累積: - ___ 昨日: - ___今日: -

鍼術覚書 (1)鍼と邪毒

鍼と邪毒

鍼は邪気を引く

 鍼は邪気を引く道具。

 真気を呼べるし、邪熱を散らせるし、シコリを弛めるこ
ともできるが、鍼の基本は引鍼にある。

邪気は毒より発し天を衝く

 邪気は、体に悪い働き。

 歪んだ体の発するサインにもなる。
機械の調子の悪いときに聞こえる雑音に似ている。

 ビリビリ、ピリピリした感じを手に受けることが多い。

 真気に比ベ、速く瞬間的に動き、振れ幅はとても細かい。

 病が動くとき、邪気も動き、天(頭)を衝く。
 病が動かないとき、邪気は毒として、地(腹)に溜まる。

 小復には瘀血、大腹には水毒が溜まりやすく、病が動く
時には、そこから出た邪気が、横隔膜、上焦、頭部を衝く。


刺法

手足、陽、下に引くのが三原則

(1) 手足に引く
(2) 陽に引く
(3) 下に引く

 この三つが刺法の三原則。

 手足、陽に引くのは、邪気を体の外に出すため、
下に引くのは、頭を衝かせないため。

手足に引くには、経絡を利用

 手足に引くには、手足の経絡と頭首胴との相関を考える。

 肘・膝から先を探すのが基本。
急性症は、手首・足首より先を探す(甲、八邪、井穴など)。

陰経は徐刺徐抜、陽経は速刺徐抜

 陰経は、ゆっくりと刺し、密かに邪気を誘い、来終わった
ら静かに抜く
(徐刺徐抜…まだ動きの遅い邪を引くのに向く)。

 陽経は、スッと邪に当てて引っかけ、引きながら手技を
し、途切れないようにスーーーッと抜く
(速刺除抜…動きの速い邪を引くのに向く)。

陽は横切りに引く

 陽に引くには、体の横切りラインを捜せば良い。
(背部愈穴が代表例)

 刺法は、邪の動きの速さを見て決める。

最初と最後に下に引く

 始めと終りに下に引けばよい。

 下に引くときは、主に速刺除抜を使う。

出ているツボに引く

 引くべきポイント、すなわち、出ているツボは、経絡上
に指を滑らして止まる所に取る。

 表面は、力なく凹んで、少し湿っていることが多い。

 邪毒が水毒の形で少しづつ漏れ出ているためだろう。

 敏感な人は、手をかざせば、ピリピリビリビリしたイヤ
な感じを受けるだろう。

刺鍼の深さ

 邪気が動く深さに刺す。浅すぎても深すぎても駄目。

 患者さんの体が反応したら、深さを変えずに、旋撚、横
揺らし、雀啄などの手技をする。反応が良い手技を選ぶ。

 腰などでは反応が三層になっていることもあるし、皮膚
表面で陽邪が動くこともある。どこまで動かすかは、患者
さんの体の反応を診て決める。

熱と寒

 熱には、手早く散域して散らす。

 速刺速抜…遅いと邪を引き、かえって熱くするので注意
      速く置き遅く引くと、痛いだけで冷めない
      置くのは、ゆっくりでよいから、素早く引く

 寒には、置鍼して真気を呼んで温める。
ただし、古方では、押し手は絶対離さない。
(補の刺法で温めることもできる)

スジバリ

 スジバリは、チョンと当てて、弛める。
スジバリを左右から挟むように押手を作り、斜刺すると当
てやすい。

虚&冷への灸

 力なくペコペコとして冷たい所には、灸をする。
(特に、虚が激しく深いツボは、灸頭鍼がよい)

 冷えでできたツボには、刺鍼よりも効果が高い。

 腹や下腿に多い。

 手平、足裏、手足の指は、痛みを感じることが多いので
鍼をせず、灸が多い。

補と寫

 補したいときは、鍼を、ゆっくり大きめに動かす。

 寫したいときは、押手を引き気味にしながら、鍼を細か
く速く動かす。

 しかし、補瀉は結果である。


   >>>つぎへ・・・・・・・・・手順と型



   >>>目次へ・・・・・・・・・鍼術覚書

   >>>このページのトップヘ・・鍼と邪毒

   >>>術伝HPトップへ ・・・・トップページ

術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」




お知らせとお願い

術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集

 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、術伝流のモデルをみてください。

 よろしくお願いします。

感想・間違いなど

 感想などあったり、間違いなど見つけた方は、術伝事務局あてにメールをください。

 よろしくお願いします。

「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集

 「術伝」では症例相談用メーリングリストの参加者を募集しています。
参加希望の方は、術伝事務局あてにメールをください。

 よろしくお願いします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
最終更新:2015年10月26日 14:59
添付ファイル