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ツボの近くの状態、ツボの探し方

体は自然、臨床は対話 【1】体は自然 [3] ツボの出方、探し方
(2) ツボの近くの状態、ツボの探し方

1.はじめに

 体の構造上どんな場所にツボが出やすいか大雑把に見当が付
いたら、実際にツボの出ている部分の筋肉や皮膚の状態から、
ツボの出ている所を、はっきり、決めていきます。

 その辺りで一番凹こんでいる所を探すのがコツです。

2.ツボの近くの状態

 その4に「歪みは筋肉に記憶される」と題して書いたように、
ツボのある部分の筋肉は、上の方が弛緩しきった過弛緩状態の
フニャフニャになっていて、下と言うか奥の方に緊張しきった
過緊張状態のカチカチの硬い部分があるという形をしています。

 ツボができて新しければ弛緩した部分は少なくて、皮膚の直
ぐ下に硬い部分があります。が、表面の皮膚はペコペコたるん
でいることが多いです。

 ツボができて時間が経ち古くなると、弛緩した部分が多く厚
くなり、ずーっと奥の方まで過弛緩の状態、つまり、フニャフ
ニャズブズブと弾力の無い状態が続き、奥にとても硬い板のよ
うな痼りがあります。

 見た目に凹んで見えることも多いです。昔の人が「穴」とか、
「ツボ」と呼んだのも凹んでいるのが最大の特徴で、皮膚の下
に穴が空いているように思えるからでしょう。

 ツボが出ている皮膚表面はペコペコたるんでいるだけでなく、
黒ずんでいたり、艶がなかったり、周りより冷たかったり、少
しベタベタしたりしています。

 ベタベタしているのは、体に悪いものを外に出そうとして、
少しアトピー性皮膚炎のような状態になっているからだそうで
す。

3.治療が効果的だったときのツボの近くの変化

 鍼灸したりして、上手くいくと、ツボの出ている部分の筋肉
の底の方の硬い部分は柔らかくなり、途中の過弛緩の部分は弾
力が出てきて、どちらも正常に伸びたり縮んだりする状態に戻
ります。

 鍼を古いツボに刺すときには、実際、しばらくフニャフニャ
して抵抗なく鍼が吸い込まれるように入っていき、奥の硬い痼
りに鍼先が届くと急に硬いものに当たることが感じられます。

 しばらく適切に鍼を操作していると、底の硬い部分が弛みま
す。

 そこで抜いてこようとすると、刺していくときにはフニャフ
ニャズブズブだった部分が硬くなって鍼を挟んで抜けてこない
ことも結構あります。

 この時に無理して抜くと痛いので、鍼を抜く方向に力を入れ
ながら、鍼を揺らしたり回したりしていると弛んで少し抜けま
す。が、また、少し上で鍼が硬い部分に挟まれて抜けてこない
で、また少し鍼を揺らしたりして弛めて・・・という感じで、
2,3回そういうことをしながら抜いてくる場合も多いです。

 こんなときに、私は、筋肉の3つの状態、

1.必要に応じて伸び縮みする正常の状態

2.硬くなって伸びなくなる過緊張の状態

3.伸びきって縮まなくなる過弛緩の状態

が本当にそうなんだなと実感します。

 要するに、刺していくときにフニャフニャと過弛緩だった所
が、底の硬い痼りを弛めて帰ってくるときには、過緊張の状態
になっていて、しばらく鍼を動かしていると正常の状態になる
ということ何だなと思いました。

 さて、適切なことをしてうまくいった場合のツボの状態の話
に戻ります。

 見た目に凹んで見えた場合には、凹みが減り、周りとの差が
目立たなくなります。

 皮膚表面にも張りが出てきて、たるみがなくなります。

 また、表面はサラサラしてきて、黒ずみも消え、艶が出てき
ます。

 冷たさも減って温かく感じるようになり、赤くなることも多
いです。

 こういう現象は、鍼灸をした所だけでなく、それに関連する
患部の場所の筋肉や皮膚も同じように変化していることが多い
です。

 ツボの出ている所と出ていない所の差をしっかり理解し、実
際に色々な人の体を見たり触ったりさせてもらって、その差を
自分の指や目で味わうことがツボ探しが上手くなる出発点です。

ツボの近くは、弾力がない

 ツボの出ている所は、過弛緩の部分と過緊張の部分の組み合
わせのためか、弾力が無いのが特徴です。

 健康でツボが出ていない部分は、押しても少し力を弛めると、
跳ね返してくる感じがあります。が、ツボ出ている所は、押す
力を弛めても跳ね返してくる感じはありません。

 その差は、テニスボールと粘土の違い位はあります。また、
表面からカチカチで押せない場合もありますが、それも弾力が
無いと言えると思います。

4.ツボの探し方

指を滑らせて探す

 そういう差を踏まえて、ツボを探すのですが、「指を皮膚表
面上で滑らせて探す」のが簡単でしょう。

 先ずは、背中や手足のような大きな筋肉のある所で練習する
とよいです。

 手足の場合には、凹んで見える筋肉の溝に沿って、指を滑ら
せてみます。

 そして、その中でも特に凹んでいる所、ベタベタ湿った所、
つまり、少し抵抗感があって指が滑りにくい所を見付け、少し
押してみます。

 患者さん役が痛いと言って逃げたら当たりです。ただし、麻
痺している人や、ツボが古くて麻痺状態になっていたりすると、
痛くないこともあります。

 指を滑らせてツボ探しをするときには、滑らす方向は毛並み
に沿う方向です。犬などもそうですが、毛並みに沿って撫でる
と落ち着きますが、毛並みに逆らって撫でると興奮します。

