累積: - ___ 昨日: - ___今日: -

シコりと皮膚の操体

操体もくもく・操体の自然則 (11) シコりと皮膚の操体

1.はじめに

 先回は、シコりのまわりの筋肉を緊張させるとタワメの間になる
という話を書きました。

 シコりのまわりの筋肉を緊張させていって、シコりと同じか、それ
よりほんのすこし余分に緊張させた状態にすると、タワメの間になる
ようです。

 ちょっと考えてみると不思議な現象です。

 筋肉をはたらかせすぎてシコりができたのに、シコりのある筋肉を
すこし余分にはたらかせかせ緊張させる状態を作ると、気持ちよくて、
おなかの息も深くなって、その状態をしばらく維持していると、シコ
りが消えていくのですから。

 おなかの息が深くなるということは、副交感神経優位になるという
ことなんでしょうね。

 こういう点も、西洋医学をやっている方々から、操体があまり評価
されない原因の一つになっているのかもしれません。

 しかし、これだけ成果があがっている、というか、実際にやってみ
れば確かめられることなのですから、生理学的な実験をたくさんして
根拠を明らかにしていってほしいなと思います。

2.脹ら脛の筋肉の使われ方、改善法

脹ら脛の筋肉は、爪先立ちで使われる

 また、脹ら脛の筋肉ですが、立った姿勢で膝を伸ばしたまま足首を
伸ばすとき、つまり、爪先立ちになるときにいちばん使われるようで
す。

 すると、その姿勢をしばらく維持すると膝裏のシコりが消えるかも
しれません。

 そんなことをいろいろためしていたら、気功太極拳で有名な楊名時
先生の気功・八段錦の第8番目が、その格好をしていたのに気が付き
ました。

爪先立ちの気功で膝裏のシコりは消えるかな?

 両足を開かないで付けた状態で、爪先をそろえて、膝を伸ばして立
ち、息をすいながらカカトをあげていき、腕をたらして、手甲を反ら
し、手のひらを下にむけ押さえつけるような感じでバランスを取りな
がら、カカトをあげた状態をしばらくたもちます。そして、息をはき
ながら、体の力をぬき、カカトをおとす。

 説明書に「この気功は沢山の病に効く」とあります。

 講習会のときにでも、この気功の前後で、膝裏のシコりの状態を確
かめながらやってどうなるか、ためしてみようと思っています。

 みなさんもためしてみてください。

 膝裏のシコりがとれるから、たくさんの病に効くのかも知れません。

 橋本先生が爪先あげを晩年いちばんやっていたということに関係し
ているように感じます。

 逆にいえば、ハイヒールをはいた女性は、膝裏のシコりができやす
いといえるのかもしれません。

 そして、それが、下半身の歪みをよび、いろいろな病気のもとになっ
ているのかもしれません。

楊先生も晩年「ふっくにゃぁ」系の脱力をしていた

 それに、もう一つおもしろいのは、この八段錦の第8番目の脱力は、
本では「パッストン」系の説明をしているのに、楊名時先生ご本人は
90年前半の道場での稽古のときには、「ふっくにゃー」系の脱力を
されていたことです。

 橋本先生も、晩年にご自身で一人操体するときには、パッストン系
の瞬間脱力はあまりされなかったようです。

 東京・三軒茶屋の三浦先生も、80年代後半には、ふっくにゃー系
の脱力をしたがる受け手がおおいと説明されていました。

 達人の方は、みなさん、時代による体の自然の変化に合わせるのか
なと思いました。

3.シコりと皮膚の操体の位置関係

 さて、今回は、シコりと皮膚の操体の関係について書いていきます。

 皮膚の操体を目標のシコりにしているときには、指はシコりの真上
から、すこしずれたところにあります。

 それなのになんで効くのかなということについて、今までいろいろ
考えためしてきたことを書いていきます。

皮膚をズラしたあとにできる張りを維持する

 このごろ感じているのは、皮膚の操体でいちばん大切なのは、皮膚
をズラすことよりも、ズラしたあとにできる皮膚表面の張りを同じ
状態にたもつことなんじゃないかなという感じがしています。

