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術伝流操体no.11 立位などから重さの操体

(1)応急処置から学ぶ操体の基本  11. 立位などから重さの操体

1. 重さの操体は体重移動を切っ掛けにする

 先回は、ある動作をするときに、どういう風に、どの方向に
体重を移動させると、その動作がやりやすくなるかを色々と試
してみました。

 今回は、体重を移動させることを切っ掛けにした操体を紹介
していきます。昔の本では、中腰尻振りとか、四つん這い尻振
りとかという名前で書かれているもので、今では、それ以外の
ものも含め、私は、重さの操体と呼んでいます。

 やり方は簡単です。ラクな姿勢から、試しに色々な方向に体
重を移してみて、一番移しやすい方を見付けます。その方向に
体重を移すことを切っ掛けにして、その動きを体全体に伝えて
いきます。そうしながら、イイ感じが増える、気持ち良さが深
くなる姿勢を探し、気持ち良さを味わうというものです。

 手順として書けば、

(1)ラクな姿勢になる
(2)体重を移しやすい方に移す
(3)イイ感じが増える姿勢を探す
(4)イイ感じを確かめつつ味わう
(5)体重を戻したくなったら終える

2. 定番の中腰尻振り運動

 昔から一番よく知られている重さの操体は、中腰尻振り運動
です。

 肩幅程度に足を開いて立ち、目の高さ位のものに手で掴まっ
て、膝を軽く曲げた姿勢(写真1)から、

写真1

体重を「左右×前横後ろ」の6方向に体重を移してみて(写真2)、
つまり、右前、右横、右後ろ、左前、左横、左後ろに体重を移
してみて、一番移しやすかった方に、ゆっくり体重を移すこと
を切っ掛けにします。

写真2

 そして、その動きを、ゆっくり膝から腰、腰から背骨、背骨
から両方の腕や頭に伝えていきます。そして、イイ感じが増え
る格好、気持ち良さが深くなる姿勢を探して、ゆっくり動いて
いきます(写真3)。

写真3

 動きが止まってしまったら、体の内側の動きに意識を向けて
みてもよいです。

 体重を戻したくなったら終わりにします。

 以前、この中腰尻振り運動を伝えていたら、参加者から「尻
振りって言うからフラダンスみたいにするのかなと思っていた
ら、これは、ただの体重移動ですね」と言われてしまいました。

 でも、おかげで、こういう操体は体重移動を切っ掛けにして
いるということが、はっきり認識できましたし、重さの操体と
いう名前も思い付きました。

3. トイレット操法

 トイレに行くたびにすると良いということで、こういう名前
が付いたそうですが、トイレでなくてもできます。

 肩幅位に足を広げて立ち、少し膝を曲げて、膝の上に手平を
当てた姿勢(写真4)になります。その姿勢から、体重を左右×
前横後ろの6方向に移してみて、一番イイ感じのする方向に、
ゆっくり体重を移していくことを切っ掛けにします。

写真4

 体重を移す動きを、膝から腰へ、腰から背骨へ、背骨から頭
へ、ゆっくり伝えていき、イイ感じが増える格好、気持ち良さ
が深くなる姿勢を探して、ゆっくり動いていきます(写真5)。

写真5

 体重を戻したくなったら終わりにします。

『操体法治療室』という本には、この操体で足首捻挫が良くなっ
た話が出てきます。

4.色々な姿勢からやってみる

 2.や3.に限らず、色々な姿勢から重さの操体をしてみる
ことができます。普段の生活の中で、一番やりやすそうなもの
は、机位の高さのものに手を付いて行う重さの操体です。

 その高さのものは、椅子の背、テーブル、手すり、流し台、
洗濯機と沢山あるので、どこでも始められます。

 そういう高さの物に手を付いた姿勢から、体重をあちこち移
動してみることを切っ掛けに、重さの操体をしていきます。手
を置く位置が低いせいか、中腰尻振りよりも体重が移動させや
すいように思います。

 壁などに手を付いた状態から始めてもよいです。トイレのよ
うな狭い所なら、両方の壁に突っ張るように手を付いてするこ
ともできます。

 仕事の合間に椅子に腰掛けた状態から、畳の上に座った状態
や(電車などの)椅子に腰掛けた状態からも可能です。あるい
は、電車の吊革につかまった状態からも可能です。電車の吊革
は、吊革自体も動く成果、結構イイ感じです。

