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術伝流操体no.80
【6】自然則篇 (16)タワメへの誘導、操体での自力
タワメへの誘導、操体での自力

1.はじめに

 今回は、タワメの間へ誘導するために瞬間脱力を利用する方法
と、それに関連して、「操体での自力」について書いていきます。

2.タワメの間へ誘導するための瞬間脱力

 タワメの間に入りつつあるのだけれど、上手く入れないでマゴ
マゴしている感じになるときがありますね。そういうときには、
操者の方が軽くフッと瞬間脱力をすると、受け手の息が深くなり、
それをキッカケにタワメの間に入っていくことがよくあります。

 この場合の瞬間脱力は、極々僅かで、受け手には気付かれない
位がよいです。ただし、脱力する速さがゆっくりでは、息は深く
なりません。極々短く、しかも、できるだけ速い瞬間脱力をする
必要があります。

 色々試してみたのですが、操者の息というか、腹を利用するの
が速いことが分かりました。

 息を吸いながら下腹を膨らませ下腹に力を入れていき、大きく
膨らんだら、その状態を0.5秒ほど維持します。その後、フッと
一瞬下腹の力を抜きます。こうすると、誘導、抵抗や支えを作っ
ている手などで瞬間脱力するよりも速く短い瞬間脱力ができます。

 同じ位の速さの瞬間脱力としては、アクビの時に「あーあーあ」
と口を開けていきフッと閉じる際の瞬間脱力があります。

 が、比較すると、こちらは、瞬間脱力が、上手く、支え、抵抗、
誘導などを作っている手などに伝わりにくいようです。そのため、
受け手の体にも伝わりにくく、受け手の深い息を誘導するときに
は、使いにくくなります。

 しかし、下腹の瞬間脱力は習得が難しいので、アクビの終わり
の瞬間脱力の方が直ぐ利用できると思います。

3.アクビの瞬間脱力は、理想的?

 余談になりますが、このアクビのときの瞬間脱力は、本当に瞬
間脱力らしい瞬間脱力だと思うので、瞬間脱力の説明をするとき
に、よく例に出します。私は、瞬間脱力は速くて短いのがポイン
トだと思っていますので。

 脱力の速さは、瞬間的な速さです。脱力している時間も、本当
に瞬間的な短さで、しかも、脱力時の移動距離も大変短く、脱力
した後に歯と歯がぶつかるようなことはありません。

 歯と歯がぶつからないというのは、この瞬間脱力が「急速反転
運動」にはなっていないということだと思います。

  誤解をされるといけないので、付け加えておきますが、「ふっ
くにゃぁ」系の脱力をする場合には、細かく言えば「ふっ」の部
分で、すごく短く、すごく速い瞬間脱力をしているのだと考えて
います。

 その後は、「くにゃ〜」という、体全体の力が抜けた状態で、
しばらく深い息を続けることが多いです。

 「くにゃぁ」の時間が比較的短く、直ぐ「ふわ〜」という感じ
で動き出し、「ぽわわん」としたタワメの間を探し出すこともあ
ります。

4.先ず、操者の瞬間脱力で、気持ちよさを味わってもらう

 話を戻します。操者が瞬間脱力をするのは、「操体は自力」と
いう考え方に反するのではないかという意見もあるようです。

 が、私は、先ず、受け手に操体の気持ちよさ、特に、タワメの
間の気持ちよさや、脱力した後の気持ちよさを、味わってもらう
方が先だと思っています。

 そのため、タワメの間に入れないでモゾモゾしている感じを受
けるときには、空いている手で動きを誘導したりします。手が届
かないときには、声を掛けて、患者さんに新しい動きを試しても
らったりします。

 それでも、もう少しだなと感じたときに、下腹を利用した瞬間
脱力をします。すると、その直後から受け手の息が深くなり、
「ぽわわん」とした「タワメの間」に入っていくことが多いです。

 もう少なくとも10数年こういうことをしているので、今では、
半ば無意識に実践しているようです。

 それに、始めた頃も意識して実行したというよりも、半ば無意
識でやっていたようです。そして、結果的に、受け手の息が深く
なって、あ、こうすると良さそうと気づいたという感じです。

 いつ頃からやりはじめたのかはっきりしないのは、その辺りに
も理由があります。

 また、達人の先生方も無意識で同じことをしているような気も
します。

5. 次に、言葉を掛けて、

 受け手に、数回、上記のような感じで、瞬間脱力した後の「く
にゃ〜」という感じの全身脱力状態を味わってもらいます。 

 その後、タワメの間が終わった感じで、モゾモゾ迷っているよ
うに思えたときに、言葉で指示して、瞬間脱力を誘導します。

 「アクビのように口を大きく開けていって、アクビの終わりみ
たいに、口をパッと閉じてみて」、「足の甲を反らして、反らし
きれなくなったらパタンを落としてみて」、「手を思い切って広
げていって、広げられなくなったらフッと力を抜いてみて」とか。

 この辺りは、一連の操体の合間に、先ず、やって見せて、次に、
やってもらって、練習してみるとよいと思います。

 これも2,3回繰り返してみます。そうすると、初めての受け手
でも、1時間位経つ頃には、必要なら自分で適度な瞬間脱力がで
きるようになっていることが多いです。

6.操体での自力とは

 操体でいう「自力」というのは、伝え手の言う通りの動きを、
受け手にしてもらうことなのかなという疑問があります。

 受け手に、受け手自身の体の状態を良く感じてもらい、体が望
んでいることを理解して、試しにやってみてイイ感じがしたり気
持ちよさが出てきたら、味わってもらうのが、自力のように思い
ます。

 操者(操体の伝え手)は、その手伝いをする役割だと思います。

 体が感じていることや望んでいることが分かっていそうもなけ
れば、こうではありませんかとアドバイスをした方が良いと思い
ます。

 そして、そのために、どこをどう動かすか分かっていそうもな
ければ、こういう動きや皮膚ズラしはどうですかと、アドバイス
した方が良いと思います。

 この、操体でいう「自力」とは何かという点については、いず
れ、また、詳しく書きたいと思います。が、今は、そういう気が
するので、私自身は、伝え手が瞬間脱力することも操体に取り入
れているということにしておきます。


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最終更新:2015年03月25日 09:16