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術伝流一本鍼no.77 (術伝流・体得篇(17))

1回の刺鍼中に起こる兆しと合わせ方

1.はじめに

 四診し見立てができ、それに応じて手順を組み立てたら、そ
の手順に従って刺鍼していきます。

 その時は、刺鍼中も1ヶ所刺鍼した後も、常に患者さんの体
の様子を観察し、変化があったかどうか見ていくようにします。
特に大切なことは、呼吸と邪毒の変化です。

 今回は、その中でも、手順の初めに使うことの多い、手足末
端のツボへ刺鍼する時に起こることと、それへの対処の仕方を
書いていきます。

2.ツボを取る

 四診し見立てた場所の辺りを切経し、ツボを探します。

 術伝流では、虚のツボを探します。ツボの上の筋肉が過弛緩
の状態になっている場所です。

 押すと、皮膚や上層の筋肉がフニャフニャでペコペコしてい
て、指がズブズブ入っていく感じの所です。凹んで見えること
も多いです。こんな状態だから、昔の人は「穴」とか「壺」と
か呼んだのかなと思います。

 邪気を分かる人なら、邪気が噴き出しているのが感じられる
でしょう。感じないという人でも指先は邪気を避けるように動
くことが多いです。

 そして、水毒も漏れだしているのか、周りに比べて少しベタ
ベタ湿ってしていることが多いです。また、黒ずんで見えるこ
とも多いです。これは、邪毒が皮下に潜在しているためでしょ
う。

 経絡治療などでは、表皮の直ぐ下に黍粒のようなものが感じ
られる場所を取るようですが、そことは場所が違っていること
が多いので、注意してください。


3.刺鍼する

 見つけたツボに、軽く1回弾入して、刺鍼していきます。

 弾入が嫌いな人には、弾入せずに鍼先が皮膚に付いた状態のま
ま鍼管を取り去ります。そして、そっと横揺らしや捻鍼などをし
ていると、切皮できます。この方法は、30番とかの太い鍼の切皮
にも使えます。
 この弾入せずに鍼管を取り去る時には、細い鍼の場合は特に、
鍼が外れて鍼先が皮膚から離れてしまわないよう注意してくださ
い。初め不可でも、しばらく練習すれば可能になりますから、で
きるようになってください。

 邪気がたっぷり溜まっている人だと、切皮した段階で、表層
の邪気が動きます。押手を刺手で切打したりすると、出て行き
やすいです。この時は、鍼が抜けてしまわないような配慮も必
要です。

 もっとも、すごく邪気が溜まっている人だと、ツボを取ろう
と指を近付けただけで、邪気が飛んでくることもあります。

 姿勢を正し、肘を張り気味にして、胴体に取り込まないよう
にします。が、普段から鍼灸や操体で体を整えていれば、邪気
を少し取り込んでしまっても大丈夫です。自然に抜けていきま
す。

 自然に抜けていかない時には、手足末端に鍼灸して抜きます。
初心のうちは、それも、また、良い稽古になります。

 鍼を刺入していくと、初めは豆腐に刺しているような感じで、
鍼がスーッと入っていきます。引き込まれるような感じを受け
ることすら、あります。

 しばらくして、鍼の入る速度が遅くなり、鍼先に粘ったよう
な感じを受けます。そこで、いったん止めます。

 この粘った感じの場所は、ツボの底や芯である凝り、つまり、
筋肉が過緊張した部分の手前です。

(筋膜(ファシア)重責かもしれませんね、水分不足や滑走性
の低下を粘っこさと感じているのかも。痼りを弛めて鍼を抜い
てくる時には、粘っこい部分が消えていますし。水分が集まっ
て、滑走性が戻ったので、粘っこい感じがなくなるのかなと思
いました)

 粘った所で止めずに、ツボの芯の凝りに、速いスピードのま
まドンと当ててしまうと、患者さんが痛みを感じることが多い
です。注意してください。

 ゆっくり、静かに、ツボの芯に当てていきます。すると、邪
気が、沢山、吹き出して来ます。弾鍼、押手切打などをして、
邪気が外に出て行くようにします。

 邪気が分からない人は、患者さんの呼吸を見ているとよいで
す。邪気が吹き出し始めた時に、呼吸が深くなることが多いで
す。患者さんの腹を見ていると、急に腹に大きく息が入るよう
になります。

 押手切打は、押手を刺手で切打します。切打する場所は、押
手の示指の根元の関節付近の骨が良いように思います。弾鍼な
どよりも細かい振動を与えることができ、邪気を引き出しやす
いように思います。

