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先ず、伝え合いを楽しむ

体は自然、臨床は対話 【2】臨床は対話 
(6) 先ず、伝え合いを楽しむ

1.はじめに

 鍼灸や操体などを身に付けていくのに一番大切なことは、鍼
灸や操体などをすることを楽しめるかどうか、鍼灸や操体など
を練習することを楽しめるかどうかです。

2.好きなポケモンの名前を書いて字を覚えた

 また、次男のことになりますが、彼は、保育園の頃には、塗
り絵をさせると境界線から2,3cmはみ出してしまうほど、手先
が不自由でした。

 つまり、線を書き始めたり書き終えたりしたくても、それが
2,3cmズレてしまうほど、手を細かく動かすことは不可能だっ
たのです。

 そのため、小学1年生になっても1学期の間は、字を書けず
に、授業中ずっと固まったままだったそうです。夏休み前に担
任の先生から、その話を聞き、このまま字を書くことを覚えら
れないと大変だなと思いました。

 どうしたら字を書く気になってくれるか、字を覚えていく楽
しさが分かってもらえるか、しばらく考え込みました。

 ヒントは、操体の橋本敬三先生の「子供には好きなことをさ
せろ」でした。

 そこで、そのころ大好きだったポケモンの絵をコピーして、
その横に2cm四方で1cm間隔の点線の十文字を入れた枠を横
書き原稿用紙ふうに作り、絵のポケモンの名前と、そのポケモ
ンの覚える技の名前を書かせました。

 これは、面白がってやってくれました。

 ポケモンは、種類が多く、技の種類も多いし、ポケモンの名
前は片仮名だけですが、技の名前には平仮名のものも多かった
です。それで、夏休みが終わる頃には、平仮名と片仮名の全て
の文字が書けるようになっていました。

 書くスピードは遅いし、読めるかどうかぎりぎりのレベルの
字でしたが。本人と親と担任の先生には、何とか読める程度で
した。

3.稽古が楽しくなる工夫をする

 大人の場合には、これほどの差は出ないかもしれませんが、
イヤイヤやったり、つまらないなと感じながらやっても、余り
上達はしないでしょう。

 上手くならないだけならよいのですが、体を壊す原因になる
こともあります。

 鍼灸や操体が好きなら、練習・稽古が楽しいことが多いでしょ
うが、楽しくないようなら、楽しくなる工夫を色々してみましょ
う。

 鍼灸では、先ずは、互いに痛くなく刺せるようになることかな
と思います。痛いと、刺す方はドンドンやりたいけど、刺される
のは嫌という感じになりがちなので。

 鍼灸や操体などを身に付けるということは変えなくても、練習
する場や相手を変えた方が良いこともあります。

 工夫したり変えたりしても練習することを楽しめないようなら、
目標を自分が楽しめることに変えて、別の道に進んだ方が良いで
しょう。

 苦行の果てに掴(つか)んだ知識や技術は人を虐(いじ)める
ためにしか使われないことが多いように思います。

 特に、苦労して我慢して頑張って身に付けたのに評価を受けら
れなかったときに、そうなるようです。

 もし頑張るって身に付けられても、指導をするときなどに、受
け手にキツい口調で話したり、お説教をしたりする原因になりま
す。

 また患者さんにもそういう感じで接する元になってしまう可能
性もあります。

4.練習が楽しくなる工夫

 鍼灸や操体などは、適切な場所に適切な刺激をできれば、練習
だけでなく、治療も楽しみやすいです。

 でも、中には、受け手の体との対話を楽しめない人もいるよう
です。自分が勉強した通り、思った通りに、受け手の体を扱いた
いという感じの人もいます。

 そういう人は、鍼灸操体などには余り向いていないようで、や
がて他の治療法に移っていく人も多かったように思います。

 鍼灸操体などが上手くなっていくためには、自分の体の辛さを
鍼灸操体などをして少なくできるようになることが手始めになり
ます。

 肩凝り、腰の辛さ、カゼ、腹痛などの、ちょっとした不調を自
分で良くできるようになりましょう。

 鍼灸操体などをしているときに、自分の体の中で起こっている
ことを観察する習慣を付けましょう。

 自分の体の中の変化が分からなければ、他人の体の中の変化は
分かりません。自分の体の歪みをある程度は整えられなくては、
受け手の体の歪みを整えていくことはできません。

 ただ、ここでも欲張って100%を目指さないことです。少しぐ
らい無理をしても60%を切らないていど、75%位を目指しましょ
う。

 それ以上を目指すくらいなら、そのとき自分が楽しめることを
やった方が良いと思いますし、その方が鍼灸の上達にも役に立つ
ようです。

 沢登りや山スキーに夢中だった頃の体験や、子育ての経験は、
私にとって、鍼灸の上達の役に立っています。

 二人で組んで練習するときには、ツボや鍼の刺し方、深さ、動
かし方などは、受け手が決めるのが原則です。特に、習い始めの
うちは、受け手が決めるようにしてください。

 受け手役になった方は、刺し方、深さなどを指示するだけでな
く、できるだけ自分の体の状況を口に出してみましょう。

 治療の現場では、患者さんは体の感じていることを口に出して
言えないことも多いです。そして、治療が合わないと感じれば、
黙って他に行く方が多いです。

 それは、一々細かく自分の体の中に起こっていることを口に出
すことが、体が感じているイイ感じに浸りきることの邪魔になる
ことが多いからです。

 患者さんが治療者に質問されることを気持ち良く感じていそう
も無かったら、余り細かく質問するのは止めた方が良いし、止め
た方が効果が上がります。じっくり、のんびり、患者さんの体が
弛み、言葉が自然に出てくるのを待ちましょう。

 ですから、二人で組んで練習するときに互いに口に出し合って、
体が感じていることへの感受性を高めていきましょう。体が感じ
ていることを、心で思え、口に出して言えるようになれば、それ
だけで養生法を身に付けたのと同じ効果がありますし。

 まぁ、でも、これも無理のない範囲で、ゆっくり、じっくり、
口に出せるようになっていきましょう。

 治療者役の方は、受け手役の言葉と、自分が見て手などで感じ
た受け手役の体の状況を、常に照らし合わせながら、鍼や手の動
かし方などを刻々と変化させられるように練習しましょう。

 受け手が口に出しやすい雰囲気作りや、問いかけの口調などを
工夫したりすることも大切です。

 体は自然なので常に変化していますから、まるで同じ状態とい
うのはありません。一期一会という感じで、いつも新鮮な感覚で、
目の前の人の体に、鍼灸操体などで向き合っていきましょう。

5.おわりに

 体と体のコミュニケーションを楽しめるようになりましょう。


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最終更新:2016年11月22日 06:58