・口蹄疫ってどんな病気?

口蹄疫とは、牛や鹿などの偶蹄類の動物に感染する急性伝染病で、国際的にもっとも重要な家畜伝染病です。
罹患が確認されている家畜動物としては牛,水牛,しか,めん羊,山羊,豚,いのししなど。
口蹄疫にかかった動物の死亡率は低いのですが,伝播力は極めて強く,感染速度が早く,ひとたび流行すると広範囲に広がってしまいます。
症状としては、突然40~41℃の発熱、元気消失に陥ると同時に多量のよだれがみられ、口、蹄、乳頭等に水疱(水ぶくれ)を形成し、足を引きずる症状が見られる、等です。
治療法はなく、発生した場合は家畜伝染病予防法に基づき,蔓延防止のため家畜の所有者による屠殺(とさつ)が義務付けられています。
口蹄疫ウィルスが体内に入ってから症状が出現するまでの期間(潜伏期間)は、24時間から10日ぐらいまでで、それ以上のときもあります。平均的には3-6日です。


・何故殺処分しないといけないの?

治療薬はないとはいえ、死亡率が低いのに何故殺処分してまで感染を食い止めないといけないのか。
その理由は以下の3つがあげられると思います。
・伝搬力が極めて高く、感染源を早期に食い止めなければ直ちに蔓延してしまいます。1997年の台湾では全域に広がり畜産業が壊滅しました。
・死亡率が数%程度なのは成長した家畜であり、仔牛の死亡率は高確率、子羊は40~94%、子豚は40%、離乳前豚はほぼ100%と極めて高いです。
・感染した家畜は乳がでなくなったり、食欲が落ち痩せて肉質が落ちたりと家畜としての価値がなくなります。
このように一度感染を許してしまえば大変危険な疾病なのです。
なので現段階では早期殺処分が最も効果的な手段だとされています。


・人間には感染するの?

基本的に人には感染しません
ネット上では感染するとの噂もありますが、万が一感染しても症例は至って軽度。軽い発熱や口内炎ができる程度らしいです。
農林水産相では
人に感染することはない。
万が一汚染した物を摂取しても感染しない。
そもそも市場に感染した家畜の製品が流出することはない。
としています。
従って今の市場の肉や乳製品を食べたり飲んだりしても、なんら心配はないということです。


・何を媒介に伝搬するの?

何を媒介にして感染が拡大するかは未知数です。
むしろ何でも媒介にして感染します。
患畜と接触した人間を介して新たな家畜に感染が伝搬するのはもちろん、
空気感染もするし、近くを通った車や人間がウィルスを運ぶことも充分考えられます。
さらには動物や虫、ハエや野鳥など。何でも感染の媒介者に成り得ます。
したがって感染を完璧に防ごうとするのは無理です。


・ペットの犬や猫、馬なんかも殺処分されるの?

いえ、そのようなことはありません。
確かにペット達もウィルスの伝搬媒介となりますが、だからといって殺処分することにはなりません。
殺処分する対象はウィルスを排泄する偶蹄類の動物だけです。
なので感染を広める恐れがあるからといって殺処分対象にはなりません。
ただし、偶蹄類の動物をペットとして飼ってる場合は屠殺対象となるのでお気をつけください。(現に処分例があります)
ちなみに同様に、媒介者となる野生動物の予防駆除もすることができません
家伝法で殺処分が可能なのは、家畜までです。野生動物の管轄は環境省です。
環境省が動かない限りは野生動物の対策がうてないのです。



参考資料




最終更新:2010年07月02日 16:48