 患部から引かれて出てくる邪気の量が減ったら、抜き時です。
ツボの底の痼りが弛んだ時と、ほぼ同時のことが多いです。邪
気が分からない人は、ツボの芯の痼りが弛んだ時を抜き時にす
ると良いでしょう。

 また、ほぼ同時に、患者さんの呼吸が普通に戻り始めること
が多いです。それも参考になります。

 ゆっくり、静かに、鍼を抜いていきます。多くの場合、途中
で鍼先が噛まれた感じになり、抜けにくくなることがあります。
この時に無理して抜こうとすると、患者さんに痛がられること
が多いです。注意してください。

 これは、ツボの芯の痼りを弛めた時に皮膚の方に動いた邪気
が、フニャフニャ過弛緩していた筋肉を過緊張させたために起
こる現象です。おそらく、一昔前には、この深さの所が、ツボ
の芯だったのでしょう。

 弾鍼、つまり、鍼を刺手の指先で弾いていると、邪気がより
皮膚の方に移動し、噛まれた感じは無くなり、鍼が抜けやすく
なります。

 古いツボだと、2,3ヵ所で、こういう現象が起こることがあ
ります。ツボが古くなるにつれて、ツボの芯の場所が、だんだ
ん深くなっていくからだと思います。

 邪気を引くのが上手く行かない場合、特に抜いてくる途中で
鍼先が噛まれた感じの時の引き鍼が上手く行かない時は、押手
を少し引き気味にすると良いです。

 押手の皮膚に遠い側で鍼を摘んで鍼を引き上げる方向に力を
入れます。その状態で弾鍼や押手切打をすると、邪気が抜けや
すいです。ただし、押手の皮膚に近い側では、皮膚を押すこと
も忘れないようにしてください。

4.刺し終わってからの確認

 鍼を抜き終わったら、先ず刺鍼ヵ所の変化を見てみます。上
手く刺鍼できた時には、以下の様な変化が観察できると思いま
す。

 見た目には、黒ズミが消え、明るくなったり、ほんのりと赤
味がさしていることもあり、凹みが目立たなくなります。撫で
てみると、ベタベタした感じが無くなり、サラサラした感じに
なっています。押してみると、フニャフニャしていた筋肉に弾
力が出てきたのが感じられます。

 次は、見立てた時に、この経絡を使うと決めた目標の場所で
す。多くの場合は、頭首胴の体幹部の患部や関連する場所に近
い皮膚表面ですね。その場所が四診で診た時と変化しているか
を確認します。

 例えば、冷えていたら温まったか、痛みがあったら減ったか
などです。また、腹部や背中に水毒が溜まっていた場合には、
汗が出ていることがあります。肌が刺鍼前より湿っているかど
うか確認します。

 また、水毒が動いた場合には、湿疹のような桃色の腫れが浮
かんでくることもあります。直径は数mm以上のことが多いで
す。

 瘀血が動いた場合には、小さな赤いブツブツが、沢山、出て
くることがあります。こちらは、直径2mm以下のことが多い
です。

 この刺鍼後の確認は、1ヵ所刺鍼する毎に必ず実践すること
を習慣にするようにします。そして、それを次の刺鍼の手加減
に活かします。

 また、必要に応じて、使うツボを付け加えたり、手順を追加
変更したりします。具体的には、患部や胴体で動き始めた邪気
が治療中に頭を衝かないように、散鍼したり、手足末端に引き
鍼したりします。

5.おわりに

 今回は1回での刺鍼での対応を書きましたが、ここでも大切
なのは、感じることです。先ず感じないと、対応はできません
から。

 そして、出ているツボを見付けることも大事です。出ている
ツボから外れた所に鍼して良い変化を期待するのは難しいです。

 刺鍼中も、先ず鍼先の変化が分からなければ、それに対する
対応は不可能です。スーッと入っていく感じ、粘った感じ、硬
い物に当たった感じ、硬さが弛んだ感じ、鍼先が噛まれた感じ、
抜きやすくなった感じ、そういうことを感じられるようになり
ましょう。

 そのためには、自分に刺鍼することが先ず大事、次は二人組
で対話しながら刺鍼し合うことが大切です。

 今回は、患部に関連する手足のツボに刺鍼し、患部からの邪
気を引き出す時に起きやすいことと、それへの対応を書きまし
た。背中など陽位のツボで、患部など陰位の邪気を引き出す時
にも同じような刺鍼法を使います。

 次回は、腹など、患部の近くの陰位のツボに真気を呼んで巡
らす刺鍼法を説明します。

 実際には、どこの刺鍼でも、どちらの方法も使うのですが、
初診のうちは、意識して、主に使う方法を選んだ方が良いでしょ
う。


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