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術伝流操体 【5】応用 [2] 心をしずめる 
(2) 心をしずめる、臥位で養生
心をしずめる、臥位で養生

1.はじめに

 操体の応用として「心をしずめる」の2回目で、今回は、慢性期の
養生です。時間があるときには、はじめからこちらでもよいですね。
寝た姿勢で行うため、リラックスしやすいので。

 繰り返しになりますが、操体、鍼灸はじめ東洋的物理療法は、筋の
機能性病変とくに過緊張を改善することを手段にしています。つまり、
心が緊張していると、操体、鍼灸などの効果が出にくくなります。で
すから、心の興奮や緊張をほぐすことは大切です。

  気持よさのなかに意識がしずんでしまうと、心のなかの堂々巡り
は少なくなります。気持ち良い施術をこころがけましょう。

 言葉での治療の前にするのも良いと思います。心の堂々巡りが少な
くなっているほうが、スムーズな会話が成り立ちやすいですから。

2.手順

 基本的に、座位〜うつ伏せ〜あお向けの手順で、だんだん寝る体勢
になっていくようにします。

 まず、座位やうつ伏せで、 上衝をさげ 、首肩などをゆるめます。
それから寝てもらい、全身の緊張をゆるめ、リラックスできるように
していきます。

2.1. 座位

 ラクな座位になってもらい、先回の応急処置で取り上げたことを、
さぁーと、かるく流すようにしていきます。

 手の指もみ・そらし(写真1)、鎖骨まわり・前頚部(写真2)、
頭の熱散らし(写真3)・指圧、首のストレッチ、後頭骨下縁(写真4)
〜首肩〜肩甲間部の按摩指圧操体、腕の伸展法・按摩(写真5)、脇の
下まわりの指圧按摩操体など。

写真1

写真2

写真3

写真4

写真5

 首のストレッチというのは、操者が頭頂部をかるく上から押して、
それを支えに、受け手に首を上に伸ばしてもらうことです。

 座位での施術をおえたら、仕上げはしないで、うつ伏せになっても
らいます。

  くわしい内容は、前回を参照してください。また、必要に応じて、
術伝流操体no.52 座位で按摩指圧と組み合わせ」も参照してく
ださい。

2.2. うつ伏せ

 ラクな姿勢のうつ伏せになってもらいます。

 「姿勢を変えたくなったら変えてもいいですよ」と声をかけておき
ます。そして、姿勢が変わったら、その姿勢をすこし強調する操体を
していきます。

2.2.1. 胴体の四隅を中心に重さの操体

 胴体の四隅、左右の肩と左右の殿部に操者の重さをかけてみます
(写真6)。いちばんイイ感じのするところに、しばらく操者の重さ
をかけつづけます(写真7)。

写真6

写真7

 この重さの操体で、うつ伏せでの基本的な歪みが改善してしまうことがよくあります。

2.2.2. 肩〜肩甲間部の按摩指圧

 つぎは、肩〜肩甲間部です。受け手の頭のほうから施術します。

 拳骨をつくり、4指の骨空をつかい、肩井を按摩指圧します(写真8)。続いて、肩甲間部も同じように按摩指圧します(写真9)。

写真8

写真9

2.2.3. 顔のむくほうの肘の持ち上げ

 顔を左右どちらにむけたほうがラクか、ためしてもらいます。ラク
なほうにすわり、受け手に近いほうの膝に、受け手の肘をのせ、肩甲
間部のいちばん凝っているあたりの筋肉が緊張収縮するような姿勢を
みつけ、イイ感じのあいだ、その姿勢を維持します(写真10)。

写真10

 いちばん凝っているあたりを指圧したり皮膚操体したりしながら、
変化を観察します。

 また、手の指もみ指そらしをつけ加えます。

2.2.4. 背中〜腰の肘もみ

 受け手の横に位置し、背中(写真11)〜腰(写真12)〜殿部を肘
で按摩指圧していきます。

写真11

写真12

2.2.5. 大腿下腿の按摩指圧

 大腿下腿を四指や示指の骨空で按摩指圧していきます。

 このとき、殿部、仙骨まわりなどに出ているツボに皮膚操体をしな
がらすると、効果があがりやすいです(写真13)。

写真13

 また、ゆるみにくいところは、その部分が収縮するような動きの操
体と組み合わせたり、経絡的に関連する足指のもみやそらしをつけく
わえると効果が出やすくなります(写真14)。

