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術伝流操体 【4】操体で一通り治療 [4] 座位立位などでの操体 
(5) 四つん這い、正座独楽回し
四つん這い、正座独楽回し

(1)はじめに

 いままで、寝た姿勢や座位からの操体を紹介してきましたが、今回
は、四つん這いなどの姿勢からの重さの操体です。操体のなかでは、
ちょっと変わっているほうにはいるかもしれません。

 もちろん、こういう姿勢からも、動きや皮膚の操体をしてもよいの
ですが、昔から操体の定番として「四つん這い尻ふり運動」というの
があり、重さの操体がなぜか中心になっています。体重移動がしやす
いせいかなと思います。

 ヒトは、直立2足歩行するサルですが、直立2足歩行になるまでに
は、動物の進化という系統発生でも、個人の進化である成長という過
程でも、いろいろな移動方法をとってきました。

 その中に四つん這いというのがあります。つまり、寝た姿勢から座
位が取れるようになり、やがて立って歩くようになる前に四つん這い
で移動という過程があります。系統発生的には、四足のケモノ類の歩
行や、ゴリラなどのナックル・ウォークが四つん這い歩行ですね。

 障害を持った方や長いこと寝たきりで歩けなかった方が座位になれ
るようになったからといって、すぐ歩けるようになれるわけではあり
ません。我が家の次男は超未熟児で生まれた脳性麻痺児だったので、
這い這いの期間が長く、3歳近くまで四足で移動し、保育園の運動会
も四足で参加していました。

 そういう意味で、長いこと歩かずにいた場合など、立位での操体を
するまえに、四つん這いでの操体をしてバランスをとると、立位での
バランスや歩行のバランスがとれやすくなることがおおいです。また、
座位からの操体が決まりにくい方にも試してみるといいと思います。
四つ足の姿勢での中心軸作りという感じです。

姿勢:寝る>>座る>>立つ 
動き:這う>>四足歩行>>歩く

 時間がたっぷりあるときには、寝た姿勢や座位での操体のあとに、
四つん這いでの操体をしてみる、あるいは、寝た姿勢での操体と座位
での操体のあいだに四つん這いでの操体をしてみると、よりバランス
がとれやすくなると思います。ヤジウマしてみてください。

(2)手足を畳などにつけた状態から重さの操体

 むかしから操体の定番としてある「四つん這い尻振り運動」と、そ
のバリエーションです。

(1) イイ感じの四つん這い姿勢をさがす
 まず手足をつけたなかで、いちばんラクな、イイ感じのする姿勢に
なってもらいます。いろいろな格好ができます。

たとえば、

①手のひら、足の裏をつけた姿勢(写真1)
写真1

②手のひら、膝から足甲をつけた姿勢(写真2)
写真2

③手のひらをついて、立ち膝の姿勢(写真3)
写真3

④肘、膝をついた姿勢(写真4)
写真4

⑤片膝立ち、手をついた姿勢(写真5)
写真5

⑥膝を立て、後ろに手をついた姿勢(写真6)
写真6

 写真1の手のひら、足の裏をつけた姿勢のときは、かるく膝を曲げ
ると動きやすくなります。

 写真5の片膝立ちで手をついた姿勢は、左右差があるときにイイ感
じのことがおおいです。赤ちゃんのなかには、この格好でいわゆる
「いざり這い」をする子がたまにいます。

写真6は、仰向けに比較的ちかい姿勢で、背中側に体重をうつしたい
ときにイイ感じのことがおおいです。

(2) 体重をイイ感じのほうに移動することをきっかけに
 体重を前後左右の組み合わせ、つまり右前、右後ろ、左前、左後ろ
の4方向にためしに移動してもらい、いちばんイイ感じのする方向を
見つけます(写真7)。

写真7

 イイ感じがわからなければ、いちばんラクな移動しやすい方向をさ
がします。見つかった方向にすこし余分に体重を移動したままの状態
をしばらく維持してもらいます。操者は倒れないように支えます
(写真8)。

