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ツボの出やすい所

体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [3] ツボの出方、探し方
(1) ツボの出やすい所

1.はじめに

 おおよその場所が見当が付けられた時に、ツボの出ている場
所を、はっきり特定する方法について書いていきます。

 人間の動きや体の構造上でツボが出やすい所は、ある程度、
決まっています。

 そして、歪みが大きくなった場合に古い歪みが出やすい場所
もだいたい決まっています。

 先ずは、ツボがどんな場所に出やすいか、その辺りの体の構
造の解剖学的特徴から書いていきます。

 慣れていない人にも分かりやすくするために、患者さんの体
に触れた経験の長い人には当たり前と思えることも書いていき
ます。

2.筋肉と筋肉の間の溝に出やすい

 一番目の特徴は、ツボは筋肉と筋肉の間の溝に沿って出てい
ることが多いことです。

 表面の皮膚が厚かったり皮下脂肪が厚いと少し難しくなりま
すが、見当を付けた辺りを、筋肉の走る方向を横断する形で触っ
てみると分かりやすくなります。

 歪みが古い場合には、見た目にも凹んで見えることが多いで
す。

 そういう筋肉の間の溝は、首や胴体や腕、足の大腿や下腿な
ど、太い筋肉がある所に、よく見られます。

特に、関節の近くの骨が太くなる直前の所

 そういう筋肉の間の溝の中でもツボが出ていることが多いの
は、関節の近くの骨が急に太くなる直前の所です。

 骨の形は、一般的には、両端の所が丸く太くなっていて、中
は細い棒状というものです。マンガなどで犬がくわえている骨
の形です。

 両端の太い部分は、隣の骨と関節を作っていて、その部分に
は大きな筋肉は付いていないことが殆どです。

 その太い部分が終わって細くなり始めた部分によくツボが出
ます。

 それは、その骨に筋肉が付く部分でもあることが多いです。
解剖学的には「筋の起始停止」と呼ばれる所です。そこにツボ
が出やすいのは、きっと、負荷が掛かりやすいからだなと思い
ます。

 と言っても、その上には他の筋肉が覆いかぶさっていますが。

 鶏のモモ肉などを1本丸ごと食べるときによく観察してみて
ください。

 この筋肉と筋肉の間、特に、その中でも関節近くにあるもの
が、ツボとしても大きいので、鍼灸で使われることが多いです。
有名な「足の三里」もこのタイプです。

3.骨の直ぐ脇にも出やすい

 次に多いのは、骨の際というか、骨の直ぐ脇です。

 頭の方から、目の周りの頭蓋骨に指を押しつけるようにする
と、目の悪い人は痛い所があるでしょう。

 顎(あご)の骨と頭の骨の間とか、後頭骨の首側(後頭骨下
縁)、背骨の両脇、肩胛骨の周り、鎖骨の首側、腹や腰に近い
肋骨の下側、骨盤の上側、腰骨の腹側、下腿の骨の脇、内踝
(うちくるぶし)や外踝(そとくるぶし)の周り、踵(かかと)
の骨の上側など。

 ここでの上下は、頭の方を上、足指の方を下にしています。

 このタイプに似ているのが、臍の周りと女性の乳房の裾野周
りに出るツボです。手術痕や古傷の周りに出るのも、似たタイ
プかなと思います。

 これらも、皆、負荷が掛かりやすい場所という共通点があり
ます。

 手や足の甲などでは、骨と骨の間に出ます。ですから、手足
の甲のツボを指定するときに「手甲4~5間」などと表現しま
す。これは「手甲の薬指に繋がる骨と小指に繋がる骨の間にあ
るツボ」という意味です。

 手足の甲以外では、頭の頭蓋骨の上のツボも、このタイプが
多いです。大人になると一つのヘルメットのように繋がってい
ますが、赤ん坊の頃は分かれていた境目の所です。

 また、肋骨のある所では、肋骨と肋骨の間に出ていることも
あります。背骨と背骨の間や、骨盤を形作る仙骨と蝶骨の間に
も出ます。

 これまで書いた「筋肉と筋肉の間」と「骨の周り」の二つが、
ツボとしては最も多いです。

 背中の大きな筋肉である脊柱起立筋の中にあるツボ、足太陽
経の兪穴などは、起立筋の中の筋肉の束(たば)と束の間にあ
るので、関節の近くではないですが、大きな分類としては、筋
肉と筋肉の間にあると言えると思います。

