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人は動物、体は自然、未病と発作

私の養生観


はじめに

 「私の養生観」について説明します。ひっくり返せば「私の疾
病観」になると思いますが。

 基本的には、「人は動物、体は自然」で、「未病と発作」を行
き来している感じがします。

 詳しく言うと、

「体は自然。病気になるのは、風が吹いたり、雷が鳴ったりする
のと同じ自然現象。鍼灸などをした時に起こる自己治癒反応も、
また、自然現象。それぞれに自然法則が有り、それに従う。病を
キッカケに生命力が上がることもあれば、下がることもある」

ということかなと思います。

未病と発作

 養生を考える時に、必要な概念のうち、大きな要素は、未病と
発作かなと思います。

未病:未だ病まざる、つまり、症状は出ていないが歪みはある
   病が静かに潜在し、動いていない状態

発作:症状が出ている状態、病が動いて顕在化している状態

 未病と発作の関係を図の描くと、以下の感じと思います。

 発作を切っ掛けに、未病は重くも軽くもなります。安静や適切
な治療を受ければ、発作の前よりも生命力の高い状態で安定しま
す。無理したり誤治されたりすると、発作の前よりも生命力の低
い状態で安定してしまいます。

 鍼灸操体に限らず和方(漢方,日本伝統医学)の養生や治療は、
発作を切っ掛けに発作前よりも生命力の高い状態で安定させるこ
とを目指すものだと思います。

 言い換えれば「小さな病気は、大きな病気の保険」ということ。
軽いカゼや軽い下痢(腹痛)は、未病を改善するため、体が起こす
小発作といえると思います。そういう小発作を利用して、生命力
を発作以前よりも高めていくのが、和方(漢方,日本伝統医学)
の養生です。

未病

 未病は、病が動かない時です。体の歪みはあるが、邪毒は沈静
し、病は潜在している状態です。

 5つ位の各段階でバランスしています。「①気持ち悪い→②体
が歪む→③感覚異常→④機能異常→⑤器官破壊」の5つです。

 この未病の状態については、操体の橋本先生の解説が一番分か
りやすかったです。

 体全体が5段階の何番目かということではなく、体の部位ごと、
細かく言えば細胞ごとに5段階の何番目かが決まってくると言う
ことですね。

 橋本先生は、操体は、東洋医学の「体が歪む」前の「気持ち悪
い」という視点、言い換えれば、「歪みを正す」前の「気持ち良
い」という視点を持っているから、「日本医学」とも言っていま
す。

 術伝が「和方」を掲げているのも似た感覚を持っているからで
す。操体だけでなく、江戸時代の鍼灸は、日本独自の要素が沢山
ありますし。

 ただし、逆に言うと、鍼灸操体を始めとする東洋的物療で直ぐ
効果が出るのは、機能性病変までです。器質性病変に効果が無い
わけでは有りませんが、組織が逆変性する必要があるので3ヶ月
単位の時間が必要です。

 ですから、現在では、器質性病変、特に急性のものは、現代医
学に任せるのが基本で、救急医療と連携します。

発作

 病が動いている状態です。症状は顕在化し、邪毒も動きます。

 この視点は、吉益東洞、尾台榕堂らの古方派漢方の視点、特
に「上衝」の概念が理解しやすかったです。

 別の視点で言えば、「体が発する警戒警報」とも言えます。
操体の橋本敬三先生は、サイレンに例えて「サイレンに水を掛
けても、火は消えない」と顕在化した症状のみを治療すること
の愚かさを指摘していますね。

 発作も、詳しく言うと5段階位に分かれ、段階的に変化して
いきます。「①内より迎え(未病)→②外より入り(ストレス)→
③外より内へ→④内なる変化→⑤内より外へ」という感じ。こ
の点については、横田観風先生の『万病一風論の提唱』が詳し
いです。

 私が理解できた範囲で説明すると、「先ず未病の状態(内因)
が有り、そこに、ストレスを始めとする外因が入り、外因や、
それを切っ掛けにする症状は、だんだん体の内側に入り込み、
ある場所で質的変化を起こす。そして、排出現象で終わる。」
という感じかなと思います。

