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鍼術覚書 (3)経絡

経絡

経絡は、前・横・後

 経絡は、歪んだ体に掛かる負荷を分担するシステム。

 一か所で負担すると壊れやすいので、関係のある所で分
けて受けとめている。

 邪気を引きやすい道程(みちのり)にもなる。

 正経十二経は、基本的に立ち姿勢での重力負荷の分担シ
ステムで、体の縦切り、前後三分を基本としている。

 前横後、内外、手足を組み合わせ十二経となる(3×2×2)。

 手足経絡の前横後は、頭首胴の前横後に対応する。

 手足経絡の内外(陰経・陽経)は、体幹部の内外に対応。
手の外は、頭首肩(の主に外側)と対応(表位)
手の内は、胸腔内臓器と主に対応(外位)
足の外は、頭首胴の外側と対応
足の内は、頭首胴の内側と対応、
     中でも腹腔内臓器(裏位,内位)との関係が深い。



 例外は、下腿の内(陰経)での前(太陰)と中(厥陰)
の交差。これによって、爪先を常に中心に寄せる力が働き、
直立二足歩行ができるようになっている。同じ二足歩行で
も、恐竜や鳥の歩行は、体の横幅よりも足跡の横幅の方
が広い。ここに注目すること。

経絡以外の付加分担システム

臓腑論や湯液の見方は、上下論

 経格と比較すると、兪穴募穴、臓腑論や、『傷寒論』に
代表される漢方の見方は、上下論。つまり体を横輪切りに
見ている。これらは、基本的には、寝た姿勢での重力負荷
分担とも言える

 だから、経絡的見方と臓腑論との一対一対応は難しい。

 鍼による治療では、経絡の前後論に、湯液の上下論を組
み合わせると、上手くいくことが多い(特に、内(陰)の関
係する病)。

色々な相関

 経絡の縦切り相関、臓腑論の横切り相関の他にも、負荷
分担システムは色々ある。

 「痔に百会」の上下相関、巨刺や皮内鍼法(特に寫方鍼)
に見る左右相関、奇経の対角相関(左内関-右公孫)など。

ツボと体の連動性

体の筋肉は、連動して動く

 人間の体は、機械と違い、一カ所の動きが部分で留まら
ず、全身に連動していく。

 例えば、右手の小指を手平側に回転すれば、手首、肘、
肩と伝わり、体を右に向ける動きになる。

ツボは、体の連動性に従って増える

 負荷分担システムは、この体の連動性に従って、全身に
存在している。

 基本的には、ある動作をしたときに一緒に動く筋肉内に
負荷が分担される。

 例えば、右膝外側を打撲すれば、右外踝と右鼠径部外側
や右腰で庇(かば)うので、そこにツボが出る。右側で支
えきらなければ、左足にも負荷が掛かるし、バランスを取
ろうと手の振り方が変わるので、手にも付加が掛かる。こ
うして、ツボは増えていく。

姿勢を見れば、ツボが判る

 咳をすると肺兪あたり、腹が痛ければ胃の六灸辺りを一
番曲げる。このため、横輪切り相関の背部兪穴が生じる。
このように、ツボと体の連動性は深い相関を持つ。

 深谷灸法の「長引く咳に上尺沢」も、咳をする時に縮む
所。

 喘息は息を吐きにくくなる病気。その喘息に良く効くツ
ボは、息を吸いきった姿勢のときに縮む所と、延びる所に
出る。縮んだ側は、肩胛骨外側縁と肩甲間部上部華陀経。
伸びた側は、膻中と中府。

 咳をしやすい動作を繰り返したために、特定の筋肉が疲
弊して可動域が狭くなったせいだろう。それらの筋肉は呼
吸にも使われるため、深く息を吐けなくなっている。施術
し、筋肉の可動性が増すと、呼吸がしやすくなる。

 姿勢とツボには深い関係がある。


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最終更新:2016年07月19日 11:23