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術伝流一本鍼no.39 (術伝流・養生の一本鍼・運動器編(8))

坐骨神経痛、慢性でも、まず、つらさ軽減

(1)はじめに

 今回は、坐骨神経痛を取り上げます。3カ月以上続いていますので、
慢性期になります。しかし、つらさがひどく、とりあえず、そのつら
さを軽減したほうがよいだろうと思いました。それで、まず、応急処
置をしたという例です。

(2)坐骨神経痛の特徴

 坐骨神経痛は、患側の殿部中央がベコベコに虚しているのが特徴で
す。そして、その奥の筋肉がとても硬くなっています。

 一般的に、神経痛系の病の特徴は、神経が脳・脊髄の高さから皮膚
表面に立ち上がってくるところに、筋肉の機能性病変が見られること
です。表面は、フニャフニャに虚した過弛緩型の機能性病変になって
います。奥は、カチカチに硬い過緊張型の機能性病変になっています。
この点は、三叉神経痛など、ほかの神経痛系の症状でも同じです。

 坐骨神経は、殿部中央の大坐骨孔(梨状筋下孔)のところで、体の
奥から皮膚表面に立ち上がってくるようです。

 過緊張型の機能性病変になった状態の筋肉では、常に異常な活動電
位が観察されるという研究があります(伊藤和憲先生)。おそらく、
その異常な活動電位が、近くをとおる神経に影響して、神経に異常な
電気現象が発生してしまうのではないかと考えています。

 そして、その神経の異常な電気現象がきっかけになって、神経痛の
症状が出ているように思います。神経活動も電気現象ですし、神経は
ランビエの絞輪もあるので、完全にまわりから絶縁されているわけで
はないと思いますし。

 坐骨神経痛でのツボの出方は、殿部中央以外は、腰痛や膝痛と同じ
で、腰痛のときの腰〜殿部の出やすいところ、脚裏の外より、中央、
内よりの3本のライン、足首まわり、足甲などに出ます。

 応急処置や慢性期の養生の手順も、基本的に、運動器系、とくに、
下半身の場合と同じです。

(3)症例

 3カ月ぐらい前から、 坐骨神経痛か、左足の大腿部から足先までが
しびれているという人。車にのるときにも足を投げ出して運転してい
る状態とのこと。

 3か月続いているということで慢性期ですが、症状がはげしいので、
とりあえず、つらさを少しでも軽減することにしました。

 うつ伏せになってもらい(写真1),足甲4~5間に出ていたツボに
引きました(写真2)。

写真1

写真2

 つぎは、いちばんのポイントである殿央部。長めの鍼を奥まで入れ
ると、骨にあたったかという感じを受けるほどの硬さでした。押手を
刺手でたたいたりしながら、邪気を引き出し、奥が温まるまで刺鍼し
ました(写真3)。押手で刺手を、按摩の切打のような感じで、すば
やく、こまかく、たたくと、邪気がぬけやすいです。

写真3

 そして、大腿部。まずは、承扶の外側の足徹腹。ここは、腸脛靭帯
の裏側にあてるような感じで刺鍼すると、改善しやすいです(写真4)。

写真4

 大腿部の2番目は、風市(写真5)。

写真5

 それから、腸脛靭帯の裏側のラインが溝状に凹んでいたので、その
ライン上に出ていたツボに、順に刺鍼していきました(写真6、7、8)。

写真6

写真7

写真8

 そして、下腿。下委陽に刺鍼したら、すごい量の邪気だったので、
足の小指をそらしてもらいました(写真9)。こうすると、指のほう
に邪気が誘導されやすいからです。

写真9

 続いて、その延長でフクラハギの中ほど(写真10)、終わるあた
り(写真11)に出ていたツボに刺鍼しました。

写真10

写真11

 それから、くるぶしまわりで、踵の骨の上の陽大鐘(写真12)に
刺鍼しました。

写真12

 そのあと、ゆっくり起き上がって、足踏みをしてもらったら、
「ラクです」とのことでした。ラクになったところで終えたほうが
いいので、仕上げに入ることにしました。やりすぎて、つらさがぶ
りかえすこともありますし。

 足甲の丘墟に刺鍼して仕上げました(写真13)。

写真13

 つぎの日に、紹介者から「 操体の気持ちよさも、鍼のインパクト
の強さも感じられたようで、今朝は晴れやかな顔つきをしていまし
た」とメールがとどきました。刺激量がおおすぎたかなと心配でし
たが、つぎの朝に晴れやかな顔つきなら大丈夫だろうと一安心しま
した。


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最終更新:2017年02月24日 14:55