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術伝流操体no.61
【5】応用篇 (14)応用講座の症例:左坐骨神経痛の人が盲腸に
左坐骨神経痛の人が盲腸に

1.はじめに

 左坐骨神経痛と腰痛のある人が虫垂炎になり、普段と違った歪
み方が出た例を紹介します。

 虫垂炎は、慢性で症状が潜在していたものが、悪化して発覚し
たようでした。初めは、腰から尻に痛みを感じたので、いつもの
腰痛かなと思っていたそうです。が、痛みが強くなり病院に行き
虫垂炎と診断されたそうです。

 しかも、状態が悪く、次の検査で変化がなければ即入院手術と
言われたとのことでした。

2.診察も兼ねて、うつ伏せ寝の定番操体から

 この日の講座のテーマがうつ伏せ寝からの操体だったこともあ
り、初めは、うつ伏せ寝の左右差を見ていきました。

 先ず、うつ伏せに寝てもらったら、いつもは左坐骨神経痛のた
めか左足が外向きなのに、右足が外に向きたい感じの状態でした
(写真1)。

写真1

 左右の膝倒しでは、右倒しが良い感じとのことでした(写真2)。

写真2

 次は、尻叩き、左足のカカトでの尻叩きの方がイイ感じでした
(写真3)。

写真3

 どちらも、虫垂のある部分を縮める動きが動きかなと思いまし
た。

 急性症状には、瞬間脱力が効果的なことが多いので、瞬間脱力
も試してみました(写真4)。写真では分かりにくいかもしれま
せんが、操者の右手首で動きを強調し、その手首を瞬間脱力し、
直ぐ右手で止めました。

写真4

 カエル足は、元々の腰痛などの影響か、右足でした(写真5)。
しかし、カエル足の付け足しで、盲腸裏の右腰〜右尻を動かして
みると、右下腹部外寄りを下に押し付けるほうが良かったので、
この付け足しは、虫垂炎の影響かなと思いました(写真6)。

写真5
写真6

 うつ伏せ寝で首を左右に向けるのも左がラク(写真7)で、こ
れも右下腹部外寄りを下に押し付ける姿勢かなと思いました。古
い歪みが出やすい胸椎7番の華佗経にツボが出ていました。

写真7

 うつ伏せ膝立て足首回しでは、足裏の合わせ目が右を向いてい
た(写真8)ので、それを強調しました(写真9)。これも右下
腹部外寄りを下に付ける動作につながる動きのように思いました。

写真8
写真9

 定番の操体というのは、それぞれの寝方で、腰椎部の3軸(左
右捻転、左右側屈、前後屈)を中心に胴体の歪みを整えるものだ
と思います。

 ですから、ラクな寝方で定番操体をすることで、体全体の大雑
把な歪みを整えられますし、普段との違いも調べられます。

3.うつ伏せで、皮膚操体と按摩指圧の組み合わせ

 診察も兼ねた定番の操体を終えたので、虫垂炎への対処もして
みました。

 先ずは、うつ伏せのままで、虫垂の裏側の腰〜尻に出ているツ
ボを探しました(写真10)。そこへ皮膚操体をしながら、経絡的
に関連する足裏に出ていたツボへの按摩指圧を組み合わせました。
脹脛下部のツボ(写真11)と踵の上のツボ(陽大鐘、写真12)の
2か所。

写真10
写真11
写真12

 患部近くは弱刺激で補、遠くの末端は強刺激で瀉が、急性症状
のときの原則です。

 このとき、足裏側の末端のツボを按摩指圧したときの反応が、
尻の皮膚に伝わっていく方が効果が出やすいです。伝わっている
ことが尻に当てた方の手で感じられないようなら、別のツボを探
します。

4.仰向けで、皮膚操体と按摩指圧の組み合わせ

 それから、仰向けになってもらいました。この時点で、少しラ
クになったそうです。

 虫垂が上の方に折れているため、少し上寄りの辛さの方が強く、
シコリもそちらが酷いとのことでした。そのシコリ辺りの皮膚に
皮膚操体をしました。

 その皮膚操体をしながら、経絡的に関連するラインに出ていた
ツボに按摩指圧し、頃合いを見計らって瞬間脱力をしました。下
腿下部(写真13)と足甲2~3間(内庭、写真14)の2か所です。

写真13
写真14

 そしたら、腹のシコリが小さくなり、これは医者に見せたいと
のことでした。 ずいぶんラクになったとも言われました。

 腹の邪気の量が多いせいか、操体をしているときに、私もかな
り咳が出ました。特に、腹側をしていたときは、咳が出続けまし
た。このままでは、症状は復活しやすい感じで、腹の邪気を抜き
続けた方が良いように思いました。

 そのため、自己養生として、足の先の方のツボへの、灸痕を残
すような灸、貼る鍼の2つを勧めました。この人は、診療放射線
技師ですが、鍼灸指圧師なこともあって。

 ツボの位置確認も兼ねて、手持ちの円皮鍼を貼っておきました
(写真15)。

写真15

 手のツボを聞かれました。腹の内側でも表面寄りに急性症状の
あるときには、手では裏合谷にツボが出ていることが多いです。
調べたら、やはり出ていて、大変痛がっていました。そこには灸
をしました(写真16)。

写真16

5.子供の場合には

 子供の場合は、今回したような皮膚操体と按摩指圧の組み合わ
せを日に2回位するとよいと思います。患部やその背中側への皮
膚操体と、経絡的に関連する手足末端への強刺激の按摩指圧を組
み合わせます。

 それ以外のときでも、痛みが出始めたら、そのたびに手足末端
に出ているツボに強刺激するとよいです。指反らしなどは、子供
自身でもできると思います。

 また、貼る鍼がダメでも、粒鍼なら良いという子もいます。

6.おわりに

 検査では状態が良くなっていて、手術は避けられたと、次に会っ
たときに聞きました。年末の予定だったので、患者さん、病院ス
タッフ双方に良かったなと思いました。

 次の検査は3月だそうで、より状態を良くするため、鍼灸も組
み合わせ、継続的に診ているところです。


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最終更新:2015年03月13日 10:52