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鍼術覚書 (4)病


病の分類

 鍼での治療では、病はまず四つに分ける。
1.「太陽の病」(「後ろの病」)
2.「陽明の病」(「前の病」)
3.「少陽の病」(「横の病」)
4.「陰の病」 (「内の病」)

太陽の病

 太陽の病は、体の後側に症状が出る病で、痛みが激しい。

 人間の体は、背骨を境に後ろの筋肉で前の内臓を支えて
いる。この後ろの筋肉が凝り固まると、その間を通る感覚
神経になんらかの悪影響を及ぼすためだろう。典型例は、
座骨神経痛で、患側の尻中央の表面が押すと凹み、奥に硬
い痼りがある。

 代表例は、上部は肩凝り、下部は腰痛。

 急性の場合、ラクな姿勢で、先ず、経絡的に関連するに
手甲に引いた痕、患部に軽く刺鍼し、その後、関連する陽
経を出ているツボを探しながら末端へ。

 そして、治療を終える前に動いてもらい、痛い一歩手前、
動かせない一歩手前で止まってもらい、引っかかる所に刺
鍼すると、関節可動域が広がる(動作鍼)。

 終わりに、関連する陽経の手首足首より先に引くと良い。
(肩→手陽経、腰→足陽経)

陽明の病

 陽明の病は、体の前側に症状が出る病で、ツボが浅く、
熱が高く、動きが速い。

 邪気が顔や前頭部に突き上げる上衝を伴うことが多い。

 陽性の精神症状が出やすい。体上部は実することの方が
多いので。が、虚す場合もあり、そのときは陰性の精神症
状を伴う(素問経脈編)。

 代表例は、更年期障害や疳の虫、熱射病など。不眠は、
太陽の病と陽明の病の合病であることが多い。

 邪気を散らし下げることと、手早い刺鍼が大切。腹の虚
が有れば補う。

 合谷に強めに引き鍼した後、前頭部の熱い所を散鍼し、
また、手陽明経に引く。

少陽の病

 少陽の病は、体の横側に症状が出る病で、ツボが深く、
変わりにくく、再発も多い。

 逆に、軽くても治りにくい病は、少陽にもツボを探す。

 代表例は、脇痛、目眩、耳の病、喘息やアトピーなどの
アレルギー疾患。呼吸器系の疾患を伴う場合には、肩胛骨
外側縁(肩貞付近)にツボが出る。横から肩胛骨と肋骨の
間に向かって押す。

陰の病

 陰の病は、体の内に症状が出る病で、全ての病は、陰の
病の要素を持つとも言える。

 陰の病は、経絡で分類するよりも、上焦、中焦、下焦の
上下横輪切りに分類した方が分かりやすい。

 病が動かないときには、上焦は邪気、中焦は水毒、下焦
は瘀血(食毒も)が多い。重さに因るのだろう。濁醪を思
い浮かべると良い。

 手足に引き、背に引き、邪毒を少しづつ減らしていく。
また、腹に邪毒実することが少なければ、腹への灸も効果
大。

 陽の病も急性期を過ぎたら、陰の病からの影響を考え、
腹を整える治療と組み合わせると、再発を防げるし、体全
体の生命力が増す。

 急性の病は、体が発する危険信号、養生を促すサインと
考える。

古い病

 古い病は、体の境目にツボが出やすい。少陽は前後の境
目なので、その病は古いことが多い。

 他の病でも古くなると、少陽位や、手足と胴体の境目、
上下境界の横隔膜の辺り、左右の境目である任脈、督脈な
どの近く(背中側の華陀経、腹の腎経)にツボが出る。

 始めは、歪んだ体に掛かる付加を、筋肉の一番太い1行
線の辺りで支えるので、そこにツボが出る。が、だんだん、
そこだけでは支えきれなくなり、その脇で支えるようにな
るからだろう。


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最終更新:2015年10月26日 15:10