ストレス

 気持ち悪いことに代表されることですね。

 未病の体の歪んだ状態を内因とし、気持ちの悪いストレスに
代表される外因が加わると、発作を起こして改善するために、
ウイルス細菌に代表される邪毒を体に取り入れるという感じか
なと思っています。

邪毒

 漢方古方派では、邪気、水毒、瘀血の3つとされますね。そ
れぞれ体内の気血水が流れにくくなり悪化したものとされます。

 現代の視点で見れば、気は、気体(ガス)や電気のように目に
見えないが機能は感じられるものでしょう。水は体液、血は血
液ですね。

 私は、流れにくくなった川の部分には、ゴミが溜まりやすく、
細菌なども繁殖しやすいのと同じかなと思いました。邪気は、
水毒や瘀血から発生するとされるのも、腐った水からメタンガ
スなどが発生するのと似ているなと思います。

 邪気は、手などにピリピリビリビリした感じを受けることが
多いです。敏感な患者さんは「電気が走っている」とか「小さ
な稲妻」とか言う表現をされます。

 水毒は、汗、痰、下痢、鼻水、泪、皮膚炎などの形で、普段
から、少しずつ排泄されていることも多いです。

 瘀血の原因としては、女性の生理不順の他、怪我や打撲捻挫、
手術なども結構多いです。

☆:気持ちの良い、イイ感じなこと

 安静や適切な治療などですね。

 これも、数段階の過程を経るように思います。「①少し痛み
が減る→②発作的な自己治癒反応→③フッと脱力する→④気持
良く体が弛む→⑤邪毒が排泄される」という感じ。

 ① 適切なことをことをすると、先ず少し痛みが減ります。

 ② が、しばらくすると、症状などの変化が激しくなります。
深い呼吸が特徴で、痛みは少し増すこともあります。鍼灸操体
などをしていると、効果が出ているなという実感があります。

 ③ 次に、フッと脱力する感じに変化が消えます。操体で言
う、瞬間脱力の感じに近いかなと思います。

 ④ 気持よく体が弛んで、ダルさが出て、動きたくなく寝て
いたくなります。

 ⑤ しばらくすると、汗、小水、下痢、下血などの排泄現象
が起こります。

 この辺りについては、野口整体の野口晴哉先生の『風邪の効
用』などでの観察が分かりやすかったです。

おわりに

 ご理解いただけましたか。私は、こんな風に養生と病を観て
います。

 症例に上げたような症状で私が診る程度の患者さんは、術伝
流鍼灸の型と操体の応用で、喜んでもらえることが多いです。

 これからは、子宮頸がんワクチンやレーシックの後遺症など、
今まで余り診たことのないものを診させてもらいたいなと思っ
ています。私の養生観や疾病観が変わるかもしれないので。

 それ以外だと、食養を始めとする普段の生活、軽いカゼや下
痢腹痛などへの対処などを広めていきたいなとも思っています。

 また、ここの内容は、「体は自然、臨床は対話」の「体は
自然」で、より詳しく書いています。興味が有ったら、読んでみ
てください。
「体は自然」が東洋的身体観の基本
気持ちよいと歪みが取れる理由
小さな病気は歪みを治す
歪みは筋肉に記憶される

 よろしくおねがいします。

鍼灸操体、ツボ経絡などは、要するに自然現象の利用

(追記:2017.01.18)

 鍼灸操体按摩指圧など日本伝統医学の物療は、基本的には、
以下と思います。

1.ツボは、筋肉の機能性病変

2.経絡などツボ同士の相関関係を利用して、
  「筋肉の機能性病変を改善」することを手始めに、
  「体の歪み、血流、神経伝達などを改善」することに因り、
  痛み辛さ症状を改善している

 この辺りは、以下を読んでみてください。
ツボと経絡の観方
和方鍼灸の基本

 こういう点も、要するに、
「目の前の患者さんの体に、その時起こっている自然現象を、
昔の達人達が利用し伝え残したことも参考にして、適切に利用
していく」
ということが基本と思います。

 そのためにも、体に起こっている自然現象を的確に把握する
ことが大切ですね。


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