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術伝流操体no.92
【6】自然則篇 (28)丁度よく釣り合った感じ
丁度よく釣り合った感じ

1.はじめに

 先回書いた「自立のために症例を残す」ために、ポイントにな
りそうなことを書いていきます。

 症例として残せるような操体をするためには、現在の自分の周
りの受け手の、その日その時の状態にピッタリ合い気持ち良いと
感じてもらえる操体ができることが必要です。

 私は、そのためにポイントになるのは、操体用語で言えば、
「タワメの間」になっていることが分かることなのではないかな
と思っています。

2.「タワメの間」の始まりと終わり

 操体は、「動診」「タワメの間」「瞬間脱力」の3段階に分け
ることができますね。

 「瞬間脱力」の後の「休息」も入れて、4段階にしてもよいと
思います。が、技術として身に付ける必要性が高いのは、「動診」
「タワメの間」「瞬間脱力」の3段階と思います。

 このうち、「動診」というのは、色々と動いて、気持ちの良い
感じがより深くなるような姿勢を探していくことです。そして、
その結果、その時に探せた、一番気持ち良さが深そうな姿勢が
「タワメの間」だと、私は思います。

 そして、「タワメの間」が終わった時にするのが「瞬間脱力」
ですね。

 つまり、いつから「タワメの間」が始まり、いつ「タワメの間」
が終わったか、判断できることが、操体臨床のポイントの一つと
思います。

3.丁度よく釣り合った感じ

 「タワメの間」が始まった時は、丁度よく釣り合った感じがし
ます。「動診」している間は、操者の手の平に、引き込まれるよ
うな感じ、または、押し返されるような感じのどちらかがありま
す。

 「タワメの間」に入った途端に、引き込まれるような感じも、
押し返されるような感じも、どちらも消えます。引き込まれもし
ない、押し返されもしない、正に、丁度よく釣り合ったというこ
とだと思います。

 ですから、「タワメの間」の間は、その丁度よく釣り合った状
態を維持するようにします。

 丁度よく釣り合うというのは、2つ以上の力が働きながらバラ
ンスが取れているということだと思います。力が働いていない状
態ではありません。

 こういう感じの「タワメの間」の時の受け手の状態と、瞬間脱
力した後に「休息」している時の受け手の状態とは違います。

 「休息」している時は、丁度よく釣り合った感じはなく、どち
らかと言えば、力がほとんど働いていない状態になっているよう
に思います。

 「休息」中にも、「動診」「タワメの間」「瞬間脱力」の動き
が生まれることもあります。が、それ以外の時は、力が余り働い
ていない状態と思います。

 前にも書いたと思いますが、「タワメの間」が長い場合は、丁
度よく釣り合った感じの他に、受け手の呼吸が深くなるという変
化もあります。

 ですから、丁度よく釣り合った感じを維持するとともに、受け
手の呼吸が深いままの状態も維持することにも気を使います。と
いうか、その2つが、まるで同じことをしている感覚があります。

4.丁度よいタワメは、ノビやアクビの感じ

 この丁度よく釣り合った「タワメの間」の感じは、気持ち良い
ノビやアクビができた時の感じに似ています。というよりも、ま
るで同じもののように感じます。

 ノビやアクビは、普通は、自分が一人でするものです。操体で
も、一人操体をしている時のタワメも同じですね。

 二人組での「動きの操体」、特に、臨床の場での二人組での
「動きの操体」の場合は、他人のタワメの丁度良さを把握するこ
とが必要になります。

 そのためには、自分で気持ちの良いノビやアクビができた時の
感じを思い出し、手の平で、受け手のタワメが丁度よいものになっ
ているかどうかを判断する必要があります。

 ですから、自分やノビやアクビ、そして、一人操体などで、丁
度よい感じが出た時に、片手で丁度よい感じが出た部分を触って
みたりするのも、手の平でタワメの丁度良さを判断する感覚を身
に付けるのに役立ちます。

 そして、手の平で感じていることには、手の平で触っている受
け手の皮膚の様子も含まれています。ですから、こういう風に身
に付けた丁度よさを判断する感覚は、二人組での皮膚操体のタワ
メの丁度よさを判断するのにも使えます。

 というか、「動きの操体」と「皮膚の操体」でのタワメの丁度
よさを判断する感覚に、本質的な差はなく、ほとんど同じものの
ように思えます。

 また、ノビやアクビ、一人操体でのタワメの気持ち良さの感覚
も深く味わってみることを勧めます。操体臨床を積み重ねていく
と、受け手がタワメに入った時とほぼ同時に、操者自身もタワメ
に入った感じを受けることが多くなります。

 操体操者と受け手の体がシンクロしている感じの現象が起きる
ことが多くなっていくように思います。

5.「重さの操体」の丁度よさは、ヤジロベエ

 中腰尻振り運動などの「重さの操体」では、どうでしょう。こ
の場合のタワメの丁度よさは、ヤジロベエのような重さの釣り合
いになります。

 立ち姿勢での「重さの操体」の場合は、特に、片足にすっかり
体重が移動してしまった場合などは、ヤジロベエや竿秤(さおば
かり)のような「重さの釣り合い」そのものです。

 ただ、二人組では、「重さの操体」でも、操体操者は、主に、
手の平の皮膚感覚で丁度よさを判断します。ですから、その感覚
は、「動きの操体」や「皮膚の操体」と、余り変わらず、ほとん
ど同じものになるように思います。

 少し重さを意識する程度の違いしかないように思われます。竿
秤(さおばかり)のオモリの位置を指先の感覚で丁度よく調整し
ているような感じがあります。

6.おわりに

 今回に書いたような内容は、写真や動画でも表現するのは難し
いように思います。自分で一人操体をしたり、二人組での操体を
したりの経験を重ねることが大切と思います。

 一人操体では、体の内側に意識を向け、気持ち良さが深くなる
姿勢(タワメ)を探して、ゆっくりゆっくり動いてみてください。

 二人操体では、受け手側は、可能な範囲で、自分の体の状態を
口に出してください。操者側は、受け手側が言っている状態と、
自分が手の平などで感じている状態を比較しながら、受け手の体
が丁度よいタワメに入れるように、抵抗・支持・援助を工夫して
みてください。

 そういう体験を繰り返していくことで、今回に書いたような
「丁度よく釣り合った感じ」を保つことができるようになってい
きます。


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最終更新:2015年03月25日 18:10