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鍼灸症例問答no.7 右足背の激痛
(1)はじめに
ペンネーム「熊三朗」さんの鍼灸症例1つめです。
(2)右足背の激痛
1.65歳男性
主訴:その日の朝から、右足背の4-5間に激しい圧痛
があり、背屈も困難、まともに歩けない。思い当たる
原因はないとのこと
2.患者さんの症状
右足背の4-5間のほぼ中央辺り(足臨泣あたり)がもり
あがっていて、触ると熱感あり。軽く圧するだけで、
かなりの激痛あり。背屈させると痛み増悪
3.実際にやったこと、患者さんの体の反応
熱感も強かったので急性期と判断。そこで、
(1)足首から先の症状であり、遠くに邪気を引くために
左手背の4-5間の最大圧痛点に寸3の1番鍼(ステンレス)
で1ミリ位、刺入(対角刺)。2〜3ミリさらに刺入す
ると、こちらの手にビリビリ(邪気)を感じたので、そ
の深さで旋撚(鍼を左右に捻る手技)。同時に、患者さ
んに足を痛くない範囲で背屈・底屈を繰り返してもら
った。それで、背屈困難は半分位に軽減。
(2)次に、左足背の4-5間の最大圧痛点に(1)と同様の
鍼(巨刺)。これにより、背屈困難は、ほぼ解消。
(3)ここで患部を調べてみると、まだ、もりあがりと圧
痛は残っていたので、右足のツボを探すと、右の丘
虚(きゅうきょ:外踝の前下方の陥凹部)と患部よりも
足先の4-5間にツボ(陥下)がでていた。急性期であり
患部に近いので、深刺ししないように注意して、ツボ
の底を緩めた。
4.結果、患者さんの感想
3の(3)により、患部のもりあがりが全く消えてし
まい、いくら強く押しても全く圧痛を感じなくなった
患者さんは、とても驚いていました。
5.自分の感想
今まで施術した中でも今回の症例以上に痛みをとるこ
とができたことはないので、自分でもとても驚いた症
例です。
ただ、後から考えると、急性期なので、患部近くへの
施術は一箇所に絞るのが安全であったと思われる。
セオリーからすれば、対角刺→上下刺→巨刺の順であ
ったので、上下刺を組み入れていれば、患部への施術
を最小限度に抑えられたとも思われる
(3)遊風のコメント
熊:2.患者さんの症状
足臨泣あたりもりあがっていて、触ると熱感あり。
軽く圧するだけで、かなりの激痛あり
遊:盛り上がるほどというのは相当ひどいですね。
熊:3.実際にやったこと、患者さんの体の反応
熱感も強かったので急性期と判断。
左手背の4-5間の最大圧痛点に刺入(対角刺)
患者さんに足を痛くない範囲で背屈・底屈を繰り返し
左足背の4-5間の最大圧痛点に鍼(巨刺)
背屈困難は、ほぼ解消
遊:対角刺、巨刺でここまで効果を出すのはお見事です。
熊:4.結果、患者さんの感想
もりあがりが全く消え、いくら強く押しても全く圧痛無し
遊:すごいですね
熊:5.自分の感想
上下刺を組み入れていれば、患部への施術を最小限度に
遊:まぁ、そのほうが無難ですが、結果が出たから良いでしょう。
もし、つぎの日とかにぶり返したりしたら心配しますが。
小指4指の井穴をしらべて痛かったら接触鍼、または弾入後
則抜鍼というのも考えられるかなと思います。
(4)熊三朗さんの返信
遊:盛り上がるほどというのは相当ひどいですね。
熊:そうですね、患部の筋が引っかかって引きつれているような
感じもしました
遊:対角刺、巨刺でここまで効果を出すのはお見事です。
熊:運動鍼を組み合わせると、効果倍増しますね。足首から先だ
と、患者さんに動かしてもらいやすいですし。 運動鍼は、多
用しています。 今の課題は、腰痛の時にいかに患者さんに負
担をかけずに運動鍼をするかですね。下腿は重いので
遊:すごいですね。
熊:ほんと、自分でもびっくりです。なにもなかった状態になっ
てしまったので。。。うまく筋のひっかかりが解消できたのだ
と思います。
遊:まぁ、そのほうが無難ですが、結果が出たから良いでしょう。
もし、つぎの日とかにぶり返したりしたら心配しますが。
熊:ぶり返しはなかったとのことです。 刺激量の問題は、永遠
のテーマです
遊:小指4指の井穴をしらべて痛かったら接触鍼、または弾入後
則抜鍼
熊:速刺速抜で浅刺が軽く刺すときの基本ですよね。以後、気を
つけます。
(5)遊風の再コメント
熊:そうですね、患部の筋が引っかかって引きつれているような
感じもしました
遊:うーん、どういう経過で、どういう体の理由でなったのか
知りたいところですね。
熊:運動鍼を組み合わせると、効果倍増しますね。足首から先だ
と、患者さんに動かしてもらいやすいですし。 運動鍼は、
多用しています。
遊:そうですね。寝たり座ったりなら足首動かしやすいですから。
動かないで刺鍼して、ある程度よくなってから
立ち上がってもらい、手甲などに刺鍼しながら
腰を前後屈したり左右捻転したりという運動鍼
ならできますけど。
熊:ぶり返しはなかったとのことです。
遊:それなら大成功ですね。
熊:速刺速抜で浅刺が軽く刺すときの基本ですよね。
遊:昔なら刺絡したかもしれませんが、弾入後則素早く抜鍼すれば
近い効果を出せます。
(6)熊三朗さんの再返信
遊:どういう経過で、どういう体の理由でなったのか知りたい
熊:治療したのは1月頃でしたので、患部に熱感はありましたが
背景に足元からの冷えによる筋の引きつれ(寒痺)があった可
能性はあると思います。 普段から朝早くからウォーキングす
る習慣があるそうなので、使いすぎかもしれません。。。
遊:動かないで刺鍼して、ある程度よくなってから
立ち上がってもらい、手甲などに刺鍼しながら
腰を前後屈したり左右捻転したりという運動鍼
ならできますけど。
熊:その方法は、講座で教えていただきました。
できれば、最初の引き鍼で運動鍼を組み合わせたいのですが。
(7)遊風の再々コメント
熊:できれば、最初の引き鍼で運動鍼を組み合わせたい
遊:昨晩思いついたのは、
手や首を動かすのはどうかなということです。
手や首を体の前後屈や左右捻転に繋がるように動かしてみる
と、うまくいくくかも知れないなということです。
(8)熊三朗さんの再々返信
遊:昨晩思いついたのは、手や首を動かすのはどうかなという
ことです。手や首を体の前後屈や左右捻転に繋がるように
動かしてみるとうまくいくかも知れないなということ。
熊:まさに操体と鍼のコラボですね。 実際に動かしてみると
連動するので巧くいくのではないでしょうか
機会があったら、試してみます
(9)おわりに
こういう感じで、線維筋痛症の発症時によく似た激痛を訴える
方が、ここ数年、どんどん増えているように思います。
鍼灸がとても良く効くという共通点もありますね。
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最終更新:2017年07月16日 07:10