 私たちの治療は体を弛めることが基本ですから、ツボ探しで
も指を滑らす方向は毛並みに沿うのが原則です。

背中、腹、尻のツボの探し方

 背中は、先ず、背骨の上を頭に近い方から尻に近い方に向かっ
て指を滑らせます。

 そして、背骨上で凹んでいたり、引っかかりや抵抗を感じた
所から、次には真横、つまり、背骨と直角の方に指を滑らせて
いき、凹んだ所を見付けます。

 左右両側に出ていたら、比較して嫌な感じの強い方を取りま
す。

 また、ツボが古くなると、背中にも、縦、つまり、背骨に平
行に溝が見えることもあります。そういうときには、その溝に
沿って指を滑るらせて、一番凹んだ部分を押してみます。

 腹も、基本的には背中と同じで、先ず正中線上に指を滑らせ
た後に、横方向に指を滑らせ探し、左右比較して選びます。

 尻など広い場所のツボを探す場合には、縦横に指を滑るらせ
て、一番凹んだ場所を見付けるとよいと思います。

5.指の使い方

指を細く使え

 手足の甲の骨と骨の間などの狭い部分を探すときには、指を、
横に、つまり、爪と平行方向に滑らせて探すのがコツです。

 その方が狭い部分の置くまで指先が入ります。

 そして、手足の甲は指の方から滑らせた方が探しやすいです。
毛並みに逆らうことになりますが。

 この指を横に滑らせるのが、灸の深谷伊三郎先生がツボ探し
のコツとして書き残している「指を細く使え!」ということ何
じゃないかなと思います。

 指に墨や絵の具を付けて、紙に線を書いてみてください。指
を横に動かした方が細い線が書けるでしょう。子供が小さい頃
に一緒に指で絵を描いていたときに気が付きました。

 それまで謎だった深谷先生の言葉が、そういうことかと納得
が行きました。

使う指の部分、指の動かし方

 また、指でツボを押して確認するときには、指の先端ではな
く、少し横寄りを使う方が分かりやすいです。横寄りの方が硬
めだからのようです。

 この場合に、指と皮膚表面の角度は45~60度位になります。

 指と指の間だけでなく、腕や脚、背中などの筋肉と筋肉の間
のツボを探すときにも、指を横に動かす方がツボを細かく特定
できます。

 先ずは、指を縦、つまり曲げる方向に滑らせ始め、だんだん
横、つまり爪に平行に滑らせ、一番凹んだ辺りに来たら皮膚表
面に45~60度位の角度で押してみると、ツボが見付けやすい
です。

指の滑らせ方

 骨際(ぎわ)のツボを探すときは、骨際に沿って指を滑らせ
て、凹んだ所を見付けます。

 後頭骨下縁、肩胛骨の周り、肋骨下縁、骨盤上縁、内踝や外
踝の周りなどの骨の近くです。

 膝と内踝の間の下腿の骨上にあるツボ(中都、蠡溝)を探す
ときには、先ず骨の幅を確かめてから、その真ん中に指を滑ら
せると探しやすいです。

 こういう探し方、つまり、どういう所はどういう風に指を滑
らせるとツボが見付かりやすいか、ということを体全体で覚え
てしまうと、楽にツボが探せるようになります。

 つまり、ツボは、探し方、指の滑らせ方で覚えるのがコツで
す。

6.灸のツボは、道具を使って

 灸でよく使う指のツボも、一度しっかり覚えてしまうと、次
からは、確実に使えます。

 こういう細かいツボを特定するには指だと難しいかもしれま
せん。

 でも、書けなくなった太字のボールペンの先端ぐらいのもの
で探すと特定できます。楊枝の頭では少し太すぎるかもしれま
せん。

 楊枝や竹串の先を直径1mm位の所で(爪切りなどで)切り、
爪ヤスリで角を丸めると丁度良くなるでしょう。

 指裏の皺の端のツボ(節紋)なら、指を軽く曲げて、指の関
節部の手平・足裏側の皺の端近くの一番凹んだ所をそういう道
具で押してみます。

 ツンという感じで痛かったらツボが出ています。

 指の関節部甲側中央のツボ(骨空)や、指の根本のツボ(井
穴)なども同じように探します。

 全ての指の同じ所を押してみると、同じ強さで押しても痛かっ
たり痛くなかったりします。

 また、ツボが出ている所は、押した跡が大きめ深めに赤黒く
凹み、凹みがしばらくは元のように平たくなりません。

 ツボが出ていない所は、凹みが小さめで浅く、色も艶のある
赤か白っぽい感じで、凹みが直ぐに平たく戻ります。

 一度こういう探し方をしっかり練習しておくと、指のツボを
使うときにサッとツボ探しができるようになります。

 この道具を使うツボ探しは、指の細かいツボ以外にも、円皮
鍼・皮内鍼・粒鍼、糸状灸などのために細かくツボを特定した
いときには、体のどこでも使えますので、道具を作っておくと
便利です。

耳のツボも道具を使って

 耳のツボを探すときには、もう少し細かい、0.6mm位の所
で切って角を球状に丸めたものを使うとピンポイントで耳のツ
ボが特定できます。

 やはり、その道具を滑らせて周りよりも凹んでいて押してツ
ンという感じの痛さがある所を探すのがコツです。

7.おわりに

 ツボが出ている所の近くの状態や、その状態の辺りからツボ
をピンポイントで特定する方法を書いてきました。

次回は、受け手のその時の姿勢や動作から、ツボの出ている所
を予測する方法についてです。


   >>>つぎへ>>>姿勢や動作でツボを探す



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最終更新:2017年05月28日 11:47