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術伝流操体no.58
【5】応用篇 (11)目の前の人に合わせて
目の前の人に合わせて

1.はじめに

 操体を応用していくというか、臨床の場などで使いこなしてい
くには、そのとき目の前にいる人に合った操体を見付けられるか
どうかが決め手です。

 そこで、今回は、目の前の人に合わせた操体を連続していく、
始めから終わりまでの全体像を書いていきます。

2.基本は、ラクな姿勢を少し強調

 基本的には、今までと同じです。つまり、一言で言えば、「ラ
クな姿勢からイイ感じを探す」のがコツです。

 その中でも、「ラクな姿勢を少し強調」してみるのが基本にな
ります。重さ→皮膚→動きの順で、ラクな姿勢を少し強調してみ
ます。

 そして、次には、立って歩ける人と、立ち歩きが不自由な人を
区別します。立って歩ける人は、下半身から調整するのが基本で
す。立ち歩きが不自由な人は、先回書いたように、背骨がS字状
を描き立つ状態からのズレを少し強調します。

 これは、操体でいう「下半身から」が直立二足歩行に由来する
からでしたね。

3.手順も、基本的には、今までと同じ

 手順も基本的には、今までと同じです。ラクな寝方からの連続
操体をしていき、座位などで背骨が立った状態での調整もして、
手の指揉みで仕上げます。

 言葉が通じる人には、「姿勢を変えたくなったら、どんどん変
えても構いません。ただ、ゆっくり動くようにしてください」と
声を掛けておきます。

 ラクな寝方からの連続操体も、基本的に、今までと同じです。
ラクな姿勢になってもらい、イイ感じを探しキッカケにし、それ
にイイ感じを付け足し増やしていき、気持ちよさを味わい、姿勢
を変えたくなったら終えます。

4.コツ

 コツというか要点も、基本的には、今までと同じです。今まで
の復習を兼ねて書いていきます。

 ラクな姿勢が分からない人には、横向き寝、ラクな方を上にし
た横向き寝から始めると良いことが多いです。

 肩など上半身が辛い場合には、座位から始めても良いです。重
さの操体も加えれば、下半身もある程度整います。また、うつ伏
せ肘上げが良いことも多いので、それから始めるのも良いかもし
れません。

 よりラクな姿勢になってもらうために足指を揉んだときに痛み
が分からない場合には、麻痺している場合もあります。そういう
ときには、痛みが出るまで揉むのも一つの方法です。

 キッカケですが、実際の臨床では、そのとき、目の前の人に合っ
た操体は、1つか2つかもしれません。 時間がない場合には、1
つしかできないこともありますし。それを限られた時間の中で見
つけられるかどうかも大切になります。

 ラクな姿勢を強調してみるのは、その有力な手掛かりですが、
なかなかラクな姿勢になれない人もいます。その辺りが難しいと
ころです。経験を積み重ね、目の前の人がラクな姿勢になってい
るか、見極められるようになってください。

 障碍で歩きが自由自在にできない人向けには、背骨がS字状の
カーブを描き立つ状態から外れているところを強調していきます。
これは、また、障碍を持たない人に操体するときにも、大きな目
の付け所になります。また、重さの操体をまず始めにするのが良
いのも、このためかもしれません。

 立って歩ける人には、下半身から操体することが良いことが多
いです。その中でも、膝裏~脹ら脛がポイントになります。次は、
仙腸関節~大転子、足首辺りです。

 重さの操体から始めるときに、重さの操体に、背中や脇腹の皮
膚の操体、手足の揉み、指揉み反らしを加えます。こうすると、
一つの操体だけで満足していただける可能性もあります。

 軽い人には、座位の重さの操体だけでも良いことも多いです。
手首の捻転などを加えれば、肩のシコリもある程度軽くすること
が可能です。

 仕上げの手の指揉みは、現在では、手技でも邪気が動く人が多
いので、必ずした方が良いです。

5.よく使うもの

 今までの経験をまとまてみると、よく使うものがあります。

5.1. 肩など上半身で、軽いとき

〈1〉うつ伏せ寝で、肘の持ち上げ
 ・顔のむいている側の肘の持ち上げ
〈2〉座位で、腕などの操体
 ・脇の下前後の水かき状部分のシコリ移しの操体+手首捻転
 ・頭の後ろで手の平返しから天井上げ
〈3〉座位で、仕上げ
 ・胴体の3軸+重さの操体
 ・手の指揉み

