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術伝流一本鍼no.70 (術伝流・体得篇(10))

自分が悪化したら

1.はじめに

 鍼灸を自分の体で体得する方法を書いてきました。こういう
ことを着実に実践していると、ある時を境に、急に体が敏感に
なることが多いです。また、そういう時に自分の体調も悪化す
ることも多いです。

 そんな時期の注意点を今回は書いていきます。

2.邪気への感受性の芽生えと、体調の悪化

 鍼灸の体得を実践していると、ある時、急に、今まで感じら
れなかった患者さんの状態が分かるようになったりします。特
に、邪気が感じられなかった人が、邪気を感じられるようにな
ることが多いです。

 壁を越えたと言うか、一山越えたと言う感じがする時期です
が、そういう時には、本人が大きく体調を悪化させることも多
いです。

 また、体調を悪化させた実感の方が先で、それが治まった後
で、今まで感じられなかった患者さんの邪気が感じられるよう
になったと言う話も聞きます。

 体調悪化と言っても色々あります。患者さんを治療した後、
頭が痛くなったり、目眩がしたり、腹が痛くなったり下したり、
吐き気がしたり吐いたりします。カゼを引きやすくなったりも
します。

 暫くの間、日常的に手がシビレるような感じが続いたり、昔
の打撲の痕が痛み出したり、疼(うず)くような感じがしたり
もします。湿疹が出たりすることもあります。

 筋肉が強張りやすくなったりすることもあります。酷い人だ
と、体中が筋肉痛で動けなくなったり、体中が脱力感一杯で立
てなくなったりもすることもあります。

 いずれにしても、鍼灸の修業の途中で、邪気に対する感性が
急に芽生えるのと同時に、邪気の影響を受けやすくなると言う
ことです。ごく初期の頃から邪気を感じていた人でも、邪気に
対する感性がより鋭くなる時期に、体調を悪化させることが多
いです。

3.体調の変化を味わい、養生してみる

 こういう時期は、自分の体調を感じ味わうと良いです。

 自分の体の邪気の蠢き(うごめき)をよく味わいます。自分の
体の中のどの辺りで邪気が蠢いているか、時間が経つに連れて
蠢く場所が移っていく様子などをよく観察します。

 そういう観察を続けていくと、患者さんの中の邪気の動きを
観るときに活かせるようになります。

 「応用篇(2)古いツボ、古い病で出るツボ」で書いた辺り
が多いので、よく観察します。昔の打撲捻挫などが関係してい
ることもあります。しかも、自分も忘れていた位の古傷が関係
していることもあります。

 達人の先生で、ご自身では、左背部督兪の辺りの圧痛点がポ
イントだったと書かれていたのも読みました。
(『特効針灸治療法』福島聰著 壮神社 p272)

 そして、肘膝から先などに蠢く邪気に関係していそうなツボ
を見付け、自分で鍼灸してみましょう。背中など自分で不可能
な所は、仲間に依頼しましょう。自ら似た経験をした先輩など
が居れば最適と思います。

 古い打撲やケガなどの痕が関係している場合には、漢方薬の
駆瘀血剤が効果的なことも多いです。漢方の専門医に相談し処
方してもらいましょう。私自身は、左肩甲骨下角の骨折、左足
首の捻挫の後遺症が桂枝茯苓丸で改善しました。

追記;2017.01.28ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「下痢などの症状には、昔からの和漢薬」

 自分の鍼灸で改善できないような下痢症状には、昔からの和
漢薬が効果的なことも多いです。小田原のウイロウや、百草な
どの黄柏(キハダ)系とかです。
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 治療を受けている時も、治療を継続している時も、自分の体
の中の変化をよく観察し味わうとよいでしょう。


4.体の自己治癒反応の一つ

 基本的には、長年積み重なってきた歪みを体が感じ、邪気へ
の感受性が高くなった機会に、歪みを元に戻そうとしている現
象のように思います。よく観察し味わい、自分の重ねてきた無
理との関係を考えてみます。

 ゆっくり、じっくり、積み重ねてきた歪みを元に戻していけ
ば、だんだん症状も出なくなり、改善していきます。それから
は、体調の小さな変化を感じられるので、その変化に合わせて
無理を重ねないように養生していけば良いと思います。

 そうは言っても、無理はしないことです。現代医学的に診断
可能な病気が隠れているかも知れません。そういう場合には、
医師に相談しましょう。

 最近は、それまで邪気など何も感じなかったという人で、余
りにも急に大きく体調を悪化させる例も出ているという話も聞
きました。

 筋痛症系の人を始め、患者さんに邪気が沢山溜まっている人
が増えていることに関係しているのかもしれません。用心する
に越したことはありません。

5.おわりに

 鍼灸の修行を始めた頃には、姿勢が悪いことが原因で、体調
が悪くなることもあります。腰痛などが多いですね。

 そういう時には、「体得篇(1)礼と姿勢」で書いたように、
「腰を立て、背は曲げずに腰から少し前傾、肩は落とし、脇は
少し開き、肘は張り気味、腕(かいな)を返し、手首は折らな
い」と言う姿勢を施術中に採用すると、解決することが多いで
す。

 今回書いたことと、姿勢が悪いことが原因で出ることとは、
区別した方が良いです。その方が、鍼灸技術の向上には役立つ
と思いますので。


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最終更新:2017年01月28日 00:13