉の狩猟能力のおかげで上がる。いずれにせよ、〈狩人〉は効率よく食材としての肉を獲得できるサブ職業なのだ。
 こうしたことから、現実となったこの世界で使いにくくなってしまったサブ職業からの転職先として〈狩人〉を選ぶ〈冒険者〉は少なくない。外出と戦闘を苦にしなければという条件つきであるため生産職ほど高い需要があるわけではないが、強力なダンジョンのモンスターとの戦闘をしなくても、里山程度の遠征で戦闘訓練も兼ねて金策ができるのが、〈大災害〉後の〈狩人〉の魅力だ。
 しかし、こうした〈冒険者〉の〈狩人〉と〈大地人〉の〈狩人〉の間で、摩擦が生じる事例も報告されている。〈冒険者〉は能力こそ高いが、森の歩き方や獲物の追い詰め方を知らない。知らず知らずのうちに、〈冒険者〉が地元の〈大地人〉の伝統的な狩場を荒らすような事態も発生している。だが、両者の交流が進む中で、〈冒険者〉は〈大地人〉の狩りの技を教わり、〈大地人〉は〈冒険者〉産の軽くて扱いやすい弓や魔法の矢などの高性能な道具を得るなどの良好な互助関係ができつつある。最近では、山に狩りに入る〈冒険者〉の案内で生計を立てる〈大地人〉の〈狩人〉も現れているほどだ。
 また、狩りの効率を劇的に改善しているものに、狩猟用山小屋の改良がある。山小屋は狩りの拠点となると同時に、仕留めた獲物を素早く加工する設備が整った建物で、ある意味で弓よりも重要な〈狩人〉の生命線だ。〈大災害〉以前のヤマトでは、山深い峠や渓流の奥などに狩猟用山小屋を作るのは難事であった。材木や建材を運び込むのが困難な山中での建築は、何人もの狩人が、十年程度の時間をかけて命がけで行うものであった。当然その希少性ゆえ、狩猟用山小屋の場所は秘匿され、関係者のみの秘伝に属する知識であり、そのまま利用権となっていた。
 しかし、〈大災害〉後は〈冒険者〉の〈大工〉〈設計士〉の技術と運搬能力で迅速な建築が可能となった。狩猟用山小屋の増加は、狩猟用山小屋をベースキャンプとした狩猟可能範囲の拡大を意味する。複数の狩猟用山小屋を中継すれば、今まで入ることができなかった山林深部への遠征も可能になり、また、トラブル発生時の安全度も大きく上昇する。この分野では、土木建築部門に強い〈海洋機構〉がイースタル各地に技師を派遣し、協力を進めており、〈大地人〉の〈狩人〉との提携によってアキバの食事情の改善や発展、食料の安定供給にも大きく貢献している。
 また、こうした交流、技術革新によって活発化した〈狩人〉の活動は、既に流通している食肉、毛皮といった製品の供給量増加だけでなく、今まで市場に出回ることのなかった希少な食材、素材の発見にもつながっているようだ。


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最終更新:2022年12月23日 17:44
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