写真14

2.2.6. 仙骨に皮膚操体

 尾骨に掌底がくるように手のひらを仙骨にあてます。そして、仙骨
まわりの皮膚をずれやすいほうにずらします。

 この操体は、首から上の症状に効果の出ることがおおく、リラック
スしやすいです。

2.2.7. 尻たたきなど定番の操体

 定番の尻たたき、膝たおし、足首まわしの操体をします。

 尻たたき(写真15)、膝たおし(写真16)は、左右をくらべ、や
りやすいほうをラクに動かせるところまで動かしてから、かるく皮膚
をずらして強調します。

写真15

写真16

 足首回し(写真17)は、膝を立て、足首よりの下腿の皮膚をずら
しやすいほうにずらします。

写真17

 くわしくは、「 術伝流操体No.51 うつ伏せで按摩指圧と組み合
わせ」などを参考にしてください。

2.3. あお向け

 ラクな姿勢のあお向けになってもらいます。

2.3.1. 前頸部〜横頚部、後頸部の指圧按摩

 受け手の頭のほうに位置し、前頸部〜横頚部、そして、肩井の胸側、
後頚部などの按摩指圧をします。

 とくに、鎖骨の首側、肩井の首側、後頭骨下縁、首のいちばんアゴ
の付け根よりなどは、ていねいにします(写真18)。

写真18

 脇の下まわりの、腕と胸、腕と背中にはる筋肉がこっていれば、按
摩指圧します。あお向けでは、胸側は按摩がしやすく、背側は指圧が
しやすいです。

2.3.2. 膻中〜ヘソまわりの皮膚操体

 受け手の横に移動し、膻中〜ヘソまわりの出ているツボに皮膚操体
をします。労宮などへの皮膚操体と組み合わせると、効果が出やすい
です(写真19)。

写真19

2.3.3. 下腹部の皮膚操体+大腿の指圧

 下腹部のツボで出ているところ、虚しているところなどに皮膚操体
しながら、大腿の指圧をします(写真20、21)。

写真20

写真21

 下腹部は、大きく虚しているなら手ひらで、こまかいツボは指腹で、
皮膚操体します。四指はどちらにも使えます。

 大腿外側は、拳骨をにぎり四指の骨空で指圧します。内側は、親指
指腹を使います。

2.3.4. 膝たおしなど定番の操体

 膝たおし、膝裏しこりとり、膝曲げたおし、大腿内側のばしなどの
定番の操体をします。

 膝たおしは、左右くらべて動かしやすいほうをラクに動かせるとこ
ろまで動かします。そして、皮膚をずらしやすいほうにずらして強調
します(写真22)。

写真22

 膝裏しこりとりは、しこりをみつけたら、足首を背屈しながら、逃
げやすい方に逃げてもらい、膝裏しこりが痛くなくなった姿勢をしば
らく維持します(写真23)。

写真23

 大腿内側のばしは、膝を曲げて倒しやすいほうの足を、曲げて倒し、
いちばんラクな位置をみつけます。そして大腿の膝よりの皮膚を膝の
ほうにずらして強調します。

2.3.5. 肩のほうへの重さの操体

 あお向け膝立ての姿勢から、正座した操者の膝の上に、受け手のカ
カトをのせ、体重を頭のほうに移してもらいます(写真24)。

写真24

2.3.6. 足の指もみ、ゆらしの操体

 足の指もみ、ゆらしをしていきます(写真25)。途中で姿勢が変
わったら、その姿勢を強調する操体をしていきます。

写真25

 くわしくは、「術伝流操体no.50 あお向けで按摩指圧と組み
合わせ」などを参考にしてください。

2.4. しばらく寝てもらう

 時間があれば、そのまま、しばらく、寝てもらいます。

2.5. 座位で仕上げ

 ラクな座位になってもらい、座位の前後屈左右捻転と重さの操体の
組み合わせ、手の指もみをします。

 まず、左右捻転のしやすいほうと、前後屈のやりやすいほうを組み
合わせます。それから体重を移しやすいほうに移してもらいます
(写真26)。

写真26

 手の指もみをして仕上げます(写真27)。

写真27

3.コツ

 施術中に、心のなかの堂々巡りが消えると、それだけでも、ずいぶ
んちがうというか、ラクになるようです。施術中だけでも、悩みを忘
れることができると良いようです。気持よさの海のなかに意識がひた
りこんでいくような操体をこころがけます。

 そのため、話したがっている人の場合は、よく聞くとしても、こち
らからの言葉かけは少な目のほうがよいように思っています。

 そして、その日の夜ぐっすり眠れると、また一段とラクになり、本
来の心にもどりやすいようです。 


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最終更新:2017年02月25日 14:34