 皮膚をズラしている指や手のひらが、ふるえたりブレたりして、後
ろにできる張り、ズラした後ろの皮膚表面の張り具合が変わってしま
うと、感じていた気持ち良さが消えてしまうようです。

 受け手からも、「違った」「気持ち良さが消えちゃった」と言われ
ることがおおくなります。

 このことと、先ほど書いた皮膚をズラすと、皮膚の操体をしてい
る指や手のひらは、シコりの真上からはずれるということを考え合
わせて、このごろ、皮膚の操体は、シコりの上の皮膚がピンと張っ
た状態をしばらくたもつから効果が出るのかなと考えています。

 ツボの上の皮膚が、かるくピンと張った状態になり、ピッタリとシ
コりのある筋肉にくっついた状態になると、しばらくしておなかの息
が深くなり、気持ち良さも生まれます。

 その状態を維持していると、またしばらくして、おなかの息が元に
もどるころには、気持ち良さも消え、ズレやすかった皮膚がズレにく
くなり、シコりが小さくなり、うまくいけばシコりが消えてしまうよ
うです。

ツボ上の皮膚の張りをたもつ工夫

 ズラした後ろにできる皮膚表面の張りを維持するために、達人の先
生方はいろいろ工夫されています。

 東京・三軒茶屋の三浦先生は、小さなシコりに皮膚の操体(三浦先
生は「渦状波」とよんでられます)をするときには、中指で皮膚をズ
ラしたときには、薬指か人差し指の下の皮膚を正反対の方向にズラし
ています。

 こうすると、小さなツボの上の皮膚がピンと張った状態を長いあい
だ維持することがやりやすくなります。

 京都のマル先生は、皮膚をズラすまえに、手のひらや指腹をシコり
の上の皮膚に張り付けた状態にしてからズラすことをすすめています。

 これも、そのほうが、長時間シコりの上の皮膚表面の張りを保ちや
すいからだと思います。

 ピッタリ張りついていれば、伝え手の指や手のひらと、受け手の皮
膚がすべって張りがなくなってしまうのをふせぐことができます。

 三浦先生のやり方を応用して、私は、両手で大きめのツボに、互い
に正反対の方向の皮膚の操体をしたりもしていますが、そうすると、
皮膚の操体が効果があがる確率がふえるような気がしています。

 この方法は、皮膚の操体と正反対の張りを動きの操体で作るという
方法でも可能です。

 たとえば、手首や足首のシコりに対して、皮膚の操体を片手でしな
がら、もう片方の手で、そのシコりの延長線上の指を反らせてみたり
します。

 手首の手のひら側かつ小指側をねらうときに、シコりの上の皮膚が
指と反対側にズレやすい場合などがうまくあてはまります。

 小指の薬指よりの手のひら側か、薬指の小指よりの手のひら側をす
こし反らすと、ちょうどシコりの上の皮膚がズレやすい方向と正反対
の動きを作り出せます。そうなると、皮膚の操体だけをしたときより
も効果が出やすいように思います。

 とくに指をどちらかにねじりながら、ほんのすこし反らせるように
すると、うまくいく確率があがるようです。

 ためしてみてください。

肘をささえるのも役に立つ

 また、余談になりますが、皮膚の操体をしている腕が、宙に浮いて
いると、すぐ腕が疲れてしまいます。すると、指先がブレやすくなり、
シコりの上の皮膚上面の張りをピンとした状態にたもつのがむずかし
くなるようです。

 そのため、片手で皮膚操体しているときには、反対側の手で、皮膚
操体をしている手の肘をささえたほうが安定します。そして、そのほ
うが、ツボの上の皮膚の張りを一定にたもちやすくなります。

 また、両手で皮膚操体しているときには、両方の肘を両方の膝や大
腿部でささえると安定します。

 そのためにも、目標とするシコりに操者のヘソをできるだけ近づけ、
皮膚の操体をしているところから両肘までの距離が同じくらいになる
ようにしたほうが、効果を出しやすくなります。

4.シコりの上が皮膚が張っているとシコりが消える理由

 さて、なんでシコりの上の皮膚を張った状態にたもつと、シコりが
消えやすいのでしょうか?