写真8

 はじめの姿勢や体重を移動する方向で支え方がちがいます。基本的
には、操者のヘソで受け手の体重を支えるようにします。

①膝ついた姿勢から右前に移動(写真9)
写真9

②膝ついた姿勢から左後に移動(写真10)
写真10

③立ち膝・肘つきの姿勢から右前に移動(写真11)
写真11

④片膝立ちの姿勢から左前に移動(写真12)
写真12

⑤後ろに手をついた姿勢から真後ろに移動(写真13)
写真13

⑥膝つきの姿勢から真ん前に移動(写真14)
写真14

(3) イイ感じが深くなる姿勢をさがしてゆっくり動いてもらう
 イイ感じがふえていくように、より深い気持ち良さが味わえる格好
をさがしてゆっくり動いていってもらいます。たとえば、気持ちよい
ほうに首を動かしてもらうとかです。

 声のかけ方としては、
「イイ感じがふえるように、気持ちよい格好をさがしてみましょう」
「途中で姿勢を変えたくなったら変えてもかまいませんよ」
「**動かしてもいいですよ」とかです。

この場合、**は、動かしたそうにモゾモゾしているところです。

 背骨を気持ちよいように動かすのが好きな人は、けっこういます。
猫のアクビのマネをする感じですね。

 手や足の位置が変わることもありますし、四つ足で歩いたり、ハイ
ハイで移動するのがイイ感じのこともあります。

(4) イイ感じを味わう
 イイ感じがあるか、おなかに息が入っているか確かめながら、充分
にイイ感じをあじわってもらいます。

(5) 休みたくなったら終わる
 体重を戻したくなるなど大きく姿勢を変えたくなったり、止めたく
なったり、休みたくなったら、終わりにします。しばらくラクな格好
で休んでもらいます。

 やってみたのとちがう四つん這いの姿勢がイイ感じがしたら、その
四つん這いの姿勢から、また重さの操体をヤジウマしてみるとよいと
思います。

(3)壁に足をつけて、重さの操体

 こちらは、仰向けに近い姿勢がイイ感じで、体重を肩のほうに移動
したい場合のちょっと変わったバリエーションです。仰向け寝からの
重さの操体でしたものの変化系ともいえます。

(1) あお向け寝から壁に足の裏をつける
 壁にお尻を近づけた位置であお向けになり、壁に足の裏をつけても
らいます。足の高さをイイ感じの位置になるようにいろいろ工夫して
みます。案外すごく高い位置がよい人がおおいです(写真15)。

写真15

(2) 体重をイイ感じのほうに移動することをきっかけに
 体重を前後左右の組み合わせ4方向にためしに移動してもらいます。
いちばん移動しやすい方向がみつかったら、その方向に体重をしばら
く移動したままにしてもらいます。操者は倒れないように支えます。

 このとき受け手の腰を腹のほうにかるく押してあげたり(写真16)、
肩を畳に押し付けてあげたり(写真17)すると、イイ感じがふえるこ
とがおおいです。

写真16

写真17

(3) イイ感じが増えるようにゆっくり動いてもらう
 イイ感じが増えるよう、気持ち良さが深くなる姿勢をさがして、ゆっ
くり動いてもらいます。たとえば、気持ちよいほうに首を動かしても
らいます。

 手や足の位置が変えたほうがよいこともあります。

(4) イイ感じを味わってもらう
 イイが続いているか、おなかに息がはいっているか確かめながら、
イイ感じをじっくり味わってもらいます。

(5) 休みたくなったら終わる
 体重を戻したくなるなど、大きく姿勢を変えたくなったり、止めた
くなったり、休みたくなったら、終わりにします。しばらくラクな格
好で休んでもらいます。

(4)正座独楽回し運動

 むかしの操体の本には、座位からの操体として「正座独楽回し運動」
というのがあります。

(1) 両膝をくっつけてツマ先立ちの立ち膝で、カカトにお尻の座骨が
のるように座り、両手でカカトをかるくにぎります(写真18)。

写真18

(2) 上体や首の力をぬき、手がカカトから離れない範囲で、全身を
ゆっくり、首や背骨をしならせるように回してみます(写真19,20)。

写真19

写真20

(3) やりやすいほうを、ゆっくり気持ちよい範囲で2,3回やってみ
ます。

 全身の関節がこの運動一つで動くといわれています。気持ちのよい
範囲でヤジウマしてみてください。


(5)おわりに

 繰り返しになりますが、座位からの重さの操体は、障害や病気で寝
ていた期間が長かった人や、寝た姿勢での操体はうまくいったけれど、
座位や立位の操体が決まりにくい人などにすると、効果が上がりやす
いです。ためしてみてください。

 これで、座位の操体をおわります。つぎからは、立位の操体です。


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最終更新:2017年02月25日 14:14