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術伝流操体no.63
【5】応用篇 (16)応用講座の症例:左背中のコリ、鎖骨首側のシコリ
左背中のコリ、鎖骨首側のシコリ

1.はじめに

 右利きなのに、左半身、特に左背中上部のコリが酷く、鎖骨首
側のシコリも酷かった人の例です。

 術伝流操体講座のうつ伏せ寝からの操体のモデルをしてもらっ
たのですが、その途中で、上記2つに気づき、それらへの対処も
してみました。

2.実際の様子

2.1. うつぶせ寝の定番操体から

 うつ伏せ寝の操体を順番にやっていきました。

 先ずは、尻叩き。左側は痛いというので、右側をキッカケにし
ました。内外のどちらに倒すのを付け加えるのが良いか聞いたと
ころ、足を反対側の足の方に倒す方が良いということでした。

 それがしやすいように、右尻の皮膚ズラしも付け加えました
(写真1)。

写真1:

 次は、膝倒し。右に倒す方がイイ感じとのことでした。それが
やりやすいように左尻の皮膚を右側にズラすのを加えました(写
真2)。

写真2

 そして、足首捻転。受け手の足の方で比較した後(写真3)、
捻転する方向に移動し、自然に捻転の動きが伝わるようにしまし
た(写真4)。

写真3
写真4

 それから、カエル足。足首部分が浮いていて、脹脛がとても凝っ
ていました。凝り具合から右足のカエル足のほうがラクだろうと、
聞いてみたら、その通りでした。

 片手で、足の背屈と同じ効果の皮膚ズラしをしながら、大腿〜
下腿〜足首までの足の裏側を指圧しながら、コリなどの状態を診
ていきました(写真5)。

写真5

 裏側の足少陰のライン、特に足首近くのコリがすごかったです
(写真6)。そこをしばらく押すことを加えていたら、邪気と共
に、汗も出てきました。水毒が溜まっていたのかなと思いました。

写真6

2.2. 仙骨〜尾骨への皮膚操体

 掌底を尾骨に当て、仙骨周りの皮膚ズラしをしたら、指先が右
になるようにズラしたら、邪気が吹き出してきました。この辺り
を打撲したか、立位座位などでの疲れが溜まった可能性があるな
と思いました。

 邪気を足の方に誘導するために、足の指揉み指反らしも付け加
えました(写真7)。

写真7

2.3. 腰の虚した所へ皮膚操体

 背中上部の盛り上がりが目立ちましたので、その周りで、虚し
た所を探しました。盛り上がりは、虚実では実で、虚の部分を庇
っていることが多いからです。

 盛り上がりと同じラインの腰の部分に虚した部分を見付けまし
た。左側がイヤな感じが強いとのことでした。その部分の皮膚は、
大きく上の方にズレやすい状態でした(写真8)。

写真8

  同じ経絡上の末端のツボで反応の良い所を探していきました。
女膝のツボを押してみると、腰の虚の部分の反応が良かったので、
組み合わせました(写真9)。

写真9

 弛んだ感じがしたので終えた後、調べてみました。膨らんでい
た背中上部が余り目立たなくなり、逆に虚していた腰の部分が膨
らんできて、差が目立たなくなりました。腰の部分からは、汗が
出ていました。

2.4. 背中上部の皮膚操体や動きの操体

 次に、背中上部を調べ、皮膚がズレやすい部分を探しました。
上方向に大きくズレやすい所が見付かりました。外へのズラしを
加えたら、腹の息が深くなっていきました。

 その方向へズラらしながら、その部分の変化が大きくなるよう
な場所を探し、付け加えました(写真10)。

写真10

 顔が右を向いていたので、右側の肘を持ち上げ、背骨の傍のツ
ボを調べながら、声を掛けて、右足をカエル足にしてもらい、足
首の背屈をしてもらいました(写真11)。

写真11

 背中上部の焦点を当てたい所に力が集まるようにするためです。
もちろん、受け手にイイ感じがあるか確かめながら。しばらくし
たら、その周りが温かくなってきました。

 鍼灸などをしていてツボや経絡などの知識がある人は、動きの
操体の焦点の辺りに出ているツボを調べ、そこに力が集まるよう
に、動きや手技を付け加えていくと、受け手の気持ちよさも深く
なりやすいですし、効果も出やすくなります。

 また、経絡的などで関連するツボへの手技を組み合わせると、
より一層、イイ感じも深くなりやすいですし、効果も出やすいで
す。

 しかし、まだ、顔が右を向いたほうがラクな状態でした。その
原因であろうシコリを探し(写真12)、そこに力が集まるような
姿勢を探していきました(写真13、14)。

写真12
写真13
写真14

2.5. 鎖骨の首側のコリ

 その姿勢の変化していく様子を見て、前側の方が酷いかなと思
いました。そのため、胸側をしらべたら、鎖骨の首側(缺盆近く)
のコリが酷かったので、指をそこに移しました。

 反対側の手も、そこと経絡的に関連する上尺沢に移したら、反
応が良く、腹の息も深くなり、イイ感じとのことで、続けました
(写真15)。

写真15

 そしたら、ゆっくりと、仰向けの状態になっていきました(写
真16、17)。そして、缺盆周りが温かくなっていき、ふっと筋
肉の強張りが弛みました。

写真16
写真17

 この過程を見ていた人から、格闘技みたいだという声が出まし
た。確かに、目的は逆だけれど、関節技とは似ている所があるな
と思います。「関節技の鬼」と呼ばれたという藤原喜明さんの
『復刻 幻の藤原ノート」(講談社)は、操体的にも面白かった
です。

 片側が弛んだせいか、反対側の缺盆周りの違和感が目立つとい
うことでしたし、確かに見た目も盛り上がった感じでした。それ
で、そちらも皮膚操体しました(写真18)。しばらくしたら、
弛んできました。

写真18

 試しに、もう一度、うつ伏せになってもらったら、背中が平ら
になっていました(写真19)。

写真19

3.寒さと、鎖骨の首側

 鎖骨の首側は、寒いときに硬くなりやすいようです。今回紹介
した例も、1月半ばの出来事でした。

 また、そうなると、いわゆる「首が回らない」という意識の状
態になりやすいそうです。つまり、柔軟に考えることができにく
くなってしまうようです。

 一般的には、温めると弛みやすいです。しかし、使い捨てカイ
ロや、プラやビニール系の湯たんぽは使いにくいです。臭いが気
になる所だからです。

 濡れタオルをレンジパックに入れて電子レンジでチンし、口を
閉じ、乾いたタオルで包んだものを、仰向け寝の状態で乗せると
良いです。(蒸しタオル温法)

 また、黒い木綿袋に砂利を入れたものを日向の太陽熱で温め、
それを乗せても良いです。(温石療法)


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最終更新:2017年02月25日 15:32