 張りをしばらくたもっていると、シコりの上の皮膚と、シコりがあ
る筋肉がピッタリくっついた状態がつづくことになります。

 そういうわずかな刺激でシコりが消えていることになります。不思
議ですね。

 でも、そういうわずかな刺激でも、気持ち良さが生まれてくるのは
はっきりわかります。

 また、張りが、ほんのすこしゆるんでも、気持ち良さが消えてしま
うのは、皮膚の操体を受けたことがある人なら、みなさん経験されて
いるでしょう。

 それに、張りがたもたれていれば、たいてい、おなかの息も深くなっ
ていきます。

 体が必要としている刺激だから、気持ち良さも生まれるし、おなか
の息も深くなるのだと思います。

 ですから、このわずかな刺激が効果をあげていることは、はっきり
わかるのですが、どういう仕組みなのかなーと、ずーっと考えていま
すがわかりません。

 だれかわかった方は教えてください。

皮膚の操体と、皮内鍼や粒鍼は似ている

 皮膚の操体と似ているなと思うのは、鍼の世界で使われる皮内鍼や
粒鍼です。

 皮内鍼は、太さが0.12mmで長さ3mmから5mmぐらいの鍼を、
表皮の下に皮膚にほぼ水平に1mmから3mmくらい刺して、その上
に絆創膏をはっておく方法です。

 鍼を刺している感じはしません。絆創膏がはられた感じのほうは感
じますが。それでもシコりは消えます。

 似た方法で円皮鍼といって、太さが0.12mmで、長さ1.5mmから
0.3mmの鍼が絆創膏に垂直についているものもあります。こちらも、
いちばん短い0.3mmのものなら、絆創膏をはった感じだけです。

 また、粒鍼といって、直径1.2mmくらいの金属の粒を絆創膏で、
はりつけるやり方もあります。

 皮内鍼・円皮鍼は、皮膚をやぶるときに電気が流れるため、粒鍼は
金属がさびるときに電気が流れるためだという説明を聞きましたが、
実際はどうなのでしょう。

 生理学的に研究してみたらおもしろそうな現象だなと思います。

ツボが正確にとれると効果が出やすい

 どの方法でも、ツボの真上に、正確に、はることさえできれば、効
果があらわれるようです。

 といっても、1,2mmずれても効かないことがおおいので、楊枝の
頭などで、こまかくツボの場所を特定できないと効きません。

 おもしろいことに、はった下のシコりが消えるだけでなくて、経
絡的に関連するところにあるシコりも消えます。手の小指や薬指、
その延長上の手甲にはっておくと、肩こりに効きます。

 このあたりも皮膚の操体に似ているなと思います。

皮膚の操体もツボとりがむずかしい

 皮膚の操体にしても、こういう小さな鍼や金属の粒にしても、刺
激は、ごくわずかです。それでもすごい効果が出てきます。

 ただ、刺激量が少ないせいか、ツボ取りは、普通の刺鍼や、動き
の操体などよりは、むずかしくなるようです。

 私自身、はじめのうちは、講習生同士で皮膚操体をしたときだけ
にしか効果が出せませんでした。

 受け手に指定してもらえないと、どこに皮膚操体をしたらよいか
わからなかったからです。

 ツボが出ているところを正確に取れるようになって、確実に効果
が出せるようになりました。

 このあたり、みなさんは、どう思われますか?