 ちょっとした暇があったら、直ぐに、そのとき取っている姿
勢から重さの操体をする習慣を付けてしまいましょう。体のバ
ランスが取れやすくなります。ただ、人前でするときには、余
り大きな動きをすると、可笑しな人と思われるかもしれません。

5.イイ感じを増やしていくコツ

 背骨が立った姿勢から体重移動を切っ掛けにする重さの操体
で、イイ感じの増える格好を探していく場合には、倒れまいと
する意識が逆モーションになっているので、比較的バランスが
取りやすいです。

 手首などを反らしたり、捻ったりしてバランスを取ってもよ
いと思います。

 何度も書いていますが、ゆっくり少しずつ動いていくと上手
く行きやすいです。体のあちこちと相談しながら、体のあちこ
ちがみんなイイ感じになるように、体のあちこちに気持ち良さ
を分けてあげる感じで、一つずつ、少しずつ、ゆっくり動いて、
イイ感じを探し増やしていきます。

 体のあちこちのイイ感じを増やしているうちに、切っ掛けに
なった体重移動の動きの変わってくることもあります。新しい
体重移動の方がイイ感じになりそうなら体重移動自体も、ゆっ
くり少しずつ変えていきます。

 腹の息が深くなったり、なんとなくポワンポワンとしたよう
な感じになったら、体丸事のイイ感じに近付いているように思
います。

 体の外側の動きが止まってしまったら、無理して動かずに体
の内側の動きを感じてみましょう。

 温かい風のようなものが吹き抜けていくような感じ、温かい
水のようなものがジワーッと広がり流れていくような感じ、電
気のようなものが走っていくような感じ、小さな渦が渦巻いて
は消え渦巻いては消えていくような感じ、筋肉の一部がピクピ
ク震えながら緩んでいくような感じ・・・そういう感じを受け
る人が多いようです。

 動きが指定されず自由度が大きく、初めのうちは何をやって
いるのか良く分からないという人も多いと思います。が、上に
書いたような工夫していくと、イイ感じが増えやすく、味わい
深く、また気持ち良さが深くなりやすいです。

 また、イイ感じが深くなりやすいためか、習慣にしやすいと
いう人が多いです。繰り返し練習し、気持ち良さを味わい、習
慣になるようにしていってください。

6.重さの操体は慢性症状に効果的

 この立ち姿勢からの重さの操体は、慢性症状に効果があるよ
うです。地球の重力に逆らって直立2足歩行しているヒトの体
の重心、つまり、中心調整になるからでしょう。比較すると、
指揉み、指反らしなどは急性症状に効果があるようです。

 また、障害で歩けない人、歩くときのバランスが取りにくい
人、長期に病気で寝ていて歩き始めた人、そういう人達が実行
すると、立ち姿勢でのバランスが取りやすく、歩行のバランス
も取りやすくなります。指導してあげてみてください。

7.指反らしながら重さの操体

 指反らしと重さの操体を組み合わせることもできます。立ち
姿勢でテーブルなどに手を付いて重さの操体をするときに、指
反らしをしながら、重さの操体をするわけです。

 立って壁に手を付いた姿勢や座って座卓に手を付いた姿勢か
ら始めてもよいです。

 先ず手の指を一本ずつ反らしてみて(写真6)、一番ピリピ
リビリビリした感じの指を選びます。

写真6

 その指の側の手は反らしたい指だけ伸ばし、他の指は曲げて、
テーブルなどの上に付き、指反らししない側の手は手を広げた
ままテーブルの上に置きます(写真7)。

写真7

 その姿勢から、ゆっくり、体重を左右×前横後ろの6方向に
移してみて、一番移しやすい方に体重を移すことを切っ掛けに
して重さの操体をしていきます(写真8)。

写真8

 膝から腰へ、腰から背骨へ、背骨から頭や両腕へ、順番に動
きを伝えて行って、イイ感じが増える格好、気持ち良さが深く
なる姿勢を探して、ゆっくり動いていきます。体重を戻したく
なるまで続けます。

 この操体は、急性症状、特に上半身の急性症状を取りながら、
体全体の慢性的なバランスの改善ができるので、筆者は気に入っ
て習慣化してますし、患者さんにも勧めています。


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最終更新:2017年02月06日 07:11