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術伝流一本鍼no.79 (術伝流・体得篇(19))

邪気や真気の気配を感じる

1.はじめに

 今回は、前の2回に書いた「 邪気や真気に対応する鍼の動かし
方」についての補足を書いていきます。

2.目の前の体が反応するものを選ぶ

 邪気と真気に対応する鍼の動かし方を書いてきました。邪気に
対応するには、鍼を「細かく、強めに、速く」動かすのがコツで
す。それに対して、真気に対応するには、「 大きめに、そっと、
ゆっくり」動かすのがコツです。

 そして、戸ケ崎先生の言うように、鍼の動かし方の基本は、
「刺す抜く」、「曲げる」、「捻る」ということです。

 「邪気を引き退ける」にも、「真気を呼ぶ」にしても、「刺す
抜く」、「曲げる」、「捻る」という手段を、「細かく、強めに、
速く」するか、「大きめに、そっと、ゆっくり」するか、なんで
すね。それが基本です。

 が、誰にも同じで良いわけではありません。また、同じ人でも、
いつでも同じで良いわけでもありません。目の前の患者さんの体
が、その時に反応する動かし方を選んでいく必要があります。

 真気の動かし方で「8の字を少しずつズラしていく」方法を書
きましたが、それも、目の前の患者さんの体が、その時に反応す
る「曲げ」や「捻り」の具合を調べるのに便利だからに過ぎない
という点も踏まえてください。

 ですから、真気が感じられはじめた頃は、丁寧に「8の字を少
しずつズラしていく」方法をした方が「真気を呼ぶ」ことを実践
しやすいです。

 でも、だんだん慣れてくると、そこまでする必要もなくなって
きます。なんとなくではありますが、「この曲げ具合、この捻じ
り具合だと、真気が来そうだな」という気配を感じられるように
なるからです。

 邪気の場合も同じです。前に書いたと思いますが、なんとなく、
この動かし方だと、いま目の前の人の体で蠢(うごめ)いている
邪気が引けそうだなという気配を感じることができるようになり
ます。

 どちらの場合も、目の前の人の体が反応しやすいものを選べば
良いだけなんですね。

3.気配が分かる

 気配が分かるというのは、分からない段階では、そんなのが目
安になるのかと思われる人が多いと思います。しかし、分かって
しまうと、そんなに難しいものではありません。

 例えば、日陰や部屋の中など暗い所に居ても、明るい方がどっ
ちかというのは分かりますね。また、冬の寒い日に日陰にいても、
どっちの方に行けば日向に出られるかというのも、少し試してみ
れば、目を瞑っていても分かる人が多いのではないでしょうか?

 患者さんを腹診していても、何処が冷えていて、何処から温か
いかとかも分かる人が多いでしょう。そういう感覚と基本的には
同じです。なんとなく邪気が引けそうな感じ、真気を巡らせそう
な感じがするのです。

 「邪気を引き患部から退ける」には、「細かく、強めに、速く」
という原則の範囲で、 鍼を「刺す抜く」「曲げる」「捻る」動き
をしてみて、目の前の患者さんの体が反応しやすいものを選べば
よいだけです。

 「真気を呼ぶ」にも、「 大きめに、そっと、ゆっくり」、「刺
す抜く」「曲げる」「捻る」という手段をいろいろ試してみて、
患者さんの体が反応しやすいものを選んでいけばよいだけです。

4.やはり先ずは自分の体で

 とは言っても、他人の体の中の動きよりも、自分の体の中の動
きの方が分かりやすいということは、他の場合と同様です。です
から、邪気を引いたり、真気を巡らせたりできそうな気配を感じ
るという点でも、先ず自分の体で分かる人が多いです。

 ですから、気配が感じられるようになるまでは、毎日1時間程
度は、自分の体に鍼灸しましょう。自分の体で気配が感じられる
ようになったら、体の内側の気の動きを感覚できて、口に出せる
ような、敏感な患者さんで試させてもらいましょう。

 そういう経験を積み重ねていけば、やがて、敏感でない患者さ
んの体の中の気の動きの気配も分かるようになっていきます。

5.おわりに

 こういう感覚を磨いていくと、途中で、過敏になってしまうこ
とがあります。術伝流一本鍼no.70(自分が悪化したら」)
に書いたようなことです。そういう時は、術伝流一本鍼no.70
を読み直してください。

 あと、感覚や食事の好みが変わったりもします。私自身は、目
が悪くて眼鏡をかけていましたが、眼鏡をかけているとカンが鈍
ることが分かり、眼鏡を外しました。

 外食や、スーパーなどの弁当などの食事が続くと、体が濁った
感じになりカンも鈍くなる感じがしてくるので、自炊が多くなり
ました。

 気配を感じるというのは、なんとなくというレベルなので、そ
ういう微妙なことでカンが鈍くなっても影響を受けて、邪気や真
気の気配を感じるのに支障が出てくる感じがしています。達人の
先生なら、そういうことはないのかもしれませんが。



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