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術伝流操体no.84
【6】自然則篇 (20)「想」の理想は「無想」
「想」の理想は「無想」

1.はじめに

 「想」の自然則に入ります。難しい分野ですね。橋本敬三先生
も、あまり細かくは書いていないようです。

 「…この世の生を受けたことは、適応して生きていく素質を与
えられた…天地の恵み、親や人々の愛情に支えられて生きている…
そのことを口に出して感謝しよう…」

 「…子供には好きなことをさせよう…」

くらいでしょうか?

 私は、「想」の理想は「無想」ではないかと思っています。
「心には努力させない」方が良いように思います。仏教などで説
いている教えの中心も「無想」を理想としているように思います。

2.夢中になれることをしていく

 どうしたら「無想」になれるでしょう。「無想」に似た言葉に、
日本語では、「無心」、「無我」、「無念」などがありますね。
そして、「無我夢中」という言葉もあります。「無心」は、「子
供が無心に遊んでいる」という風にも使われます。

 私は、子供が「無心」で遊んでいる時と同じ位に夢中になれる
ことをしている時は、「無我」夢中ですし、「無念」「無想」の
状態になっているような気がしています。

 それくらい夢中になれることが大切なように思います。夢中な
ことをしている時は、「無想」の状態になっている時間というこ
とですから。

 そして、そういう時間を一日や一年の中で増やしていく努力も
必要と思います。そういう時間が多くなれば、「無想」である時
間が増えるのですから。

3.他人の分まで実行し対価を得る

 ただ、一日や一年の大部分の時間を夢中になれることに使って
しまうと、生活のための資金を稼ぐ時間が少なくなってしまう可
能性もあります。そうすると、生活していけません。それでは元
も子も無くなってしまいます。

 ですから、夢中になれることは、自分の分だけ実行したくなる
レベルでは無理があります。他人の分まで代わりにしたくなる、
他人の分まで代行したいくらい夢中になれることが必要と思いま
す。

 そこまで夢中になれれば、代行したことに感謝してくださる人
も出てきます。そして、その感謝のお礼としていただいたものを
生活のために利用することも可能になります。

 つまり、「自分が他の人の分まで代わりにしたくなるほど夢中
になれることに磨きをかけて、他の人の分まで代行し、その対価
で生活していく」というレベルにならないと、「無想」の時間は
増やせないということです。

 そして、そういうレベルで夢中になれることでないと、なかな
か代行した人に感謝してもらうのは難しいと思います。感謝して
もらえなければ対価を得ることは難しくなると思います。

 努力や根性だけで実行しているレベルでは、感謝されるほど夢
中になるのは難しいようにも思います。

4.好きなことをしてみる

 ですから、橋本敬三先生は「子供には好きなことをさせろ」と
言ったように思います。子供時代に、たっぷり好きなことをすれ
ば、夢中になれることは見つけやすいですから。

 子供時代に好きなことでも飽きてしまうことも沢山あるでしょ
う。そういうのは、一生夢中になれることではなかったというこ
とですね。

 たっぷり好きなことをして、たくさん飽きて、そういうことを
繰り返して残ったことが夢中になれるようなことのように思いま
す。

 子供時代に見付けられなかったら、大人になってからでも良い
ですから、好きなことを沢山して、見付けていくのが良いと思い
ます。

5.体の変化を見るのが好き

 私は、患者さんはじめ受け手の体が変化していく様子を見てい
るのが好きです。操体している間も刻一刻と変化していく受け手
の体に合わせている時は、心はボ〜ッとしています。

 「無我夢中」で「無心」に近い状態と思います。少なくとも私
が他の事をしている時よりも、はるかに「無想」に近い状態です。
操体だけでなく、鍼灸や按摩をしている時も同じです。

 私は、信仰としては素朴な精霊信仰(アニミズム)で、一人一
人の体にもカミが宿っているように思います。操体などは、そう
いうカミと交流するための良い機会と感じています。

 そして、できれば体に宿るカミさまに元気になってもらいたい、
そういう感じで操体などをしています。もっと言うと、そういう
交流を通して自分の体や心も元気になっていくような感じがして
います。

 そして、私は、そういう交流のための技術を伝えることも大好
きです。操体の実態を知らず実践できなかった人が、「分かった」
「できた」となった瞬間の笑顔を見るのが好きです。

 これも、体の、そして、体に宿るカミの変化、しかも元気にな
る変化だからかなと思います。

6.おわりに

 自分が他の人の分まで実行したくなるほど夢中になれる事とい
うのは、誰にでも存在すると思います。それが橋本敬三先生の言
う「…この世の生を受けたことは、適応して生きていく素質を与
えられた…」ということだと思います。

 そして、それくらい夢中になれることに磨きをかけ、他の人の
分まで代行することが、「…天地の恵み、親や人々…感謝…」す
ることの一形態のように思います。

 互いにそういうことをし合って生きていくことが大切と思いま
す。


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最終更新:2015年01月03日 15:23