 私は、皮膚の操体でむずかしいのは、指や手のひらをあてる場所
をみつけることじゃないかなと思っています。

 皮膚の操体をする必要のある場所さえわかれば、あとは、その上
の皮膚をすこしズラして、張った状態をたもっているだけでよいの
ですから。

経絡指圧も、皮膚の操体に似ている

 それで、皮膚の操体にもう一つ似ていると思うのは、増永静人先
生の経絡指圧です。

 余談ですが、増永静人先生は、精神人類学者藤岡喜愛先生といっ
しょに、橋本敬三先生から操体をならい、その体験から経絡体操や
経絡伸展法を考案されています。

 さて、経絡指圧では、シコりに対して垂直に一定の圧をかけつづ
けるを大切にします。このときに受ける感じが、皮膚の操体を受け
ているときとよく似ています。

 親指などで指圧されているときは、せまい面積に圧を感じるので、
皮膚の操体とはすこしちがう感じを受けます。

 しかし、経絡指圧でよく使われる、肘から前腕を使って指圧され
ているときには、圧が分散されてしまうせいか、皮膚の操体を受け
ているときとよく似た感じを受けます。

皮膚の張りをたもつことと、垂直圧をたもつこと

 皮膚の操体のときには、ズラしたあとにシコりの上の皮膚がはっ
た感じになることは説明しました。このときにシコりには、はった
皮膚から垂直の圧がシコりのある筋肉に伝わるのかなと思います。

 そうすると、経絡指圧と皮膚の操体が似た感じを受けるのは当た
り前かなと思います。

 皮膚の操体のでは、実際に圧そのものが伝わっているというより
も、圧が伝わってくるかも知れないという情報がシコりになってい
る筋肉のなかにある感覚神経(筋紡錘など)に伝わっているだけか
もしれません。

 動きの操体と同じ効果のある皮膚の操体をするときにも、シコり
になっている筋肉を緊張させようとする力が実際に働いているわけ
ではなく、緊張させようとする力が伝わってくるかも知れないとい
う情報が筋肉のなかの感覚神経に伝わっているだけなのかもしれま
せん。

シコりは、垂直圧を感じるとゆるみやすい

 こうして考えていくと、シコりになっている筋肉は、筋繊維の方
向に緊張させようとする力や、筋繊維と垂直に圧をかけようとする
力を感じるとゆるみやすいと言えるような気がします。

 とくに、それらの力が、シコりになっている筋肉の過緊張具合と
同じかすこし余分に緊張させようとしてると、しばらくのあいだ感
じていると、ゆるみやすいようです。

 このあたりは生理学的な実験をたくさんして確かめてほしいなと
思っています。

5.おわりに

 今回は、シコりと皮膚の操体の関係から思いついたことを書き出
してみました。

 次回は、胴体の歪みと手足の歪みの相関関係から、どちらを先に
なくすかという話に進めていくつもりです。


   >>>つぎへ>>>胴体の歪みと足の歪み



   >>>目次へ・・・・・・・・・操体の自然則

   >>>このページのトップヘ・・シコりと皮膚の操体

   >>>術伝HPトップへ ・・・・トップページ

術伝HP内検索:上の@wikiメニューの「wiki内検索」


お知らせとお願い

術伝流鍼灸操体講座で患者さん役を募集

 術伝流鍼灸操体講座は、実践面を重視しています。実際に症状が出て
いる方の治療を見たほうが勉強になります。そこで、講座で患者さん役
をしてくださる方を募集しています。

 くわしくは、術伝流のモデルをみてください。

 よろしくお願いします。

感想など

 感想などありましたら、「術伝」掲示板に書いてください。

 また、「術伝」掲示板でも、旧掲示板「養生の杜」と同じように、
養生についての雑談や症例相談などもしていきたいと思っています。


 よろしくお願いします。

間違いなど

 間違いなど見つけた方は、術伝事務局あてにメールをください。

 よろしくお願いします。

「術伝」症例相談用メーリングリストの参加者募集

 「術伝」では症例相談用メーリングリスト( 術伝ML(muchukand))の
参加者を募集しています。

 よろしくお願いします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

   >>>術伝HPトップへ ・・・・トップページ