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治療をした後に表情は晴れ晴れしたか

体は自然、臨床は対話 【2】臨床は対話 
(3) 治療をした後に表情は晴れ晴れしたか

1.はじめに

 治療が終わってからの判断に、一番、役に立つのは、治療前
と治療後との顔の表情の変化です。

 治療を始める前の暗く沈み、淀んだような表情が、明るく晴
れ晴れとスッキリした表情になったら、少し動作制限や痛みが
残っていても大丈夫です。

 そういうときには、声のトーンも明るくなります。

 一般的に、痛みや動作制限が20%しか改善しなくても喜ん
でくださる人の方が予後は良いです。

 次に診たときには前回の状態が半分以上保たれていて、治療
すると、また少し改善してという感じで、少しづつ改善が積み
重なって良くなっていくことが多いです。

2.痛みが減っても喜ばない人は、予後が悪い

 逆は心配です。

 痛みや動作制限が80%以上改善しても表情が良くならない
人は、予後が悪く、次に診たときには元に戻ってしまっていた
ということが多かったです。

 こういう人は、訴えている体の辛さの他に、心の悩みを抱え
ていることが多いようです。

 本人がそれを自覚されていない場合もあります。

 そういう場合には、心に関係すると言われる胸骨中央(膻中)、
みぞおち(鳩尾)、鎖骨の周り、首、後頭骨下縁、手平の中央
(労宮)、仙骨、足の内側中央(足厥陰)のライン、手足親指
などの辺りを調べて、痼りがないか、ツボが出ていないか探し
ます。

 痼りなどがあったら、その痼りを弛めたり、ツボを改善した
りしているうちに、悩みを話し出したりされることも多いです。
 この辺り、詳しくは以下に書きました。

術伝流一本鍼no.51 応用(3)心を鎮める

3.体が弛むと、心も解れる

 でも、心の悩みに直接アプローチしなくても、普通に鍼灸し
ているだけでも、適切な刺激で、ガチガチに強張っていた筋肉
の緊張が弛むと、悩みが気にならなくなる状態に心が変化して
いくことが多いです。

 治療をした後で、「実は、悩みを抱えて来たんだけれど、何
かどうでもよくなちゃった。すっきりしちゃった」と受け手の
人に言われて、「へー、そうなんですか」となるようなことも
多いです。

 それが鍼灸や操体などの良い所だなと思います。

 悩みを感じた原因は何も変わってなく、また、悩んでいた記
憶は残っているのですが、それが辛さに結びつかなくなるよう
です。

 ですから、ゆっくり、じっくり、進めていけばよいと思いま
す。

 治療をしている間だけでも悩みが心から消えていると、辛さ
が全然違うようです。

 治療をした日の夜だけでもグッスリ眠れると、もっと違うよ
うです。

4.思い方を変えるより、体を弛める方が長持ちする

 悩みに対して言葉で心の思い方を変えるという方法を取る治
療法もありますが、効果が無い場合もあるように思います。

 心の悩みは、具体的な危機が迫っているというよりも、普段
の生活の中で周りの人々に言われた言葉が原因で生まれること
が多いようです。

 そのため、言葉を中心にして患者さんの心の思い方を変えて
も、普段の生活の中で悩みを生み出したものに似た言葉を再度
聞くと直ぐに再発しやすいようです。

 普通に治療して、体が弛み、悩みが気にならなくなったとき
には、普段の生活の中で悩みを生み出したものに似た言葉を聞
いても再発しにくいようです。

 悩むのにも悩みやすい姿勢があり、そういう姿勢を取りやす
いように体が歪んでいたのです。

 が、鍼灸や操体などの治療で悩みやすい姿勢の歪みを改善す
ると、言われたときに一瞬その悩みやすい姿勢になっても、そ
の姿勢の形に歪む原因となる痼りが無ければ、直ぐに元の悩み
に関係の無い姿勢に戻りやすいからのようです。

 悩みやすい姿勢に歪むまでに痼りが筋肉に定着するのには、
しばらく同じ姿勢を取り続けることを何度も繰り返す時間が必
要なせいだと思います。

 言葉で心の思い方を変えた場合にも痼りは弛みすますが、そ
の場合には、悩みの原因と似た言葉を聞いたときにその痼りが
戻りやすいようです。

 この辺りは議論のある所だと思いますが、言葉で心の思い方
を変えるという手段で体を弛めた場合には、比較的早く痼りや
歪みが戻っていたという例を見掛けることが多かったです。

 ただ、言葉で思い方を変えることを手段にした場合でも、表
情が晴れ晴れしてきたときには、比較的、予後が良いようです。

5.相性が良いことも大切

 まぁ、色々な工夫して、治療した後に晴れ晴れしてもらえる
確率を上げていきたいと思います。

 ただ、合う合わないということも大きな要素です。その辺り
が晴れ晴れとしない原因のこともあるようです。

 治療者と治療手段の相性は良いことが多いのでしょうが、治
療手段と受け手との相性、治療者と受け手との相性はどうでしょ
う。

 その3つの相性が全て良ければ、それだけで自然治癒力は増
えるようで、治療は上手くいきます。

 でも、相性が合わないと難しくなります。相性の合わないこ
とを言われたり、されたりしても気持ちよ良くないし、相性の
合わない人に触れられても気持ち良くないし、弛まないで緊張
することの方が多いからでしょう。

 プロとしてやっていくためには、60%以上の人に合わせられ
ないと難しいかもしれません。

 でも、治療者の気持ち良さを無視してまで無理して合わせよ
うとすると、トラブルの原因になったり、治療者が体を壊す原
因になったりもします。

 また、そういう風に無理して合わせても受け手の体に合った
適切な感じが出ないことの方が多く、その治療で効果が出るこ
とは少ないように思います。

 まぁ、合わない人には合いそうな人を紹介できれば良いのか
なと思います。

6.おわりに

 治療を終えた後に晴れ晴れとした表情をしてもらえるように、
色々な工夫をしていきましょう。


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最終更新:2020年05月28日 10:52