 これについて、直ぐ思い浮かばない人は、以前に書いたものを
読み返しておいてください。

5.2. 腰など下半身、および、体全体

〈1〉 横向き寝からの連続操体
〈2〉 座位で、3軸+重さ、手の指揉み

 こちらは、臨床のときによく出合います。横向寝からの変化は
2つあります。捻転していくタイプと前屈していくタイプです。
復習を兼ね、写真で紹介しておきます。

5.2.1. 横向き・丸まり型イプ
 膝が重なっていたので、足指を痛くして逃げてもらいました
(写真1)。

写真1

 下半身が決まったので、上半身を調べたら、上半身も前でした。
丸まり型ですね。重さと皮膚を組み合わせた操体をしていきまし
た(写真2)。

写真2

 そしたら、うつ伏せに近い格好になっていきました(写真3)。

写真3

 うつ伏せの姿勢に左右差があるので、その左右差をいわゆるカ
エル足操体で強調しました(写真4)。

写真4

 左右差が少なくなったので、膝倒しなど、うつ伏せからの定番
操体をしました(写真5)。

写真5

 そうしていると、だんだん、仰向けになっていきました。そこ
で、仰向けからの定番操体をしました(写真6,7,8)。

写真6
写真7
写真8

 うつ伏せや仰向けからの定番操体は、それぞれの姿勢での胴体
の4種8方向、とくに腰椎部分の3軸の調整が多いことも頭に入
れてください。定番操体をしていくと、それぞれの寝方での胴体
の大雑把な歪みが取れていきます。それで、仰向けの場合には、
大の字に近づいていきます。

 仰向け定番操体の後にラクな姿勢になってもらったら、仰向け
大の字と比較して、右半身の方が伸びていた(写真9)ので、そ
れを強調しました(写真10)。

写真9
写真10

 その後も、仰向け大の字と比べ、変化が激しい所を強調してい
きました(写真11,12,13)。そしたら、仰向け大の字に近づて
いきました(写真14)。

写真11
写真12
写真13
写真14

 座位になってもらい、3軸と重さの組み合わせ操体をしたあと
(写真15)、手の指揉みで仕上げました(写真16)。

写真15
写真16

5.2.2. 横向き・捻じれ型
 横向き寝から、上側の腕を前にするのがいいか、後ろにするの
がいいか聞いたら、後ろのほうがよいということでした(写真17)。
捻じれ型ですね。それを強調する操体をしました(写真18)。

写真17
写真18

 そしたら、仰向けになったので、膝倒しなど定番の操体をして
いきました(写真19,20,21,22)。

写真19
写真20
写真21
写真22

 ラクな姿勢になってもらったら、左手が挙がっていたので、そ
れを強調しました(写真23)。

写真23

 その後の姿勢を見たら、左半身を伸ばしたがっているようでし
た(写真24)ので、それを強調しました(写真25)。

写真24
写真25

 そしたら、仰向け大の字に近い姿勢になりました(写真26)。

写真26

 座位になってもらい、座位の3軸と重さの操体(写真27)をし
た後、手の指揉みで仕上げました(写真28)。

写真27
写真28

6.おわりに

 今回5.2.で紹介した2人は、障碍があるわけではなく、しかも
重い歪みの持ち主ではありませんでした。それで、一度の一連操
体で、仰向け大の字に近い格好になりました。

 しかし、こういう人ばかりでは、ありません。障碍のある方に
は、先回紹介したように1カ月単位では変化がわからず、1年単
位でようやく変化の分かる人もいます。

 先回と今回の間に、色々なタイプの人が沢山いるという視点で
見るようにしてください。


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最終更新:2017年02月25日 14:53