 そして、その中でも肋骨のある部分では、肋骨と肋骨の間に
あることが多いので、骨と骨の間にあるとも言えます。

 骨関係では、もう一つ、骨の上の窪みにもツボが出ます。有
名なのは、下腿の「弁慶の泣き所」とも呼ばれる、筋肉が殆ど
付いてない部分(脛骨粗面)に二つ(中都、蠡溝)と、胸の胸
骨の中央の辺り(膻中)にあります。

 この3つとも、古くなると見た目にも凹んで見える場合が多
いです。

 「弁慶の泣き所」(脛骨粗面)にある2つのツボは、骨の中
に血管や神経が入っていく穴なんだそうです。

 この骨の周りの2つの形態のツボ、「骨と骨の間」と「骨上
の窪み」に出るツボのうち、骨の上のツボは、灸がよく効きま
す。が、下腿の二つのツボは深く刺さずに接触鍼をしたり、弾
入した後に直ぐに横揺らしや旋撚するだけでも効きます。

4.指の周り、耳のツボ

 そして、もう少し細かいツボだと、手足の指の周りにもツボ
が出ます。先ず、指と指の間の水掻き状部分(手は八邪、足は
八風)、指の関節部の手平側や足裏側の皺(しわ)の両端(節
紋)、爪の根本(井穴)などです。

 灸だと、もう少し細かい、指関節の甲側の中央部の窪み(骨
空)や、指の先端と爪との境目の中央(指端、十尖穴)や、爪
の上なども使います。が、鍼には、余り使われません。

 こういう指のツボは、経験上、急性症状を取り敢えず少なく
する応急処置に使うと効果があるように思います。

 鍼では、耳のツボも使いますが、とても小さくて1mmズレ
ても効かないことがあります。耳のツボも、丁寧に調べると、
周りより凹んでいます。

5.太い筋肉には、少しズレても、ツボが出やすい

 もう一つ興味深いことに、筋肉の大きい部分には、少しズレ
ていてもツボが出ることがあります。

 目の悪い人には、「顎の付け根」と「耳の下の骨」の間にツ
ボが出ますが、ここは、目の横輪切りのラインからは少しズレ
ています。

 目の横輪切りライン上には大きな筋肉が無いので、近くて太
い筋肉の部分に負荷が掛かりやすいせいかなと思います。

 次男が赤ん坊の頃、酸素ボンベを付けていたときに最も反応
した胸の上腕寄り(中府)も、腹側で肺のある部分では最も筋
肉の厚みのある所です。

 縦切り、横輪切り、左右・上下・前後、対角などを基準にツ
ボ探しをするときに、この辺りも頭の隅に思い浮かべられると、
出ているツボが見付けやすいかもしれません。

 この太い筋肉に出やすいということは、腹や背中のツボの出
方にも見られます。

 体に歪みが出始めたときに背中側で初めにツボが出るのは、
背中の筋肉(脊柱起立筋)の一番太い所です。

6.古くなると、横にズレる

 しかし、歪みが古くなってくると、横にズレていきます。

 慢性症状のある人などでは、「背骨の直ぐ脇(華陀経)」と、
脊柱起立筋の一番外側(痞根、腰徹腹)に出ていることが多く
なります。

 これは、初めは負荷を筋肉の一番太い所で支えようとするの
だが、だんだん、そこだけでは支えきれなくなるからだと思い
ます。

 同じような現象は腹でも見られ、初めは腹の臍(正中腺)と
脇腹の中間のラインにツボが出るのですが、古くなると、臍の
直ぐ近くと脇腹近くの肋骨下縁や腰骨の腹側に出ます。

7.おわりに

 探し方に入る前に長くなってしまったので、探し方は次回に
なります。

 今回の話でも何回も出ていますが、その辺りで一番凹んでい
る所を探すのがコツです。

 何故ツボの出ている所が窪んでいるかも含めて、次回に詳し
く書きます。


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最終更新:2016年11月21日 20:31