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術伝流鍼灸text 中焦の病

[1] 基本的に

 中焦の病は、体の内側の横隔膜より下でヘソより上に、おもな症状
やツボが出る病で、消化器系ともいえます。水毒によることがおおい
です。

 足の陰経(とくに、太陰経)や、横輪切りの背中の愈穴などに引き
やすいく(とくに、胸椎の7,9,11の高さ)、症状ちかくの大腹にも出
ます。

 2000年以降、中焦の水毒から発生した邪気が上焦・表位の病の原
因となる例が非常に多いです。

 肩腕指にピリピリビリビリするシビれ感をうったえる方がいちばん
多いですが、慢性的な頭痛や眩暈などもありました。

 狭心症をうたがわれ検査したが正常という人が、左大腹の水毒をへ
らす治療で良くなった例もあります。

 線維筋痛症の人の発症時のようすと似ている例も多かったです。

 中焦に水毒がたまっている場合には、中焦である大腹にもシコりが
出ますが、肋骨下部を押してもパンパンに張っていて弾力がないこと
でもわかります。胸脇苦満とよばれる腹症です。左右差がある場合が
多いです。

 中焦が水毒により硬くなっていると、下焦の悪血や中焦の水毒より
発生した邪気が上昇できずにたまってしまいます。たまった邪気が、
限界をこえ鉄砲水のように上衝すると、卒中とよばれる事態をまねき
ます。心下とよばれる横隔膜の腹側が硬かったり(心下痞)、脇腹の
左右差が目立つときは、そうなりやすいので注意が必要です。

 消化器系の病で器官の変性をともなわないときには、左中焦のガス
停滞をなくすとなおることが多いです。

 また、肩頚の水毒はコり、内耳の水毒は耳鳴り・眩暈、上焦の水毒
は咳・痰の原因となります。

 それぞれ、主症状に関係する治療のほかに、中焦の水毒をへらす治
療を加えたほうが経過が良いことがおおいです。

 下半身の浮腫は、小腹(下焦)や足厥陰経(少陰経)との関連が深く、
下半身の冷えや発汗不足などの原因で、中焦の水毒がひどくなくても
発生することがあります。

[2] ツボが出やすいところやねらい目

(1) 足の陰経

 慢性期には、膝ちかくの陰陵泉や大腿部に出ます。

 急性期には、足首より先、商丘、公孫に出ていることがおおく、接
触鍼なら陰白を使います。灸なら節紋、裏内庭、第2指裏横紋など親
指2指そばのツボを使います。

 地機、漏谷は、急性慢性どちらにも使います。

 すこしずつ、上下左右にずれることもあり、ほかの足の陰経にも出
ることもあります。

(2) 足の陽経

 腹の表面のシコりは、足陽明から少陽に引けます。下腿、足甲を使
うことがおおいです。灸なら足指のツボも使います。慢性期には、伏
兎〜梁丘、風市など大腿部にもツボが出ます。

 腹のツボが、上肓愈など正中線ちかくのときには、脛骨のすぐ脇に
出ていることがおおいです。章門など横腹ちかくのときには、豊隆の
ラインや足少陽に出ていることがおおいです。

 下半身の冷えが関係するときは、足甲3~4間にツボが出ていること
がおおく、補の灸でじっくりあたためます。患者さん自身で温灸をし
てもらうのもよいでしょう。

(3) 陽位(背)

 まず、胸椎7,9,11の1,2行線、督脈、華陀経で、昔から「胃の六灸」
とよばれているあたりです。

 慢性期には、そのなかでも華陀経、つまり、背骨のすぐ脇に出てい
ることがおおいです。また、すこし下で外よりの胸椎12〜腰椎2のラ
インで脊柱起立筋のいちばん外側の痞根にツボが出ていることもおお
いです。

 精神的な要因があるときには、すこし上の頚肩、肩甲間の督脈・華
陀経にツボが出ているがあります。

(4) 腹部

 肋骨下の不容、章門、任脈の中脘、ヘソまわりやその横の天枢ちか
くに出ていることがおおいです。

 慢性期には、横腹の章門、ヘソまわりの上肓愈に出ていることがお
おくなります。

(5) そのほか

 手の陰経、なかでも厥陰経に出やすいです。慢性期には上曲沢。急
性期には内関。

[3] 手順

(1) 慢性期

慢性期の方を中心に

 ツボを考慮して慢性期の型の順で刺鍼します。

 はじめに刺鍼する手の陰経のツボは上曲沢のことがおおいです。

 冷えて虚しているところや華陀経などにある古いツボに灸・灸頭鍼
をし、手の指端の灸で仕上げます。

灸や灸頭鍼を中心に

 灸や灸頭鍼と置鍼を組み合わせてもよいです。

 手の骨空ではじめ、座位、うつ伏せ、仰向けの順で、ツボをえらび、
施術し、手指端の灸で仕上げます。

 灸頭鍼は古いツボに効きます。

 腹への灸は、腹の邪毒の状態で可否を判断します。邪毒実すること
が顕著で炎症性の熱感が強いときは、避けたほうがよいこともおおく
なります。

(2) 応急処置

 内関に引き、足太陰〜足陽経〜背の順で引き、頭に散鍼し手の甲で
終えるのが基本です。

 はじめや途中で表位に症状が出ていれば、そのつど、手甲など手の
陽経に引き、背に引いたあとで肩頚に症状が出たら、肩頚に刺鍼しま
す。

 体を前に曲げて耐えているときは、背中側のいちばん出っ張ったあ
たりに引くことが有効なことがおおいです。

 症状がかるいときは、慢性期の手順で灸をしてもよく、子供の腹痛
などに向きます。

 急性期は慎重にします。処置後数時間以内に痛みが復活するときは、
器官破壊などをうたがい、救急医療と連携してください。症状がはげ
しい場合には、手を出さずに救急医療と連携したほうがよいこともお
おいです。

 急性期は内科系急性期で練習します。

[4]おわりに


 応急処置について、くわしくは、術伝流一本鍼no.25を見てくだ
さい。


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最終更新:2010年08月28日 08:35