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術伝流操体 【5】応用 [2] 心をしずめる 
(1) 心をしずめる、座位で応急
心をしずめる、座位で応急

1.はじめに

 操体の応用のひとつとして、ある特定の状態にあわせるものを取り
上げていきます。まずは、「心をしずめる」。気が上がっている状態
を下げることです。興奮していると、体も緊張しやすく、筋緊張もほ
ぐれにくいです。

 操体鍼灸はじめ東洋的物理療法は、筋の機能性病変とくに過緊張を
改善することを手段にしています。つまり、心が緊張していると、操
体鍼灸などの効果が出にくくなります。ですから、心の興奮や緊張を
ほぐすことは大切です。

 今回は、そのなかでも、座位での応急処置をとりあげます。比較的
かるいときに向きます。基本的に、首肩などをゆるめること、上衝を
下げることの2つをしていきます。

2.手順

2.1. ラクな座位になってもらう

 はじめにラクな座位になってもらいます。あぐら座がおおいですが、
正座がラクという人もいます。

2.2. 指もみ、指そらし

 まず、頭はじめ肩甲骨鎖骨から上に上がってしまった邪気をおろす
ために、そして、手の末端に誘導し引き出すために、手の指もみ指そ
らしをします。

 怒りや疳の虫に関係する前頭部の邪気をおろすのには、母指や示指
がむきます。不安やいわゆる上がってしまった状態を改善したり、落
ち着かせるには、薬指がむきます。肩や後頚部のコリをゆるめ、寝付
きをよくするには、小指薬指がむきます。

 指もみは、指と指のあいだの水かき状の八邪(写真1)、八邪と節
紋のあいだ(写真2)、 指裏関節部横紋端の節紋(写真3)、指の根
元の井穴(写真4)などを中心にもみます。八邪と、 八邪と節紋のあ
いだの2カ所は、母指と示指の指腹でもみます。節紋と井穴は、母指と
示指の関節部ちかくの硬い部分でもみます(写真5)。

写真1

写真2

写真3

写真4

写真5

 指そらしは、反らす方向もいろいろ変え、いちばんピリピリビリビ
リする方向にそらすようにします。

2.3. 鎖骨まわり前頚部をゆるめる

 鎖骨まわりや前頚部、とくに鎖骨の首側のくぼみのなかの首の付け
根のシコリをゆるめます。

 そのあたりのシコリの上の皮膚に沈の皮膚操体をしながら、母指示
指の指そらし指もみをします(写真6,7)。

写真6

写真7

2.4. 頭の熱をちらし、頭のツボを指圧

 頭をさわって熱いところ(写真8)を、楊枝をたばねたもので散ら
したり、髪の毛を引っ張ってパッとはなして散らしたりします
(写真9)。

写真8

写真9

 頭のツボは、表面がブヨブヨしていることが特徴です。正中線上と、
目をとおり正中線に平行な線の線上におおいです。そういうツボをみ
つけたら、指圧します(写真10,11)。

写真10

写真11

2.5. 頭をおさえ受け手に伸び上がらせる

 頭を操者の手で下向きにおさえ(写真12)、それを押し上げるよう
に受け手に伸び上がってもらいます(写真13)。

写真12

写真13

 頭をおさえるのは、それを支えに伸び上がってもらうためで、伸び
上がってくる方向と正反対の力をくわえます。

 この操体では、首の歪みやシコリが改善しやすいです。また、頭が
スッキリしやすく、頭のなかの堂々巡りがへりやすいです。

2.6. 後頭骨下縁〜首肩をもむ

 後頭骨下縁、後頚部、肩にシコリをさがし、もみます。後頭骨下縁
は、拳骨を後頭骨下縁にあて、受け手に上をむきながら体重を後ろに
かけてもらいます。

 それから、首肩を按摩していきます。

 後頚部や肩については、前回までの「肘もみとの併用」を参考にし
てください。

2.7. 後頭骨下縁をちぢめる操体

 後頭骨下縁を親指で押しながら(写真14)、その部分をちぢめるよ
うに、頭と背を反らしてもらいます(写真15)。後頭骨下縁のツボを
押すのは、そこを意識して頭や背を反らしてもらうためです。ちょっ
としたコツですね。

写真14

写真15

 この操体も頭がスッキリしやすく、頭のなかの堂々巡りがへりやす
いです。

2.8. 肩甲間部の肘もみ

肩甲間部を肘もみします。これも前回までの「肘もみとの併用」を参
考にしてください。

2.9. 腕の伸展法

 腕を肘と膝ではさんで指圧したあと、腕の伸展法をします。これも
前回までの「肘もみとの併用」を参考にしてください。

2.10. 脇の下まわりのシコリの按摩と操体

 脇の下まわり、腕と背中のあいだ、腕と胸のあいだ、この二つに張っ
ている筋肉のなかにシコリをさがします。みつけたら、そのシコリを
はさんで按摩します。

 また、そのシコリを肩のほうに移動し、そこの筋肉がちぢむような
操体をします。

 胸と腕のあいだのほうは、シコリをみつけたら、かるく按摩してか
ら(写真16)、シコリを肩のほうに移動し、肘を曲げ、小指が手ひら
にまわるような手首捻転をし、体重を移動しやすいほうに移動しても
らいます(写真17)。

写真16

写真17

 背中と腕のあいだのほうは、シコリをみつけ、かるく按摩してから
(写真18)、シコリを肩のほうに移動し、肘を伸ばし、手首を背屈し
てから中指が小指側にまわる捻転(尺屈)をし(写真19)、 体重を移動
しやすいほうに移動してもらいます(写真20)。

写真18

写真19

写真20

 この操体は、術伝流操体no.6に書きました。

 この操体をすると、肩首がゆるみやすくなります。

2.11. 仕上げに、重さの操体と手指もみ

 仕上げに、座位の3軸+重さの操体と、手の指もみをします。

 頭の後ろで手を組んでもらい(写真21)、左右捻転、前後屈、左右
側屈で良いものを組み合わせてもらい、体重も移動しやすいほうに移
動してもらいます(写真22)。操体で臨床したときの仕上げにしてい
るものですね。

写真21

写真22

 背骨が立った状態で、重心の上に頭の中心が来る状態になっている
と、心はゆれにくいです。座位での重さの操体をすると、その状態が
実現しやすくなります。

 そのあと、また、手の指もみをします(写真23)。

写真23

3.注意することなど

 イイ感じや気持よさを言葉で聞かずに、たんたんと進めたほうがよ
いです。言葉での質問は、頭のなかの堂々巡りをふやす可能性がおお
きいからです。

 また、受け手が話したがっているときには、ひたすら聞きます。そ
れに対する意見は控え目にしたほうがよいです。 


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最終更新:2017年02月25日 14:30